ラノベからの新世界 魔王編
二合 富由美(ふあい ふゆみ)
女神様は○○者 編
第1話 女神様は創造者
俺は
生前に見た最後の情景は、漫画やアニメに出てくる様な【勇者】っぽい男が、いきなり空中から現れて、一緒に居た両親に切りつけた状況。
わけの分からない言葉を叫び、凄い形相をしながら俺を刺し、綿ボコリの様に消えていった。
刺された直後に掴んだ奴の肩が、いきなり固さを失い消える様は、痛みと共に今も鮮明に覚えている。
そんな一生に一度するかしないかの壮絶体験を終えた今、俺は巨大な大聖堂の様な場所に浮いている。
目の前には光輝く女神が祭壇に立っているが、上下左右後方の中央部分には壁も床も無く、合せ鏡の様に彼方まで部屋が繋がっている感じだ。
明らかに異常な空間。
そして俺は、自分が死んた事を自覚して尚、意識と記憶を保っていたのだ。
「ごめんなさい。どうやら、私のせいで貴方を死なせてしまった様です」
「えーと、すみません。貴女は、どなたなんですか?」
「私は世界を作った女神です」
「神様?」
神様が世界を作ったと言う話は、世界各国にあるが、まさか女神だったとは思わなかった。
「どう言う事なんですか?あの剣を振り回していたコスプレ野郎は、何なんですか?」
あの男は、確実に俺を狙ってきた。
上下に傷のついたアノ左目が、確かに俺を目指していた。
だが、こちらには、あの男の記憶が無い。
しかし、女神は知っている様だ。
「あの男は、私が作った別の宇宙から来た者です。そう言った意味も含めて、今回の責任は全て私にあります。なので、貴方にはお詫びをしたいのです」
世界を作る神様が居るなら、その神様が作った世界が一つだけとは限らないのだろう。
良く分からないが、何かのトバッチリを喰らったらしい。
いろいろと興味は有ったが、下手に聞いて巻き込まれるのも面倒だ。
ここは簡潔にしておこう!
「お詫びって、普通に生き返らせてくれれば良いですよ」
輝きで顔はよく見えないが、どうやら困っている様だ。
「貴方の御両親は一命を取り留めたのですが、貴方は助ける事が出来ませをでした。死んでしまった貴方を、あの世界では復活させてあげる事もできません」
「なんでなんですか?全知全能の【神様】なんですよね?」
取りあえず、巻き込まれたであろう両親の無事は確認できた。
しかし、【神様】はあらゆる
「確かに、私は全知全能なのですが、貴方の世界を作る時に、初期設定を厳しく作りすぎたので、悪く言えば【融通がきかない】のです。無理に私が介入して【死者の復活】を実現すると、それを起点に物理法則が総入れ替えになってしまい、宇宙創成からの全ての死者が復活してしまいます。結果、恐竜から微生物に至るまで全てが、不死の存在として増え続けるでしょう」
「ちょっと待って下さい。そんな事になったら、世界は滅茶苦茶になりませんか?」
「まぁ、それも【世界のかたちの一つ】なのでしょうが、
一瞬だが、脳裏に昔見たゾンビ映画の映像が浮かんだ。
微生物すら死なず、増殖し続けるのだとすると、ソレさえも生やさしいのかも知れないが。
だが、分からない話でもない。
宇宙を【
世界の一部の法則はは全てに適用され、全ての世界の法則は一部にまでも及ぶ。
物理学の基礎だ。
一例をあげるならば、重力は銀河団や宇宙構造体をも作っているが、その力は素粒子やエネルギーにまでも及んでいる。
つまり、一部だけ事象を改編すると、その空間は他の空間との連動性を失い、潰されるか弾き飛ばされる可能性が大きい。
この世界には【死者の復活】という法則性は存在しないのだから。
「本当に融通がきかないんですね。じゃあ俺は、このまま死ぬんですね?」
「いいえ、貴方の国の小説を参考にして新たに作った宇宙なら、死者の復活も、ほぼ永遠の命も転生も可能なのです。そこでも良ければ、いろいろと便宜もはかれるのですが」
俺は、選択肢を考えた。
このまま死ぬか?別の世界で便宜をはらってもらうか。
「そこは、どんな世界なんですか?」
「簡単に言えば、剣と魔法と魔物の世界です」
俺は、思わず眉間を押さえるのだった。
「よりによってラノベかよっ!」
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