第38話 俺の能力の件


  「フッフッフッ、待たせたな。トマトの諸君!」

 

 イヤァ、一度言って見たかったんだよね。子供の頃に見た再放送のアニメ。【野菜戦艦トマト】で敵の総統が通信で言った台詞。

 長年の夢が今、叶った。

 だから、そんな冷めた目で俺を見ないでくれ。サヤ、マコト、ケンジさん、アカネさん·····

 気持ちを切り替えて俺は真面目にステータスを出した。

  

「なっ、! 何だ! この出鱈目なステータスとスキルはっ!」


 ケンジさんが俺を褒める。(褒めてないが、俺は前向きに捉える男だ!)


「凄すぎる! サヤとマコトには勿体ない旦那様ね!」


 アカネさんが俺を称賛する。


「「やった!! これでトウジといつまでも愛し合える!!」」


 サヤとマコトが喜ぶ。

 ん? 喜ぶ? 何でだ? 疑問に思った俺は自分のステータスをじっくりと見た······ ヤってくれましたよ、金精コンセイ様が······

 以下が俺の成長したステータスだ。


 名前:トウジ

 性別:男

 年齢:三十二

 職業:【無職】神級職

 配偶者:サヤ・マコト

 レベル:15

 生命力:2,850 魔法力:1,600

 体力:1,375  魔力:725  器用:830  敏捷:980

 攻撃力:2,780(無敗刀むはいとう+680)

 防御力:2,490(竜牙の鎧(強化版)+1,200)

 スキル:【

 無音むおん:

  (味方)自身や対象者(物)が発するあらゆる音を消す グループを認識して使用可能

   (敵)相手を喋れなくして魔法詠唱を出来なくさせる 詠唱が必要なスキルも同様 また、音を聞こえなくする

 

 無効流むこうりゅうLv.MAX:(New)(進化)

  刀を用いる剣術 斬れないモノはない 斬撃無効を無効にする(ややこしい)


 無毒むどく:

  (味方)自身や対象者(物)の毒を消す 消せない毒はない

   (敵)自身や対象者(物)から消した毒を無限箱に保管でき、その効力を変化できる 毒を敵の体内に送りこめる

 

 無臭むしゅう:

  (味方)自身や対象者(物)の匂いを消す

   (敵)どんなに嗅覚に優れた者でも、匂いを感じなくさせる

 

 無空間むくうかんLv.2:(New)

  自身が行きたい場所までの空間を無くす 自身を含めて三人まで同時移動可能


 無機むき:(New)

  生命が無い存在を無限箱の素材を使用して作成出来る 形は自由自在


 無我むが:(New)

  を捨てて、自身が望んだ者とパーティーを組める


 無在むざい:(New)(進化)

  無いのにる、るのに無い状態 敵のあらゆる感知、攻撃無効 但しこちらからも何も出来ない 


 無傷むきず:

  自身や対象者(物)の傷を完全に消せる 欠損も復元する


 無汚むお:

  自身や対象者(物)の汚れを消す


 無謬むびゅうLv.8:

  対象者(物)を確認でき、論理的に判断する 自分の居る場所を中心に半径八キロで敵味方の居場所が分かる


 無病むびょう:

  自身や対象者(物)の病(しゅ)を消す

  消せない病(しゅ)はない

 

 無限箱むげんばこ:

  形のない箱で、何でも入れる事が可能 容量は無限はてない 内部は自動整理(解体)される

 

 無碍灯むげとう:(New)(進化)

  起点を中心に半径五センチメートル~百メートルの範囲(選択可能)を照らす、何ものにも妨げられない尽きない灯り 不死者はこの灯りにより昇天する


 金精コンセイ様の祝福:

  尽きない精(性)力(永久)

  女性喜ぶ左右の手指(意思を込めて触るだけで快楽が生まれる しかし、魔法力を消費する)


 (お主には最大限の神力を使用して祝福を送ったぞ! を極めようとしているお主にはピッタリな祝福じゃと思う! 我に感謝するが良い! たまに我に祈れよ! 皆にも言うておけイッ!)


 メッセージは消えた······ 俺って死ぬまで尽きないの精(性)力······ サヤとマコトが喜んだのはコレだろうなぁ······

 アカネさん、【女性喜ぶ左右の手指】をジーッと見つめてますが、貴女を相手に使用はしませんよ、俺は。

 イヤ、しかし誰にもバレない状況になったら······ ハッ! イカンイカン。そんな事を考えるのはダメだ。

 バカな事を考えるのを止めてスキルを確認していく。


 先ずは剣術流派が変わったな。無効流って。無回流と無鎧流が合わさったのか。しかし、説明文にもあるが、無効を無効ってややこしいな、ホントに。


 次は無空間か······ コレって転移だよなぁ。俺の知ってる転移とは何か違うけど。知ってるって言っても地球でラノベを読んで得た知識だが······ しかし行きたい場所までの空間を無くすって何? 無くした空間はどうなってるの? 分からねぇ······ 無謬を使用しても同じ説明だから、分からないのもしょうがないよな。うん、そう思おう。俺以外に二人は一緒に移動出来るんだな。Lvが上がれば人数も増えるかな? そうだと良いな。


 次は無機だな。コレで金精コンセイ様の依代よりしろを作ったんだよな。中々にタイミングの良いスキルだったな。

 しかし、生命が無い存在を今後作る事は無いよなぁ~······


 次は······ 無我だな。コレは訳が分からなかったが、マコトが説明してくれた。個人で持っている人もいる(エーメイさん)が、基本的には冒険者ギルドにある魔道具を使用してパーティー登録をすると、そのパーティーの誰が魔物を倒しても、登録した人に均等に経験値が配分されるらしい。

 ををッ、それは便利だな。明日のレベル上げにはコレを使用して行こう。


 そして、無在だ。無視と無色が合わさって進化したんだろうな。こちらからも何も出来ないけど、どうしても敵わない相手の時はコレで逃げるのがベストだな。範囲攻撃だろうが効かないから、逃げるのにもってこいだな。


 無謬はあと二つでLvカンストだな。今回はこの無謬に助けてもらったな。女性達の貞操を守る事が出来た。さすがは俺だ。誰も褒めてくれないから自分で褒めよう。


 最後に無碍灯か。無影灯でもタイガイだと思っていたが、何ものにも妨げられない灯りって······ それに不死者が昇天するって······ オェッ、イヤな事を想像してしまった······ 成仏するって事なんだろうけど、昇天って説明されるとな······ ひょっとして、そんな考えになる俺がおかしいのかな?


 ああ、そう言えば無限箱の自動整理に解体が加わってる。コレは嬉しい。狩った魔物を入れたら自動解体されるなんて、素晴らしいスキルだ。

 無限に入るしね。


 俺が自分のステータスを見ながらご満悦になっていたら、ケンジさんが疲れたように言った。


「うん、何か分からんが疲れたからトウジよ、無汚をかけて、俺とアカネの部屋に無音もかけてくれ。もう休むから」


 続いてアカネさんが少し顔を赤らめながら、


「そ、そうね。私も少し疲れたからもう休みたいわ。トウジさん、お願い出来るかしら?」


 そう言うので俺は素直に二人に無汚をかけて、二人が休む部屋に無音をかけた。晩飯をまだ食べてないが、お盛んな事で······ 余計に疲れても知りませんよ~。


 そして、俺はエルさんの所に顔を出す事にした。サヤとマコトにそれを言ったら、二人はその間に暴君リザードのステーキを焼いてくれるとの事。俺は丁寧に頭を下げてよろしくお願いしておいた。さすがに腹が空きすぎて限界にきていた。


 エルさんの所に行くと、既に晩飯を食べ終えて俺が来るのを今か今かと待ち構えていたらしい。


「良かった、トウジさん。こっちから呼びに行こうかと思ってたところなの。来てくれて有り難う」


 エルさんがそう言うので、俺はコソッと聞いてみた。


「エルさん、金精コンセイ様の祝福はどうでした?」


 少し顔を赤らめたが教えてくれるエルさん。


「エイダスが【性力増強】で、私が【感度最上級】だったわ」


 ウムウム、良い仕事するね。金精コンセイ様。

 そして、俺は家に入り皆に無汚と、二部屋に無音をかけて、念のために家自体にも無音をかけて上げた。

 そして、エルさんの家を出た俺を待っている人物が······


 テリャーさんとゴルドーさんだった。


「トウジ、頼む! アイツらの部屋に無音をかけてくれ!」


 ゴルドーさんから懇願された。テリャーさんから説明があった。


「チーズーとバーグが金精コンセイ様からもらった祝福の効果なのか知らないがハッスルし過ぎていてね。バーグのアエギ声が家中に響きわたってるんだ」


 ナヌッ、バーグさんのアエギ声? そこで俺は真実を知らされた。デコがバーグさんでボコがチーズーさんだと思っていたが、逆だったらしい······

 筋骨粒々のバーグさんがデコだと確信していた俺だが、真実は違っていたのだった······ 知りたくなかったよ······


俺は二人の懇願通りに無音をかけてあげてから家に戻り、サヤとマコトと一緒にステーキを平らげてから、部屋に無音をかけて、金精コンセイ様の祝福の効果を試してみた。

 結果、【ナニ】をする前に二人が果ててしまい、自家発で処理するという虚しい夜になった······

 効きすぎだよ、女性喜ぶ左右の手指······ 勿論俺は男なので、自家発には全然効果が無かった事を報告しておく。

 




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