自分たちにはヒトの心はないと嘯く刑事と、殺人を犯したと目された動物園のオランウータン。戦争の記憶も生々しく残る時代の日本を舞台に、嘘と真実とが交差する……。何もかもが手遅れになった後に、それでも守りたいと願ったもの。胸を締め付けるような想いと、それぞれの決断が心に残ります。まさかこんな企画(失礼!)でこのような作品に逢えるとは。個人的にはこの大賞参加作で一番印象深い一品でした。