番外編②-11 – リスク
「少し行動が浅はかじゃない?
「契約と違うことを行ったのは奴らの方だ」
「DEEDの人たち簡単に捕まったらしいよ。確実に俺たちのことは話されるだろうね」
「元々は
「……分かっている。もしもの時には返り討ちにすればいい」
「文句ないだろう?」
その力強いサイクスは他の干渉を認めないという決意が見てとれる。
「それなら良いけどね。でもこの代償は高くつくよ」
––––ズズズズ……
「用が済んだのなら帰れ」
「何だよ、冷たいなぁ。お茶くらい出してよ」
「はいはい、帰りますよ」
#####
(クソ……)
自宅の書斎にある椅子に座り、内倉は机を軽く叩く。彼が一般人から血液を採取せずに、DEEDを利用するというわざわざ面倒なことを選んだことには理由がある。内倉は第三地区高等学校に教師として勤務しており、1年1組の担任を務めている。彼が担任を受け持つクラスには月島瑞希が在籍している。彼女の存在こそが慎重に行動する大きな理由である。
共に居住するは第3地区。下手に一般人に手を出して自身の残留サイクスを瑞希に見られる可能性、また、別地区で行動を起こしたとしておそらく警視庁が動き始める。姉である愛香は異常なまでに瑞希をトラブルに巻き込むことを避けているということは認知していたが、何かが引き金となって瑞希に残留サイクスを見られないとも限らない。内倉は様々な可能性を考慮してリスクを最小限に抑えるためにDEEDを利用する方法を提案した。
(そう、これは俺の提案なんだ。万全を期すために……!)
––––冷静な判断ですね
この提案を聞いて自分に放った
(クソッ……!)
内倉はもう一度、今度は先刻以上の強さで机を拳で叩きつけ、その机が大きく凹む。
(それに俺は何てことを……!大きなリスクを野放しにしてしまった……!)
––––オークション開催2日前
「お前らとの協力関係はここで破棄する」
内倉はDEEDが一般人、子供を巻き込んでいたことを知って怒りが湧き、契約の破棄を通告した。その場ではDEEDの面々とは戦闘となった。ほとんどのメンバーは重傷を負って逃走を図った。
––––殺さねば
そう内倉が判断すると同時に別要素が入り込む。
#####
––––この代償は高くつくよ
(おそらくこの失態は
内倉の脳裏に
(奴は俺のことをおそらく信用していない)
内倉がそう判断するのには理由がある。クラス内に潜む
さららに内倉は第10地区出身ではあるものの十二音の創設メンバーではない。サイクス第一研究所襲撃の数ヶ月前に
(奴からの信頼を取り戻すには……狩るしかないか)
内倉は自身の身の安全、十二音からの信頼、そしてミスを冒した自身の戒めのために自分を追う者たちを排除することを固く決意した。
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