『オオカミさんとおにさん』

やましん(テンパー)

『オオカミさんとおにさん』


 いつか、かなり、さきのこと


 おおかみさんと、おにさんが言い争いになりました。


 どちらが、よりたくさん、にんげんを食べたのか?


 という問題でした。


 しかし、話し合いはまとまらず、ついに世界戦争になりそうになりました。


 そこで、心配した、ごきさんや、ちゅうさんたちが、『地球生き物仲裁裁判所』に、仲裁を申し立てました。


 裁判所は、双方の言い分を聞き、提出された、古くからの文献や資料をもとに、調査しました。


 その中には、ジェボーダンの怪物とか、大江山の鬼とか、赤ずきんちゃんとか、鬼婆伝説とか、ピーターと狼とか、また、20世紀から21世紀に地球で作られた、たくさんの『アニメ』類の残存物とか、『映画』の断片、とかもありました。


 長い審議の末、裁判所は、ついに双方に和解を勧告しました。


 『詳細な分析調査を行ったが、確たる証拠には至らず、事実かどうかわからないものも多く、もはや、具体的な数の認定は不可能で、お互いに争う意味はない。良く話しあって、和解しなさい。』



 ある、『いか族』の学者が解説しました。


 『食べられた側の人間が、絶滅してから長く経ち、何人が、他の生き物に食べられたかなんて、もう、わからない、いか。まあ、彼らが食べた数のほうが、圧倒的におおいのだけは、間違いない、いか。他の生物を絶滅させた最大の生き物が、人類、いか。』



      **************


 そのころ、遠くの銀河に、光速に近い速度で旅行して、他の世界に移住した人類の残りのグループが、2億年以上たって、ようやく、地球に戻ってこようとしていました。


 『まあ、人類がそのまま残ってる可能性は、少ないだろうなあ。』


 隊長が言いました。


 しかし、そこから、各種生きものたちは、またまた、しばらくは、受難の時代を迎えることになったのです。


 帰ってきた人類は、なぜだか、相当に、パーワーアップしていて、ちょっと人類とは思いがたかったのですが。


 おにさんと、おおかみさんと、いかさんと、さめさんと、ごきさんと、ちゅうさんと、わにさんなどが、合体したような姿だったのです。

 

 

      **************




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