3-15話 旅行の続きと帰り道
病院の入り口に
「ここでお別れですね、壮亮さん、津麦さん」
「名残惜しいわ、日菜菊さん、莉子さん……」
「何かあったから言ってほしい。ヴァンパイアの威信にかけて、ご恩返しをするよ」
別れの挨拶を終えると、日菜菊と莉子は、特殊部隊が用意した車に向かった。
日菜菊と莉子、家族連れ、旅館の亭主、おかみさんは、旅館に戻った。全員怪我をしていたわけではなかったし、日菜菊たちにとっては元々2泊3日だった旅行の続きということになった。
大学生グループのうち怪我をしていなかった二人は、
日菜菊たちの泊まった旅館は、グールが暴れたし、天狗の魔具で呪いをかけた人たちとの戦いがあったので荒れてはいたが、特殊部隊が掃除をしてくれ、旅行を楽しめるレベルにはなっていた。
村中を特殊部隊が調査しているという異様な状況ではあったが、日菜菊と莉子は残りの観光スポットや、別の温泉スポット等も楽しんだ。家族連れの姉弟が日菜菊と莉子に憧れてしまったようで、同行していた。
夕飯は、食材の調達が上手くいかず、予定通りのメニューにはできなかったとおかみさんが言っていたが、ただの謙遜なのではないかと思うほど美味で、日菜菊たちと家族連れは一緒に夕飯の時間を楽しんだ。
翌朝、旅館を出る時間になり、家族連れの弟が泣くのを日菜菊と莉子とでなだめた。
「今度何かあったら、君がお姉ちゃんたちを守らなきゃね」
「約束よ」
「うん……」
グズる弟の手を姉が取った。
「私、日菜菊さんや莉子さんみたいなかっこいい女になりたい!」
そんなことを言う姉と少し雑談をした後、家族連れは車で宿を後にしていった。
「それでは、本当にお世話になりました」
「料理も部屋も温泉もとっても良かったですよ」
日菜菊と莉子が旅館の亭主とおかみさんに挨拶をする。
「せっかくの旅行だったのにあんな大事件が起きて申し訳なかったわ。けれど、お二人には本当に感謝しているから」
「今度、他の友達も連れてまた遊びに来てくれると嬉しい」
おかみさんと亭主が言った。
「はい」
「きっと来ます」
そう言うと、日菜菊と莉子は荷物を持って旅館を後にした。
File 3 対決・ヴァンパイア 完
次話より新章
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます