第8話

俺が家に帰ると響が廊下に倒れていた。


「響!どうした!大丈夫か!どっか痛いのか!?」


「うっ、怜、斗…か?」


「あぁ、そうだ!どうしたんだ!」


「……は」


「は?」


「腹減った」


俺は響を放り投げた。


「俺、遅くなるからどっかで飯食ってこいって言っただろ」


俺は響に余り物で作った飯を与える。


「いは、おはへひあいひはほほが」


「食ってから喋れ、何言ってる解らん」


響は5分もかからず飯を食い終わった。


「それで?俺に何を伝えようとしたんだ?」


「そうそう、、怜斗、お前もVTuberにならないか?ならないなら……〇す」


「辞めろ、そのセリフは色々とまずい。てかVTuberにならないかってどう言う事だ?」


「実はな、俺の所属しているVスタの人がな」


「あぁ」


「前のお前が出た配信を見てこれは逸材なんじゃないかって思ったらしくてな。それでお誘いが来た訳だ。」


おいおいマジかよ。VTuberって本来、審査?みたいなのをして決めるんじゃないのかよ。


「それで?俺にどうしろと?」


「俺としてはお前にVTuberになって欲しいんだが多分お前は断るだろ?」


「よくわかってるじゃないか」


「だから俺のペアとしてやって欲しいんだ。」


「は?」


何言ってこいつ。


「悪いな、俺はVTuberになるつもりは無いぞ。」


「そこをどうか!」


「いくらお前の頼みだとしても、それだけは無理だ。」


俺はキッパリと断る。

それと俺は断る理由をのべる。


「VTuberってのは本来、しっかり審査をして決めるんだろ?」


「あぁ、そうだが…」


「つまりVTuberになりたくてもなれなかった人がいるわけだ。」


「そ、それがどうした?」


ふむ。こいつは理解出来てないようだ。


「じゃあもし、お前が審査に落ちて、たまたま事故で配信に声が乗ってしまった人が、VTuberに誘われてVTuberになってたらどう思う?」


「それは、なんでこいつなんかが!て思うな。」


「つまりそう言う事だ」


流石に響も理解したようだ。


「す、すまなかった。俺も良く考えてなかった。事務所の人にも断るという事を伝えておく。」


「あぁ、そうしてくれ」


そう言って響は部屋に戻って行こうとして、何故か立ち止まった。


「どうした?」


「言うの忘れてたけど、この後配信するからお前も出てくれ」


そういうのは忘れんな!!


「そう言う事は早く言え!」


「さーせんしたー。とりあえず10分後に俺の部屋来てくれ」


「あぁ、わかった」


また配信することになってしまった。


俺は配信が始まるまでに風呂に入ることにした。


俺が風呂から上がり、響の部屋に向かうと響は既に待機所を作っていた。


「怜斗!そろそろ始めんぞ!早くこっち来いよ!」


そう言って響は俺を手招きする。


「あれ?今日いつもより多くない?」


そう、いつもの配信よりも待機所の人数が多かったのだ。


「あぁ、前のお前が出た配信の切り抜きがプチバズりしたらしいぞ」


「マジかよ」


そう思って待機所に流れているコメントを見ると


: 切り抜きから来ました!イケボで家事ができる男子が居るのはここですか?


: 切り抜きから来ました。漫才が見れる配信と聞いて


ミエル:私の嫁がいると聞いて


:ミエルさんww


:ミエルおるw



と言うコメントが多く寄せられていた。

てか俺はいつミエルさんの嫁になったのだろうか。


そうそう、ミエルさんって凄い人(?)だったんだな。


前たまたま、ミエルさんの配信が流れてきたから少し見てみたら登録者30万人を越えてたぞ…


「それじゃあ始めるぞ!」


そう言って響は配信を始めた。


「よぉ!お前ら!元気にしてたか!?」


:元気ーーー!


:元気です!!


:早くフィルをだせー!


:人質を解放しろ!


「人質を解放して欲しければスパチャを寄こせ!」



:くっ、いくらがお望みだ!


:これで解放しろ! ¥3000


ミエル:フィルくんを嫁にください¥50000


:ミエルさんw


:マジかよww


こいつ、俺を餌に金を巻き上げやがった

てかミエルさん!?5万も!?


「ふん、まぁいいだろう解放してやる」


「え、えとどうも、フィルです。皆さんこのバカにスパチャなんてしなくていいですよ」


ミエル:フィル君来たーーーー!


:フィルーーー!愛してるぞーーー!


:フィルがスパチャしなくていいって言うならもうしないことにする!


「ちょ、スパチャくれなきゃ俺金欠になるんだけど!」


「で?今日は何をするんだ?」


俺は別に響が金欠になっても関係ない。


「今日はマイブロをしようと思う。てことでパソコン持ってこーい!」


:マイブロ!


:フィル君の建築センスはいかに!


:キョウは建築センス全くないからなw


今日はマイブロをするらしい。


マイブロとはマインブロックの略でオープンワールドの広い世界で、何も無い状態から、街を作ったりはたまた、大冒険などができる大人気ゲームだ。


「あぁ、わかった。少し待っていてくれ。」


俺は自分の部屋にノートパソコンを取りに行く。


俺のパソコンは最新機種でマイブロくらいならヌルヌル動く。

だがFPSは、少し重くパソコンの寿命が縮むかもしれないのでやらないようにしている。


「お、持ってきたか!じゃあもうワールド作ってあるから入ってきてくれ」


「了解」


俺はマイブロを立ち上げて、キョウが作ったワールドに入る。


キョウが作ったワールドの読み込みが終わると目の前には森が広がっていた。


「初手、ジャングルか」


:おぉ、ジャングル!


:まず何すんの?


:オウム居るじゃん!


「あれ?キョウどこだ?」


俺の近くに響の姿が見えない。


「フィル!遺跡見つけた!!」


「まじで?どこどこ?」


遺跡とは偶にジャングルで見つかり、中にはダイヤなどの宝物が入っているレアな建造物だ。


:まじじゃんw


:運良すぎでしょ


:キョウ建築センスはないが運は良いからな



「別に建築センスなくたっていいじゃん!冒険するんだから拠点なんて無くていいって」


:まぁ、それも一理ある


:でも私は早くフィル君の建築センスが見たいなー


:拠点は必要でしょw


などと響が視聴者と話してる間、俺は黙々と木を切って、石を掘っていた。


「よし、とりあえずこれで十分か」


「?フィル!何やってんだ?」


「資材集めてる」


「いや、それは見てわかるわ!」


:草


:それは見たらわかるw


:もしかして建築するのか?


「そそ、建築すんの」


「おぉ!まじか!どんな豆腐ハウスができるのか楽しみだ!」


:豆腐ww


:いや、意外と資材多いから豆腐にはならないと思う。



豆腐ハウスとはマイブロで建築センスのない者が建物を作ると、豆腐のような四角の建物になることから付けられた名前だ。


「大丈夫、豆腐にはならない」


「おぉ、凄い自信だ!」


:言ったな?


:言い切ったなw


:フィル家事するから器用だと思うし大丈夫でしょ


俺はまずジャングルを抜けて、草原に出た。


そして木材で外枠を作り始めた。


:迷い無く置いてくなw


:これは期待大


:置くの早くね!?


そして10分で出来上がった。


「すげぇぇぇ!フィル!お前すげぇよ!」


「まぁ、こういうの好きだからね」


:すげぇw大豪邸じゃんw


:やべぇよやべぇよ


:みんな!私フィル君に好きって言われた!


:↑悪質な切り抜きワロタ


「よし、俺ここに住むわ」


響がそう言う。


「おい、お前拠点なんていらないーって言ってなかったか?」


「はて?なんの事やら」


:なかったことにしてるww


:内装もオシャレすぎでしょ


:【速報】フィル氏、建築センス神だった。


みんな俺の建築を褒めてくれる。


「資材が少なかったから大した物作れなかったけど資材がもっと集まったらさらに凄いの作るね」


「マジかよ、引くわ…」


なぜに!?


それから20分ほどして配信を辞めることにした。


「じゃあ今日はここまで!」


:えーーー


:嫌だ嫌だー


:もっとフィル君の建築みたいいいい


ミエル:面白かった!フィル君!今度一緒にマイブロやろうよ!


:コラボ有り得る!?


「え〜と、俺はコラボとか分からないのでキョウに言ってください。すいません。」


「俺は別に全然コラボしていいぞ!まぁ、そのことはまた後で決めるか、」


「そうだな」


「じゃあ今日はここまで!またな!お前ら!」


:またなーー


:コラボ楽しみにしてる!


:じゃあね!フィル君!


:じゃあな!フィル!


こうして俺の2回目の配信が終わった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

読んでいただきありがとうございます!


沢山のフォロー、応援、星、ありがとうございます!


色々と内容などを治してたら長くなっちゃいました。


次は、後輩の鈴との建物にデート回にします。


アドバイス、誤字脱字などがありましたら教えてください!


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