第十二話
『ここで
『お前は……、『
『そうだ、私はこの
『ああ、あのアナグマか……。知ってるぜ、
『確かに私はクマと戦って引き分けた。だがそれはただの結果だ。
『ただの結果?……』
『そうだ、私には巣で待っている家族がいた。そのため、何としてもやられる訳にはいかない、何としても巣に戻らなければならないと、強く思った。
だからこそ、生き延びるための最善の手段として攻撃を選んだ。逃げても追いかけられて、やられるだけだと思ったからな』
『そうだったのか……』
『それにお
『そうか、『
『その通りだ、ニンゲン』
『ちっくしょー、でもどうすりゃいいんだ? 俺の最高の技、
『ああ、
『光速の軌跡を、叩き込むことだけを考える?』
『そうだ、まずは攻撃を叩き込むことだけを考えろ。勝とうと思うな。
『結果はあとからついてくる、か……。よし、だったらやるしかねえよな、光速の軌跡を叩き込むしかねえよな!』
●
俺は、まず目を開けた。吸い込まれそうな夜空が飛び込んできた。そして右手に意識を集中した。うん、まだ『血啜り』を
すると
「ふん、やっと立ち上がったか。もう少しで『血啜り』をへし折り、お前にとどめを刺すところだったぞ」
「ああ、そうかい。悪いね、邪魔しちゃって」
「ふん、
俺は、怒りをむき出しにした。
「思ってねーよ! 勝てる訳ねえだろ、あんたに! あんたはただでさえ
そんなあんたに勝てるわけねえだろ! でも考えたんだよ、一矢報いることは、できるかもしれねえってな」
「ほう」
「だからいい! 勝てなくてもいい! 負けてもいい! だが一矢だけは報いる。あんたにほえ
「ほう、面白いことを言う……」
「今、思い出したんだよ。敵に背を向けるな! 最善を尽くせ! 勝てなくても一矢報いろ! が
美玖さんは無表情のまま、殺気だけをより強く出した。
「今、思い出しただと? やはりお前にも、みっちりと
「だーかーらー、今、ちゃんと思い出したじゃん!」
「なるほど、ならばやってみろ!」
俺は全身の力を振り絞り、叫んだ。
「当たり前だ! 俺は宣言する! あんたに必ず、光速の軌跡を叩き込む!」
「光速の軌跡? ああ、さっきの
「うるせー、結果なんざ、どーでもいい! 俺はとにかく、あんたに光速の軌跡を叩き込む!!!!」
美玖さんの強さの秘密は、その絶対的な
俺はまず、突きで突進した。
すると美玖さんは、言い放った。
「だから私にそんな基本的な技が……」
「効くわけねえよな。だからこれは距離を縮めるために、放っただけだ!」
「何?!」
美玖さんを自分の間合いに入れた俺は、『血啜り』を上段から振り下ろした。
美玖さんは『
「だからこんな攻撃が……」
「ああ、もちろん効くわけがねえ。だが中段に
「何?!」
俺は上段ではじかれた『血啜り』を、流れるような
「ちっ、隙ができたか!」
「今だ!
こうそくのおおおお、きぃせぇきぃいいいいーーーー!
美玖さんは急いで中段に
「くっ!?」
美玖さんは
「くっ、これが光速の軌跡か……」
俺は肩で息をしながらも、
「や、やった……。美玖さんに光速の軌跡を叩き込んだぞ! どうだ! 俺はやったぞーー! うおおおおーー!」
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