Elder Hunting短編【邪教典外道地蔵】

豆大福

【邪教典外道地蔵】

 特別生命種対策局 ("El Antiquum Vita" Countermeasure Bureau.) 略称としてはEAV.C.Bや特生局と呼ばれる。

 かつてアルフレッド・J・コードウェル博士が提唱し警告を発した「偉大なる旧き生命"El Antiquum Vita"(通称:エルダー)」に、対抗すべく存在する組織である。

 RB出現以前からRB出現を予見したコードウェル博士の指示により設立されて運用されてきたが、中々現れないRBとコードウェル博士の死亡が重なり予算減額処置等で UGN内での立場は非情に低かった(UGN内では面影島事件以降RBの出現はほぼ正式に認められていなかったが、特別生命種対策局ではRBと思しき存在を度々確認していた)

 しかし面影島事件以降のRB出現により再度注目が集まり、RBに関する研究が約一年前からアールラボとの共同で急速に進む形となった。また特別生命種対策局所属ハルペー部隊の前身であるアルゴス隊によって行われた〔"烟る黒曜鏡の蛮神-テスカトリポカ-"討伐作戦〕を経てその存在は認められ、特別生命種対策局の地位は確立された。

 その確立された組織の中で君臨するのが、局長ライラー・オメラスであり、彼女には直属のRBが存在する。

  エノク。

 ヘルペノル。

 そしてジーである。



 ◆閑話休題◆



 「私」は目が覚めた。薄く開いた視界にはヘルペノルが何やら悶えるように転げまわり、ゲーム機なるものを片手に地団駄を踏んでいる。

 彼は随分と俗世に塗れたようであり。こういった光景は珍しくもない。隣で怪訝そうに見つめるエノクの姿もまた、珍しくも無い。

 「私」は普段何もせずに部屋の隅でこうして立ち続けているので、彼自分の荷物に炙れて「私」の部屋に転がり込んでは「私」を居ないものとし、自分事に熱中する。

 …………珍しくも無い。「私」自身部屋を使う事も無いので彼が「私」の部屋を使う事に嫌悪も何もない。

 ただ一つ想う事があるとすれば、彼の居座る立ち振る舞いがほんの少し「仏師殿」と重なるようである事だった。

 悶えるように転げまわり、地団駄を踏む。苦々しい面持ちをしながら、どうしようも出来ない感情を身体全体で発露しようとする。(とは言っても「仏師殿」は彼ほど多弁ではなかったし、常に感情豊かではなかったが)

 その姿はかつて「私」が見ていた「仏師殿」を彷彿とさせるのだ。千年以上前だというのに「私」にこびりついた記憶を思い出せる。

 鑿と鉋、それと鎚。それで材木を削る音。徐々に姿を見せる仏様。あの時もまた、「私」は何もせず眺めていたままだった。

 そうだ。特にする事も無いならば、「仏師殿」の事を久しぶりに思い出す事としよう。

 「私」はそう考えながら目を閉じた。瞼にその情景を浮かべる様に。



 ◆本題◆



 延暦三年、ユリウス暦七八四年の肥後国。ここ肥後国は少なくとも持統天皇十年までに火国が分割され、肥前国と肥後国が生れた。

 その肥後国に「仏師殿」は何時頃にか建てられた寺院でひっそりと暮らしていた。丹塗りが剥げ、瓦は幾つも飛んでいる。雨漏りも酷い場所だったのを憶えている。

 「私」の目覚めは彼が木を彫る音と共に訪れていたのを憶えている。目覚めた「私」に許されたのは意識のみで、身動きが取れず、喋れなかった。目覚めた「私」にとっての世界はその寂れた寺院と「仏師殿」だけ。

 だから当時の「私」は周りを食い入るように眺めていたので、当時の事は鮮明に憶えている。

 憶えている記憶の限り「仏師殿」は常に仏を掘り続けていた。大暑も大雪も区別なく毎日「仏師殿」は仏を彫っていた。寝食も放棄するという言葉があるが、彼は本当に寝食も放棄していた。狂気の如き彼の執念から「私」は掘り出されたのは直ぐに分かった。因みに当時の「私」は今の様な見てくれでは無く、掌に収まる程の慎ましい大きさの木彫りであった。彼の手に込められた妄念や執念が「私」という意識を宿したのだ。

 記憶の中の「仏師殿」は言葉もそう交わさない不愛想の極みのような人間でもあったが、意外にもそう嫌われたような人間ではかったらしく、寺院には度々気の良い村人が出入りしていた事を憶えている。


「いやぁ仏師殿! 寝食を忘れて務めるのは身体に悪いですぞ!」

「……私は食べずとも構わない身だと申した筈ですが」

「いやいやいや。食べて貰わねば我々の面目が立ちませぬ。仏師殿が彫り起こした仏像あってこその豊作ゆえに。ささ、どうぞ」

「剛毅そうで実は我が儘事を言われましても。それは貴方らが勝手に有難がり……いや、好意を踏みにじるつもりは無いですが」

「で、あれば今日はこちらの食べ物を持ってきましたぞ! ささ、どうかご自愛なさって食べて下され」

「しかしだな……」


 彼は迷惑そうにしているが「私」の目にはそれでようやく平穏な暮らしを過ごせているように思えた。何故なら彼が鬼気迫る眼のまま仏を彫り続ける姿は痛ましく見えていたので、村人からの善意に迷惑そうな素振りを見せる姿は彫刻から解放された様で嫌いじゃなかったのであった。

 ただ寺院の中には彫り出された仏像が大量に置かれていたので、こうも溢れてしまえば有難さも薄れ、さぞかし不気味なのだろうと思っていた。しかしこれまた意外にも村の人は案外そうは思っていなかったらしく、村人は意外にも有難がりながら寺院に彫り出されたまま放置された仏像を持ち帰るという光景も「私」はよく見ていた。


「仏師さんや、この仏像貰っていいんかい?」

「……構いませんよ」

「いやぁ、やはり仏師さんが造る仏様はいつも優しいお顔で在られる。これには異邦の技が?」

「……私は元々土を捏ねていた。異邦の技なんてものはそれにはありませんよ。ただ……優しい顔に見えるのですか、その仏は。肥後国どころか日ノ本国の生まれではない者が彫った仏が」

「そう自分を卑下なさらないで下さいよ、仏師さんや。異邦だろうと人が持つ心に差異は無いでしょうや。だから彫られた仏様のお優しい顔を通して、仏師さんの心も見えてくると私は思うのですよ」

「そう、……か」

「不快に思ったら申し訳ねぇなぁ仏師さんや。仏師さんの名前を未だに知らないものだから、つい『異邦の』なんて呼んでしまった……そうだ! 折角だしいい機会だから仏師さんの名前を教えてくれませんかねぇ」

「それは断る」


 異邦人と呼ばれた「仏師殿」がここに根を下ろす事となった始まりの日、 彼は大暑の梅雨時、騒嵐の日に波打ち際へ打ち上げられていたそうだ。

 最初に彼を保護した漁師は大方潮風を見誤った者の船が転覆し、打ち上げられたのだと嘲笑しようしていたが、打ち上げられた彼が日ノ本の国で造られたとは思えない服装をしていた事に気が付いて驚いたらしい。「私」が知る限る彼はずっと作務衣を着流して襷を掛けた出で立ちなのだから、それも驚きだった。(それ以外のも着ていたなんて)

 そして漁師は「異邦だ、異邦の人だ」と言って、村を駆け回ったらしい。

 異邦の者が現れる事は吉兆か凶兆の前触れと考えられていたらしく、そのまま彼は今暮らしている寺院に運び込まれた。この時本来なら吉兆か凶兆かを視る為に神主の元へ運ぶのが筋であったが、神主はその前の年から行方知れずであった為、白羽の矢が立ったのが彼が今暮らしている寺院だったそうだ。

 因みに何故神主が行方知れずなのかと言えば、神主は村人らに凶兆を招いたと咎められて姿を消していたからである。この村の神主は二十四節気それぞれの節目に吉凶の兆しを読むが、その神主が「吉兆」を唱えた次の節気に蝗害が発生してしまい、村の穀物庫に僅かばかりの種籾を遺して農作物は喰い散らかされたのだ。村人達からは「吉兆を外し凶兆の訪れを見抜けず、神主を辞めてしまえ」と咎められ、自責の念に耐え切れず姿を消したのだとか。(大方逆恨みをした村人の誰かが殺したんだろうと思うが)

 本題から少し逸れてしまったが、異邦者たる彼に治療を施したのは後の彼の師となる者だった。彼の師は異邦の出自故に分からぬ日ノ本の言葉をどうにか教え込んだらしい。彼の師は慧眼の士でもあったのか彼自身の手先が器用な事を見抜き、床に臥せるまで仏師としての業も教え込んだ。それが仏師として職を得た彼に繋がったのだろう。

 尚、当然であるが「仏師殿」は他の人と明らかに違う。異邦の出自故に、肥後国に住む日ノ本の者とは異なるのだ。

 浅黒い肌と灼けたような銅(あかがね)色の髪。菫色の透き通る目で、人よりも眼窩が落ち込んでいるからなのか彫が深く、同じ人間とは思えない端正な目鼻立ちをしていた。

 肥後国よりも更に下の琉球なる場所には此処よりも強い日差しがある聞くが、琉球が彼を産み、このような容貌にしたのだろうか。当時の「私」はそう考えた。

 しかし「私」は目が覚めて以来、寺院にずぅっと棒立ちのまま世界を眺めているしか無かった。だから彼が他者と大きく違う異邦の者である事を知ったのは、実は大分後の事だった。(本当に偶然、寺院に訪れた村人同士がひそひそ交わしていた話声から彼の来歴を詳しく知る機会があり、そこで初めて彼は肥後国の生れではなく異邦の出自という事を知った)

 


 大暑も大寒の区別なく、ただ仏を彫り続け、時々村人と話を交わす「仏師殿」の生活を眺め続けていたが、ある時転機が訪れた。

 それは「私」の目覚めより一年(ひととせ)を過ごした後。酷暑を乗り越えて降雪の予感をさせる立冬の季節頃だった。「仏師殿」が暮らす地域に飢饉が訪れた。

 曰く、「一年の兵乱は三年の飢饉に劣る」。尽きた種籾は食卓に添えた膳へは帰らない。延暦四年日ノ本、筑紫洲の四つの国を襲うた飢饉は肥後国にも姿を見せ、村に蓄えた食糧も尽きようとしていたのだった。

 元々飢饉の前兆となる不作は起き、続く日照りや荒嵐等は以前より見せていた。その証拠に、村の神主が失踪する切っ掛けとなった蝗害が実はその後も小規模ながら何度も訪れていたのだ。蝗害は凶兆の前触れとも取れるが、蝗害が現れる事が気候の乱れに起因するものだと一握りの聡い者は知っていたし、薄々とこの飢饉を予見していた。

 ただし人間にはそれに対抗する術を持たない。日照りや荒れる嵐を鎮める術は持たず、雨乞いのような祈りをする事しか出来ないのだから。 

 「仏師殿」も聡い者であり、飢饉の到来を予見し、いずれ訪れるであろう飢饉を待っていた筈である。彼にとってこれは真綿で首を絞められるような感覚であったのだろうか? ただ彼が飢饉に倒れていく村を知り、唇を噛み絞めて紅色の血を流していたのは確かだった。

 「仏師殿」は文字通り寝食を放棄し、仏を彫り続けていた。彼には睡眠による休息を必要とせず、摂食による栄養摂取を必要としなかった。何なら大怪我を負おうと、超人的治癒力が彼に働いた。今にして思えば彼は典型的な回復に長けたオーヴァードだったのだろう。だからいつも村人が分ける「食事」を要らないと言っていた。謙遜でも遠慮でもなく、彼には必要の無かったものだった。だがこの飢饉を見越していた彼は、その与えられた食物を少しずつ保存していた。

 とは言え延暦の時代に、現代のような食物を保存する冷蔵庫等存在しない。幾ら立冬に近づき、食物の保ちには適した季節とは言え、生ものを保存するには限度がある。

 故に彼が持ち得る最大限の知識を以ても、燻した干物や塩漬けが精々。彼は分け与えられていた食物を永く保たせる事は出来ずにいたし、彼が寺院を開いて飢えた村人をどうにか救おうとしても村人全員を賄い切れる食物がある筈も無かった。

 それでもと彼は奔走して飢えた村を救おうとしたらしく、彼の村の八面六臂の活躍により村の半分が倒れるだろうと予見された飢饉も峠を越そうとしていた。(「仏師殿」含め、村総出で危険であったが冬の漁にも臆せず出ていた事が功を奏したらしい)

 しかし問題だったのはここからであった。


「おい聞いたか。隣山の港にある村、どうにか飢饉を越えたらしい」

「ああ。種籾にも手を出さず、枯らすこともなく、不作と言われたにも関わらず冬を越えたとか」

「なんと。食糧庫に大層貯めていたのだろうな」

「いや、何でもそこには異邦の者が流れ着いており、その手助けがあったそうだ」

「何? もしや異邦の技が飢饉を救ったと? そうか、だからか。きっと異邦の技が実は村に豊穣を齎していたのでは?」

「なるほど。村でその豊穣の事実を伏せ飢饉を免れたか。我々のような苦しみの傍らで、悠々自適に腹を満たしていたと? 嗚呼妬ましい」

「そうだろう。そうだろう。飢えた我々を嘲笑ったに違いない。ならば、さて如何するか」

「それは無論────────────────」


 村には他の村から飢えた者が雪崩れ込んだ。異邦の者が齎した豊穣を村の者達は隠している、と。

 事実無根であるが、噂に踊らされた者達は妬ましさだけで村の者達の言い分を聞くことなく略奪を図った。彼らからすれば飢饉で自らの村への後戻りする体力の手立てもなく、雪崩れ込んだ村から奪った食物で飢えを満たす希望を抱いて来たのだろう。しかしそんなものはない。「仏師殿」含め、村総出で奔走して飢饉を乗り越えようとしていたのだから、食物の余裕などある筈が無いのだ。

 これを知った者達は怒り狂い、村には争乱が訪れる。飢えが狂騒を後押ししたのだ。現代でこそ飽食の時代だが、食べ物が無い事は命の危機に直結した時代であり、食べ物の怨みは何よりも恐ろしいと謂われる程だ。人は食べ物一つでどこまでだって残酷になれる。

 アテの外れた鬱憤晴らしが「仏師殿」が暮らしていた村人に向けられ、村人は次々と倒れていった。飢えではなく、人の手に掛かる事で死んで行ったのだ

 「私」は見た。寺院に雪崩れ込んだ他の村の者が、備えの余裕など持っていたなかった事実を知り、怒り狂い、鬱憤晴らしとばかりに暴れまわる姿を。

 それを止めようと「仏師殿」が身を挺するも、叶わず。寺院に身を寄せていた村人達が虐殺されていく様を「私」は見た。

 改めて語ると、「私」が目覚めたのは意識のみであった。「私」は自身は身動きが取れなかった。喋れなかった。

 だからどんな時でも「私」の叫びも、伸ばしたかった手も、直ぐに駆け出したい想いも、何もかも届かなかったのだ。彼が修羅のようなものに堕ちようとも、だ。

 「仏師殿」は村人達の遺骸を呆然と眺め、どうにか助けようとして彼が腕に抱えたていた幼子の息も止まっていた。彼は立ち尽くしていた。

 立ち尽くす彼を、雪崩れ込んだ他村の者達は忌々しげに眺めていた。


「お前が隠したのか! 食物を!」

「…………私には造る才しかないのか」

「お前がこの村の飢饉を越えるように策を講じたのだろう!? 我々にもそれを教えろ!」

「…………あの時もそうだ。私はただ、かつての〔神の傀儡〕を目指していただけだったのに」

「答えろ異邦人!!!」

「…………ロトゥ、私はただ私の名前を皆に憶えて欲しかっただけなのに…」


 「仏師殿」がぶつぶつと喋る言葉を一言一句聞き洩らさなかった。それは動けず、喋れないない「私」が唯一出来る事だったから。


「おい、この異邦人何も喋りやしねぇ。それにコイツの見てくれ、ただの彫り師じゃねぇか。本当に村に豊穣の恵みを与えたように見えやしねぇよ」

「てぇ事はなんだ。空っぽだった寺院の倉庫含め、コイツの嘘に俺たちは踊らされたってのか!?」

「ゆ、許せねぇ……!!」


 「私」は「仏師殿」が他の村の者達の暴力で蹂躙されていく様を眺めるしかなかった。全て終わった頃には、怪我が癒えて起き上がる彼以外に寺院と村の中では誰も起きる人は居なかった。彼は悶えるように転げまわり、地団駄を踏む。苦々しい面持ちをしながら、どうしようも出来ない感情を身体全体で発露しようとする。しかしそうした所で村人は戻らない。

 子供のように駄々を捏ねても、何も返ってこない。

 覆水盆に返らず。

 一度折れた紙の折り目は元には戻らない。

 枯れた花が咲き戻る事はない。

 潰えた命が蘇る事もない。

 自然の摂理では死んだ者は生き返らず、その不可逆性に背くが故に我々は背教者(オーヴァード)と呼ばれるのだ。

 それから暫くすると彼は一心不乱に大きな仏を彫り始めた。村人全員への餞と言わんばかりの大きな仏だ。しかし後悔と怨念がない交ぜに彫られたその仏は、仏とは名ばかりの忌々しい存在となった。

 そしてそれは今の「私」の依代となったのだった。


 …………


 摂理に背く背教者に、如何な事情があろうとも過酷なる運命は決定付けられている。

 折り目正しい健やかなる結末を迎える事を赦されるような存在でない事は、誰もが知っている。

 それでも願っている。狂騒と争乱に身を落とすのではなく、ただ穏やかな結末でありたいという事を誰もが願っている。

 故に、旧支配者と呼ばれ、偉大なる旧き生命と呼ばれた我々にもその望みはある。如何に強大であろうとも、折り目正しく健やかなる結末を望む事はなんら不思議ではないだろう?


 たった一つの我々の望み。それは──────────


~終~



…………



────────────────────────────────────────────────

●仏師殿

■冠名:ヌ・アルル(Nu Aruru)

■真名:当時の資料等にも記されておらず、不明

■状態:堕天使アスモデウスの証言から生存説が浮上


<解説>

精緻かつ神域とされたゴーレムの呪技を振るうた古代メソポタミアの大魔術師

女神アルルはシュメール神話における創造の女神で、泥よりエンキドゥを造った

〔神の傀儡-エンキドゥ-〕と同じように、〔神の傀儡-ロトゥ-〕を造り上げた功績から、女神アルルの名を拝命した

しかしそのまま拝命するのは畏れ多いと考え「女神アルルに非ず(=我が功績による名)」とした

最初はラガシュ第二王朝「ナンマハニ」の治世にて王に仕えていたが、ウル第五王朝「ウル・ナンム」が先の王朝を打倒した事でその麾下となる

が、女神ナンムの名を冠する王である「ウル・ナンム」は、王でもない者が同様に女神の名を冠するのを良しとせずヌ・アルルを追放した


追放による放浪の果て、ロトゥの眠りの後に肥後国(現在の熊本県)に流れ着いた


────────────────────────────────────────────────

●ジー(「私」)

■諱名:邪教典外道地蔵

■分類:〔偉大なる旧き生命-エル・アンティクウム・ヴィータ-〕

■状態:特別生命種対策局局長 ライラー・オメラス契約下


<解説>

由来は飢饉にて親しき者全てを喪い、気が狂ってしまった仏師が彫った仏像に意識が宿った存在

保持する権能は「魂の永劫保存」であり、仏師が村人の御霊を手離したくないという想いに起因する

魂は三千人分が格納可能となっているが、それはある意味で「魂の牢獄」であり輪廻転生を拒絶する為に、帝釈天によってその権利を剥奪され眠りについていた

尚、帝釈天によって権利剥奪された際に帝釈天から下されたのが現在の諱名である「邪教典外道地蔵」


休眠状態となっていた彼を起こしたのが特生局局長ライラー・オメラスであり、特生局内での表向きの扱いはロトゥと同じ「拘束契約下のRB」

X線解析により、中心部に小さな仏像が納められているのが判明している

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