残り時間は150日

紫海もだ

第1話 プロローグ

「ついに出来た、、、」


最愛の妹の夏美が亡くなってからの10年間もの間、少しも笑わなかった博士の口角が上がった。


博士の目の前には綺麗な女性が横たわっている。


真っ黒なロングヘア、長く綺麗なまつ毛、すっと通った鼻筋、薄い桜色の唇、透き通るような白い肌。


「ついに、、、ついに復讐の時がきたぞ、、、」


博士は長いこと切っていないボサボサの長い髪をかきあげ、ゲラゲラと笑った。


その目は長年の恨みで満ち溢れている。


「俺の大切な夏美を奪ったアイツを、、、ついに、、、ついに、、、」


博士は少し興奮したようにしばらく笑っていたが、不意に落ち着きを取り戻し


「さて、、、こいつをどうやってあいつの元にやるか、、、」


と悩み出した。


「、、、そうだ!おい、ナツミ!ここの上に置いてあるロボットは充電が100%になると自然に起き上がるから、そしたら矢田瑛斗という男の家の前に連れて行ってやれ」


少しの間悩んでいたが、博士は目の前に横たわっている女性を指さし、部屋の隅でじっとしていた無機質なロボットに指示した。


「カシコマリマシタ」


無機質なロボットはすっと博士の前に出て、感情のない、片言の返事をした。


「俺は久しぶりにゆっくりと眠ることにするよ。今日はいい夢が見れそうだ」


博士は不気味な、引きつったような笑みを浮かべ、部屋を出た。

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