好きを知らない君へ
3362
第1話 告白
「お、俺と...付き合ってください!」
2年の夏休み明けの始業式に俺、吉野璃空は学校裏で好きな人に告白をした。成功するかは分からなかったがずっとうやむやにしているよりはいいと思ったからだ。今までアプローチとかしていた訳でもないし、まあ失敗するだろうと思った。でも俺が好きになった人、漆憐はミステリアスな人で、学校でも会話をしている所は見たことがない。だから期待したのだ。
(付き合ったことないならワンチャンOKしてくれるかな)
でも違った。告白自体は成功したのだ。でも彼女がこんなこと言われるなんて思わなかった。
「じゃあさ、私と結婚できるの?」
「も、もちろん頑張って幸せにするよ!」
「...」
「...」
「名前」
「え?」
「私まだ、あなたの名前知らない」
「あ、そっか...俺は吉野璃空、リクって呼んで!」
「じゃあ吉野くん、今日学校が終わったらうち来てよ。家族いないし」
告白の回答も言わずに、家に誘ってきたのだ。
別に今日予定がある訳ではないが名前も知らない男を家に呼ぶなんてことがあるのか?それとも俺に彼女がいた経験がないからこその違和感?レンさんが経験豊富だから?
「なんで黙ってるの」
「え、あ...ごめん、考え事してたんだ。でも名前も知らないような男がレンさんの家に入るのはどうかと思うな...」
「私と付き合いたかったら今日家に来て」
と言って肩にかけているボストンバッグの中から筆箱と紙を取り出して文字を書いて渡してきた。
「8時ね」
「あ、うん」
俺の返事を聞いたらすぐに帰ってしまった。
(てか、8時って遅くないか...?今が3時だからあと5時間...家に帰ってその間に夕飯とか食べとくか)
そういえば連絡先は貰えなかった。貰えたのは住所だけが書かれたノートの切れ端。横線にあわせてあって、字が綺麗。
(まずは帰るかー)
俺がいるのは第7校舎の裏で、正門からは遠い。裏門は東側だし、自転車置き場もここにはない。人気が少ないからこそここを選んだのだが、
「あーあ、めんどくさいな」
----------
午後8時。俺はレンさんの家の前にいた。街頭はあるが人は歩いていない。まあ午後8時だし。
俺は呼び鈴の前に立った。ちょっとだけ緊張する。
(初めての女子の家かぁ。仲良くなった彼女の家に入るのかと思っていたが、まあこんな形でも女子の家に入れるのは嬉しいな)
そんなことを考えながら呼び鈴を押そうとした。
ガチャン
「早く入って」
押そうとしたが押してない。そして起きているとも思わなかった。家の電気が全て消えていたからだ。
とりあえず家に入ると彼女は階段を登って自分の部屋に向かっていた。
「お邪魔します」
「誰もいないから」
(でも挨拶はした方がいいだろ)
と思いながら彼女の後をついて行った。
彼女の部屋に入るとベットに座っていた。
「私とHして」
「え?」
俺の耳がおかしいのか、変な言葉が聞こえた。
「Hしてって言ってるの」
「ち、ちょっとまって、俺たち話すの初めてでしょ!?」
「はやくして。家族が帰ってくる」
こうして俺の童貞は彼女の処女と一緒に失われた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます