第七十五話
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去年、
姉は自分の命は長くないと知ると、倒れた周五郎に
「周五郎、このまま私の下に隠れていなさい。徳川軍が去るまで……」
周五郎は、反対した。
「何を
「いいえ、それは無理です。徳川の兵は、多すぎます」
「しかし姉上!」
「いいですか、周五郎。あなたは生き残るのです。生き残って大阪を、立て直すのです……」
「しかし!」
「周五郎、徳川を
そう言い残して周五郎の姉は、亡くなった。その美しさから多くの男に
周五郎は怒りと悲しみのあまり、血の涙を流した。
「お、おのれ徳川……。許さん! 許さんぞーー!!」
朝になると、徳川軍の雑兵は去っていた。しかし周五郎は姉の
通常、大坂から江戸まで
そして江戸に着き江戸で一番の
周五郎は本郷に会うと、
「本郷様、私を
「ああ、まあ、俺はやる気があれば誰でも弟子にするがお前、一体どうした? ぼろぼろじゃねえか?!」
「はい……。大坂から、一人できたので……」
本郷は
「そうか、大坂からきたのか。それは大変だったな……。いいだろう、弟子にしてやる。はじめは
周五郎の表情は、明るくなった。
「はい! よろしくお願いします!」
「それはそうとお前、
「はい、いただきたいです……」
「よし。ならまずは、腹いっぱい食え。仕事はそれからだ」
周五郎は、深く頭を下げた。
「はい! ありがとうございます!」
だが周五郎は、決心していた。ここで刀の作り方を覚えて、いずれ独立すると。そして金もためて刀と金という力を手に入れて、いずれ徳川に
これは周五郎が二十歳の時のことで、周五郎は元々手先が器用で武器を作る仕事をしていたので一年もすると、刀を作れるようになった。そして本郷から、独立を許された。
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周五郎は、『
そして今、江戸で最強の
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両方に刃が付いた西洋の武器、
「そうそう、やはり妖剣は刀工ではなく、戦士が持たなくちゃね……」
周五郎は少し、不満そうに告げた。
「早く返せよ、壱岐。私はそれで……」
壱岐はやはり、微笑んでいた。
「分かってますよ、周五郎さん。でももし周五郎さんが死んだら、返す必要も無くなりますよね?」
「な、何?!」
壱岐は『炎王』で、周五郎の左肩から右の腰まで
周五郎は、訳が分からないという表情になった。
「い、壱岐! き、
壱岐は、当然という表情で語った。周五郎様は、甘い。こんなに江戸中で火事が起きているのに、死人は出ていない。当然だ。人が住んでいない、
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