第26話 追放した冒険者は魔物になった


俺はゲルドさんとエリスお嬢様をオークロードから離して置いてきた。


かなり激しい戦いになるだろうからな。


戻ってきた俺の目の前にはオークロードが立っていた。


まるで待っていたのかのごとく。



「ウェル・ベルク!!!!」



そう叫ばんでも戦ってやるよ!


こいつは普通の魔物とは違う。

恐らく魔力を集めて作った模造品だ。


ダメージを与えて魔法で作った魔力を減らせば

恐らく闇魔法『マナドレイン』が通用するはず。

そして、『マナドレイン』で魔力を吸い取ればヴィリーも元に戻るはずだ!


だから戦って弱らせてやる!

手荒なのは許せよ!


俺は剣を二本鞘に収めてラーニングを発動。



「ラーニング2つ同時発動!

『ドラゴンクロー』、毒魔法『ヴェノム』。

合成!『ポイズンクロー』!!」



グリーンドラゴンの爪の攻撃に毒魔法を乗せたポイズンクロー。


ラーニングはかすっても習得するから便利だ。



ズババ!!



「ぐおおおお!!!」



素早さは俺の方が上。

モロに入った。



「毒の影響で再生を追いつかなくしてやる!」



まずは毒魔法の効果で再生を相殺。

ずっと再生されると厄介だからな。



「す、すげえ…」



「今のはゲルドさんの渾身の一撃に匹敵するぞ!」



その光景を眺めていた冒険者たちが呟いた。


なんと! ゲルドさんの技に!?


さすが危険度Sランクの魔物の技だ。

しかし、消費する魔力も大きいからそこまで多様できそうにないな。



「これでついでに動きが鈍くなってくれれば…。

…あ…あれ?」



オークロードは近くにいたハイオークを食べ始めた。



「うわ…何してんだ…?

まさか…!?」



オークロードがハイオークを食べ終わると傷が治っていった。

毒の状態も解除されたようだ。



「ぐおおおお!!!

ウェル・ベルク!!!!

コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス!!!!!!!!!!!!」



怖いなぁもう…。

オークロードが斧を俺に向かって振り下ろす。


俺は鞘に納めた剣を一本抜いた。



「ラーニング2つ同時発動!

『剛剣』『サンダーボルト』

合成『雷の剛剣』!!!!」



ゲルドさんのパワーと中級雷魔法だ。


オークロードの斧と俺の剣が激突する。



ズガガガガガーン!!!!!!!!



ものすごい衝撃と雷鳴が周囲を覆った。



「な、なんて戦いだ…」



「俺たちも負けてられねぇ!!

残りのオークを退治するぞ!!!」



他の冒険者たちの戦意がよみがえる。



そして、俺の方はと言うと…。



「グギギギギギ!!!!」



オークロードとの体格差は大きすぎる。


オークロードの身長は600cmほど。

俺は150cmほど。


やはり、押し返せない。


パワーで勝負はしない方がいいな。


俺はオークロードの斧を剣で滑らせた。



ズドーン!!!



すると斧は地面に勢い良く落ちた。



「ぐおおおお!!!」



そして、俺はオークロードの懐に入る。



「ラーニング2つ同時発動!

『剛剣』『ドラゴンクロー』

合成『竜爪の剛剣』!!!!」



ズガーン!!!!



グリーンドラゴンのパワーとゲルドさんのパワー。


この組み合わせならどうだ!?



しかし、オークロードはダメージは負っているがまだ倒れる様子はない。



「ぐおおおお!!!」



さすが危険度Sランク。


これくらいじゃまだまだダメか。



それから激しい攻防が始まる。


斧を振り回すオークロード。

それをかわしたり受け流したりしてカウンターに

技を決めるウェル。


しかし、なかなかダメージが通らないオークロード。


さきほどハイオークを食べたことによって更に丈夫になったみたいだ。



「ラーニング2つ同時発動!

『迅剣』『ドラゴンクロー』

合成『竜爪の迅剣』!!!!」



高速の斬撃に強力なドラゴンのパワー。


オークロードにその攻撃を浴びせるが

すぐにまた再生する。



「ぐおおおお!!!」



こいつのスタミナは無限か!?



「はぁ、はぁ」



や、やばい…俺の魔力がつきかけてきた。

やはり、グリーンドラゴンの技はすぐにバテる。


よし、近くにいるオークの魔力を奪うぞ!



「闇魔法『マナドレイン』!」



そして、マナを回復させるウェル。


しかし、困ったことに…。



「やべぇ!!

他の冒険者がオークを倒しているから今のがもしかしたら最後の一体!?」



いや、まだだ!

普通の魔物でないならジェネラルオークでもジェネラルオークでも弱っていれば『マナドレイン』が通用するはず!



俺はすぐさまジェネラルオークを見つけて。



「空間魔法『テレポート』」



ジェネラルオークのところまで瞬間移動して後ろを取り。



「うりゃ!!」



一瞬で首をはねる。

そして、



「闇魔法『マナドレイン』!!!!」



ぎゅうううん。



成功した!!

思った通りだ!!


ジェネラルオークからの魔力が俺の中に入ってくる!



「ぐっ! あまり何体も使えないな!」



ジェネラルオークだけで結構おなかいっぱい。



なので、テレポートをしてオークロードの近くに行ってすぐに放つ。



「ラーニング2つ同時発動!

『ドラゴンクロー』『ファイアブレス』

合成!『火炎竜爪』!!」



俺の爪は炎に包まれたドラゴンの爪のようになり

オークロードを攻撃する。


ズドーン!!!



まだまだ!!!!!



「ラーニング2つ同時発動!

光魔法『フォトンショット』『迅剣』

合成!『光の迅剣』!!」



『光の迅剣』。

光属性の高速剣技。



俺は何度も技を繰り出し

魔力がつきかけたらオークから補充する。

これを何度も何度も繰り返した。


しかし、これでも決め手にかける

それでも手を休めればすぐに再生してしまう。



「はぁ…はぁ…」



その前に俺の疲労の方がピンチだ。


まずい…。


このままでは俺の方が倒れそうだ。


オークロード。


同じ危険度Sランクだが

グリーンドラゴンよりもタフだ。


更にオークの数が減ってきている。


参ったな…。

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