異世界横断ウルトラクイズ
工藤千尋(一八九三~一九六二 仏)
第1話「『ハーレム』でちやほやされたいかああああああああああ!!」
記念すべき第一回『異世界横断ウルトラクイズ』予選前夜。時刻は深夜三時。やる気のある参加者は寝袋持参で予選が行われる『異世界コロシアム』の外で眠っている。
「…すいません」
マイクを持ったスタッフが寝袋で寝ている参加者らしき人間の一人に声をかける。
「おはようございます!」
急に明かりで照らされ、マイクを向けられたものが眠そうな目を擦りながら、あれ?眼鏡かけっぱなしで寝てますねえ―。
「…お、おはようございます…。え、今何時ですか?」
「何時?汝は君だろう!」
やけに高いテンションでマイクを向けるスタッフ。
「い、いや…。まだ三時じゃないですか…」
「いやいや!君はラッキーだよ!実は今日の第一問のヒントを特別に教えてあげようと思ってね」
「…本当ですか!?」
「ところで君はどうやって転生してきたの?」
「いや…、トラックに轢かれそうな子供を助けようとして死んじゃいまして」
「子供を助けようとしてトラックに!!ベタだねえ!!何かチートとか手にしたかい?」
「いや…、まだこれからの予定でして…」
「ハーレムは?」
「いやあ、あるといいですねえ。いや!きっとあるはずですよー」
「かばやろー!『ウルトラ』の異世界はそんなに甘くない!!」
「で、今日の第一問目のヒントは…」
「かばやろー!『ウルトラ』の異世界はそんなに甘くない!!」
多くのご都合主義を期待した『転生者』(ほぼ全員、子供をかばってトラックに轢かれてこの世界へ)が参加する『勝てば天国!負ければ地獄!』、地上最大の第一回『異世界横断ウルトラクイズ』の幕が切って落とされる。
『異世界コロシアム』に集まった参加者のカスは、いや、数は実に一万と五十一名。
「『ハーレム』でちやほやされたいかあああああああああああああ!!!」
「おおおおおおおおおおおお!!!」
「どんなことをしてでも『ハーレム』でちやほやされたいかああああああああああ!!!」
「おおおおおおおおおおおおお!!!」
「『追放』は怖くないかああああああああああああああ!!!」
「(え?)おおおおおおおおおおおおお!!!!」
「『ざまあ』は恐くないかああああああああああああああ!!!」
「(え?)おおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「そう!この『ウルトラ』の異世界は『知力』、『体力』、『時の運』どころか『スマホ』だろうと『ネット』だろうと使い放題!!なんならご都合主義の『チート』も使っていいよ!」
背中に「FUKUTOME」と書かれた『あの』カリスマ司会者が盛り上げる。盛り上げる。
「あ!あの人は!」
「そう!私はこの『異世界横断ウルトラクイズ』の総合司会を務める『とめ』さんです。よろしくうううううううう!」
「おおおおおおおおおおおおおおおおお(いいんだろうか…?怒られないのか?)!!!」
いよいよ一万と五十一名の『転生者』による壮大なる『異世界横断ウルトラクイズ』の幕が切って落とされる(二回目)!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます