第十七話
俺は、乗り気になった。
「三人の
すると
「では三人の辻斬りを、
「ああ、やるぜ。ちなみに報酬も三人分だろうな?」
「もちろんでございます!」
「よし、
するとやはり、徳右衛門は喜んだ表情になった。
「では取りあえず、ここの飲み代も
俺は徳右衛門の
「やれやれ、こいつは悪い酒だな……」
すると徳右衛門は、ふらつきながら立ち上がり
「ですが、もう大丈夫!
俺は更に、あきれた。
「やれやれ、お前はもう飲まない方がいい。帰るぞ」
「りょーかい、しました!」と、徳右衛門は支払いを済ませ、
「お前、少し
「すみませーん、お
●
おゆうの長屋に着き、俺たちが入ると
「まあまあ、何ですか誠兵衛さん、その酔っぱらいは?!」
「まあ、そう言うな。こいつはこれでも与力なんだ。それに仕事を頼まれた。これで
するとため息をつきながら、おゆうは答えた。
「もう、お金なんて十分いただきました! 十分すぎて今では
すると空気を読まずに徳右衛門が、
「すみませーん、おゆう殿! 少し、お世話になりまーす!」
俺は、これは
「すまねえ、
「はいはい」と、おゆうは寝室に布団を用意して、自分はいつも通り
●
朝。目を
「あれ、ここは一体?……。え? 誠兵衛殿がいる! まさかここは……」
とっくに起きていた、僕が答えた。
「はい、ここは僕と、おゆうさんが暮らしている長屋です。
うろたえながらも、徳右衛門は答えた。
「えーと、誠兵衛殿に辻斬り退治をしていただくことになって、それからお酒を飲んで……。え? ひょっとして私は、ここで休ませていただいたんですか?」
すると、おゆうはお
「さ、まずは、お水でも飲んで下さい……。えーと、すみません誠兵衛さん、このお方の、お名前は?」
「そういえば、まだ教えていませんでしたね。この方は与力の徳右衛門さんです」
徳右衛門は
「昨夜は、お世話になったようで、申し訳ありません!」
しかし、おゆうは笑顔で答えた。
「もう、いいんですよ。それよりお
するとちょうど、徳右衛門のお腹が鳴った。
「申し訳ありません、お膳をいただきます……」
三人で、ご飯と大根の
「それにしてもウワサは、本当だったんですね。夜と
「はい、それが
「はい、まずはこれから
辻斬りが出るのは夜なので日が
「はい、それで
徳右衛門を見送ると今度は、おゆうが仕事へ出かけた。
「それでは誠兵衛さん、行ってきます。お昼にお腹がすいたら、ご飯と、たくあんの
「はい、分かりました。いってらっしゃい」
それから僕は
僕は、
少し疲れたので長屋へ戻ると、ちょうど昼九つ(昼の十二時)の
そして少し休んでから再び林へ行き、午前と同じ稽古をした。稽古の成果で体力もついた。体力を激しく
夕方になると、おゆうが帰ってきた。
「ただいま、誠兵衛さん。今日も変わりは、ありませんでしたか?」
「おう、変わりはねえぜ! 今日もちゃんと稽古をしたぜ!」
「それは何よりです。で、今夜も出かけられるんですか?」
「ああ、徳右衛門と辻斬り退治にな」
すると、おゆうは思い出した表情で答えた。
「ああ、はい、そうでしたね。では、いつも通りに
「おう、頼むぜ!」
それからしばらくすると、徳右衛門が長屋へやってきた。
「準備は
「ああ、整っている。で、どうするつもりだ?」
「はい。辻斬りが現れるのは、こともあろうに南町奉行所の
「なるほどな」
おゆうは「二人とも気を付けて下さいね」と
俺たちはまず、南町奉行所の東側から調べた。そこに怪しい人物はいなかったので、南側、西側も調べた。だが怪しい人物はいなかった。
すると徳右衛門は、少し気落ちした表情になった。
「うーん、今夜は辻斬りは、出ないかもしれませんねえ……。もし出たら誠兵衛殿に退治してもらおうと思っているので、複雑な
でもまあ、出ないのなら出ないで
俺たちは、「まあ、それもアリか……」と最後に南町奉行所の北側に行った。そこは
日中は長屋の住人たちで
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