第9話 恋人が出来た件
宿に帰って部屋に入った俺は、風呂に入った。
風呂から出て、おやつとして買った柔らかい干し肉を齧りながら、ステータスを確認する。
名前:トウジ
性別:男
年齢:三十二
職業:【無職】神級職
レベル:5
生命力:870 魔法力:520
体力:340 魔力:240 器用:400 敏捷:320
攻撃力:465(魔鋼小刀+55)
防御力:340(
スキル:【
(味方)自身や対象者(物)が発するあらゆる音を消す グループを認識して使用可能
(敵)相手を喋れなくして魔法詠唱を出来なくさせる 詠唱が必要なスキルも同様 また、音を聞こえなくする
刀を用いる剣術
(味方)自身や対象者(物)の毒を消す 消せない毒はない
(敵)自身や対象者(物)から消した毒を無形箱に保管でき、その効力を変化できる 毒を敵の体内に送りこめる
(味方)自身や対象者(物)の匂いを消す
(敵)どんなに嗅覚に優れた者でも、匂いを感じなくさせる
自身や対象者(物)の
形のない箱で、何でも入れる事が可能 但し三百メートルを越える物は入らない 内部は自動整理される
起点を中心に半径五十センチメートル~十六メートルの範囲(選択可能)を照らす尽きない灯り
スキルが増えた。
しかも、治癒?スキルだ。
消すから治癒とは違うかな?とも思うが、消すイコール治るだから、俺は治癒スキルだと思う。
異論は認めよう。
そして、効果が変わったスキルにも(New)の表示が出ている。しかし、Lvが上がっても(New)の表示は出ていない。その違いは何なのか······
考えても分からないので、考えるのを止めた。
時間がきたのでサヤちゃんと二人でエルさん宅に向かう。
お邪魔するとエイダスさんも帰っていて、頭を下げられた。
「トウジ、今日はエルとサヤを助けてくれて有り難う。心から感謝する。エルは叱っておいたから、今度からエルが無茶を言ったらトウジも遠慮せずに叱ってくれ。そして、サヤ! お前は今から説教だっ!」
そう言って、サヤちゃんを連れて部屋に入っていった。
連れ去られるサヤちゃんが俺に『助けて』の眼差しを向けてきたが、あの後に考えて見ると毒への対策を考えずに向かったのは、レベルが高い者としては失敗だったと思い、サヤちゃんの為に心を鬼にして、無視をした。
そこにエルさんがやって来た。
「トウジさん、ご免なさい。エイダスに言われるまで、どんなに危なかったか気付いてなかったわ。それに、トウジさんのレベル上げの為だったのに、自分達の為に暴走してしまって······」
俺はエルさんに言った。
「まあまあ、エルさん。二人ともに無事だったんですし、次からは気を付ければ大丈夫ですよ」
既にエイダスさんにかなり怒られてるだろうし、俺まで怒る事はないと思い、注意だけにした。
けっして、俺が美人に強く言えない訳ではない。
「有り難う、トウジさん。うん、次は絶対にあんな行動はしないと誓うわ」
エルさんはそう言って俺をリビングに案内してくれた。
「もう少し待ってね。サヤちゃんへのお説教ももうすぐ終わると思うから」
そう言って隣のキッチンへ行くエルさん。
俺は手伝うと申し出たが、そんな事をさせたら出てきたエイダスさんにまた叱られると言われたので、大人しく待つことにした。
五分後、エイダスさんと一緒に泣きながらサヤちゃんが俺の所にきた。
「さあ、サヤ。ちゃんとトウジに謝れ」
エイダスさんに促されてサヤちゃんが、
「ウェッ、ヒック、ヒック、ト、トウジさん、ごべんなさい。ぞじて、だすげでくれてあり、ウワーン! ありがとう、ごじゃいばしたーっ!ウワーン!」
泣いてるサヤちゃんの頭を撫でながら、俺は優しく言った。
「サヤちゃん、大丈夫だよ。結果としては今回は無事だったんだし、次からはあんな行動をせずに色々な可能性を考えて行動すれば良いんだから。さあ、泣き止んで。今から美味しいご飯をいただくんだから、笑顔で食べよう」
サヤちゃんは更に泣きじゃくっていたが、数分で落ち着いて、笑顔を見せるようになったから俺はホッとした。
そんな俺にエイダスさんが言う。
「トウジよ、余り甘やかすなよ。今回はトウジが居たから助かっただけで、もしも二人だけだったら死んでいたんだから」
俺はそんなエイダスさんに、
「まあ、知らなかった(俺のスキル)とは言え、俺という対策をしていたって事で、今回は二人を許して上げて下さい」
そう言って頭を下げた。
「いや、頭を上げてくれ! トウジ!俺はお前に感謝しているんだ! 頭なんか下げられたら困る!」
慌てて言うエイダスさん。
それで、今回の反省はもう終わりと言う事にして、エルさんの美味しい料理に皆が笑顔になりながら、楽しく食事をした。
そして、宿に戻る俺とサヤちゃん。
宿について、お互いに鍵を受け取り部屋に戻る俺に着いてくるサヤちゃん。
俺は内心ドキドキしながら、サヤちゃんに言う。
「サヤちゃん、部屋はあっちだよね?」
「トウジさん、ちゃんと謝罪をしたいからトウジさんの部屋に入れて下さい」
オジサン、オオカミになっちゃうよーっ!
何て思いは顔に出さずに、サヤちゃんに言う。
「いやいや、謝罪なんてしなくて良いよ。それに、サヤちゃんみたいな可愛い
俺は冗談っぽくそう言ってサヤちゃんに笑いかけた。
そしたら、サヤちゃんが顔を赤くして、モジモジしながら言った。
「あ、あの、トウジさんは地球ではご結婚されてたんですか? もしもですけど、私が好きって言ったらご迷惑になりますか?」
んなっ!? 何ですとーーっ!
そんな事を聞かれたらオジサンは勘違いしちゃうぞ!
「いや~、サヤちゃん。恥ずかしながら、俺は結婚どころか、恋人も居なかったよ」
俺の返事を聞いて、更に顔を赤くしながら嬉しそうになるサヤちゃん。
「あっ、あのですね。謝罪はしないので、お互いに能力を見せ合うのはダメですか?」
おおう! そう言えば俺もサヤちゃんのステータスは気になるぞ!
よし、ここは大人な俺が折れよう。
「分かったよ、サヤちゃん。俺の部屋で良いかい?」
「は、はい!」
そして、二人で部屋に入った。
サヤちゃんが先ずはオープンステータスで見ましょうと言うので了承した。
名前:サヤ
性別:女
年齢:十八
職業:刀師
レベル:37
生命力:1,275 魔法力:815
体力:922 魔力:418 器用:360 敏捷:220
攻撃力:685(ミスリ合金刀+385)
防御力:540(
スキル:
中級魔法(風・土・闇)
名前:トウジ
性別:男
年齢:三十二
職業:無職
レベル:5
生命力:870 魔法力:520
体力:340 魔力:240 器用:400 敏捷:320
攻撃力:465(魔鋼小刀+55)
防御力:340(
スキル:無
二人でオープンステータスを見比べていると、サヤちゃんが大きな美しい目を更に大きく見開いていた。
俺はと言うと、レベル差の割に能力値の差が小さいなと思っていた。器用と敏捷に関しては俺の方が数値が高いし。単純に男女の違いだと思ってた。
しかし、サヤちゃんの言葉でそうじゃない事を知った。
「ト、トウジさん! 何でレベル5でこんなに凄い数値ナンですか!? これは······」
そう言って黙り込むサヤちゃん。
不安になった俺はサヤちゃんに聞く。
「えっと、俺もレベルが上がる度に、上昇値が大きいなぁって思ってたけど、これが普通じゃないのか?」
「トウジさん、今のトウジさんは戦闘経験が少ないだけで、能力値だけで言うなら
サヤちゃんは少し潤んだ瞳で俺を見ながらそう言って、ジリジリと俺に近付いてきた。
俺は逆にジリジリと下がりながら聞く。
「えっと、サヤさん? 何でジリジリ近付いてきてるのかな?」
そう聞いた俺にサヤちゃんは言う。
「あの、部屋に入る前にも言いましたが、好きです! 抱いて下さい!」
「いや、あの、サヤちゃん、落ち着いて!」
「無理です! こっちに来て四年! トウジさんは、やっと出会えた理想の男性です! それとも、私みたいな女じゃダメですか?」
「ダメじゃないですっ!」
そこまで言われて、理性も崩壊した俺はサヤちゃんと目眩く官能の一夜を過ごした。
最後に残っていた理性の欠片で、部屋に無音をかけた俺を誰か褒めてくれ!!
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