第十八話
俺はこの男が
「お前、血の
髪の長い男は、ゆっくりと答えた。
「まだまだ、数人だよ。まだまだ数えられるくらいだよ……」
「まるで数えきれないくらい、斬るつもりらしいな?」
「そうだよ今夜は二人、斬るつもりだよ」
すると
「ふ、二人ってまさか私も?! っていうか
「ああ、おそらく俺たちが探している、辻斬りらしいな……」
髪の長い男は、
「ふふ、辻斬りかあ……。俺にはちゃんと
そしてこれには、
すると徳右衛門は、誠兵衛の後ろに
「よ、妖刀だそうですよ、妖刀! 誠兵衛殿、勝てますか? 大丈夫ですか?!」
そして俺、も抜刀した。
「多分な。俺も、妖刀を持っているからな」
三右衛門は、
「知っているぞう、お前のことは。
「やれやれ、俺も有名になったもんだなあ」
すると三右衛門は、
「この技を喰らっても、そんな
俺は中段の
三右衛門は説明した。この長切りは、『雉』が届かなくても斬れる。『雉』が斬っているのは物ではなく、
俺は、ため息をついてあきれた。
「ふん、要するに、
すると三右衛門は、
「くっ、衝撃波の出来損ないだと?! 今度は本気を出す! 今度は、お前の体を斬る!」
そして再び、居合術の構えを取った。
「喰らえ! 長……」
だが今度は俺が、『血啜り』を、左から右へ
すると『血啜り』は、三右衛門の腹を水平に斬った。
「お前の居合術は、構えが大きすぎるんだよ。だから薙ぎ払いよりも遅いんだよ」
「くっ。な、何だと?!」
そして『血啜り』を頭上から、三右衛門の左肩へ振り下ろした。
すると三右衛門は、大きく
俺は更に、中段の構えから足さばきで『血啜り』を突き出した。
すると三右衛門は、後方へ倒れた。
俺は、言い放った。
「とにかくお前は、基本が出来ていない。お前は『雉』の神通力に頼っていただけだ……」
見ると三右衛門は、気を失っていた。呆然としていた徳右衛門に、俺は言い放った。
「おい、徳右衛門。あいつを
「強い! 本当に、お強い! あの辻斬りをこんなに簡単に倒すとは!」
更に徳右衛門は、俺に
「ほう、用意がいいじゃねえか」
すると徳右衛門は、
それから俺は『雉』を左手で持ち、
そして、徳右衛門を
「さ、取りあえず今日はこれでいいだろ? おゆうの
三右衛門を南町奉行所へ突き出し、長屋にきた徳右衛門は
「いやあ、強い! 本当に、お強い! 妖刀を持った辻斬りを、ああも簡単に倒してしまうとは!
辻斬りは続けて
「ああ、俺は構わねえぜ」
「では、よろしくお願いします! では今日は、これで失礼します。
長屋から出て行く徳右衛門を見送ると、嫌な予感がしていた俺は、
「妖刀『雉』か……」
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