第六十九話
●
少しすると
火消しが、消火した長屋を調べてみると古い長屋なので最近、人がいた様子は無い。それに火の気も無かった。どうして火事が起きたんだろうと、不思議がっていた。
美玖はその様子を見て、これから何か嫌なことが起こるかもしれないと、不安な表情になった。すると再び近くの長屋から、火の手が上がった。
「くっ」と美玖は再び、消火活動を始めた。火消しも左右の長屋を壊し始めた。すると更に少し離れたところから、四つの火の手が上がった。
これは異常事態だと美玖は考えようだが、とにかく消火するしかなかった。
「もっと火消しを呼べ!」
「水をくんだ桶を、俺に渡せ!」
「とにかく火を消せ!」と、その
これはさすがにまずいという表情のことみが、火消しを呼びに行こうとした時、女が立ちふさがった。伸ばした前髪が左目を隠した、
ことみは必死の表情で、叫んだ。
「何なの、あんた?!
すると
「そうは、いかないねえ……。あんたの相手は、この私なんだから……」
「何ですって?!」
女は微笑しながら、続けた。
「私の名は、
そう言い放つとお杉は、
「ふふふ。これは
ことみはその突きに、『
「ふん。こんな攻撃、私には効かないわ!」
すると、お杉は
「ふふふ。それは、どうかしら?」
そしてまた、『毒』の突きを数回、放った。ことみはまたも、『陰』と『陽』の突きで相殺した。
ことみは、
「だからこんな攻撃、私には効かないって言ってるでしょう! ってあれ?……」
すると、ことみの呼吸が荒くなってきた。
「あれ? 何これ? い、息が苦しい……」
お杉は、
「ほーほっほっほっ! これが妖槍『毒』の
「しゅ、周五郎? そ、そいつがこの妖槍を作ったの?……」
お杉は、なおも笑っていた。
「ふふふ。あなたは知らなくても、いいことよ……」
そして『毒』で一回、突きを放った。
息が苦しくなり動きが悪くなっていたことみは、この攻撃を防げずにまともに腹部に喰らった。
「ぐはっ!」
すると腹部が、苦しくなった。
「こ、これは一体?……」
お杉は勝ち誇って、説明した。毒突きを喰らった者は、
ことみは考えた。ま、まずい……。呼吸困難だけでもまずいのに、多臓器不全……。これは、一気に勝負をつけるしかなさそうね……。
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