ゆめをみたらいけないよ

小鳥遊あくた

第1話 ゆめはゆめに。


ゆめはゆめであるからいいんだよ?

ゆめをゆめとにんしきできなくなると、それがげんじつになってひきこまれてしまうからね。


いい?ゆめはゆめなんだ。"みて"いることをわすれちゃいけない。"みる"ものだとわすれてはいけない。

ゆめであることをわすれてはいけない。

たとえみているときは、ゆめだときづかなくとも。


おきてからでもいい。ちゃんとゆめを"ゆめ"だとにんしきするんだ。

でないとつれさられてしまうからね。

たべられてしまうからね。


そして。"ゆめ"をげんじつにしたいなんてねがってはいけない。とらわれてはいけない。

かこわれてしまうよ。ずっと。ずーーーーーーーっとね。


りそうのいみでの「ゆめ」ならかなえてもいい。

だけど"ゆめ"はだめだ。かなえちゃいけない、とまではいわない。でもかなえないほうがいい。

それはひとしくあまいみつなのだから。

しんそうしんりで、のぞんでいるもののぐげんかともいえるけど、それはまがつだ。うろだ。


ヒトのこがみてはいけないものだ。ヒトのこがしらなくていいものだよ。


きみたちは"いいこ"でいておくれ。

わるいものにみつからないように。

わかったらいしきをしずめておくれ。

ゆめなどみないように。

へいわなせかいでいきておくれ。

ヒトのこのいっしょうはみじかいのだから。


「おやすみ」


ゆめゆめ、おわすれなきよう。


もしわかったうえであしをふみいれるというのなら。

てばなすしかなくなるよ。きみも、ぼくらも。



だけど、ぼくらはそれをのぞんでいない。

ヒトのこは、すこやかにいきていてほしいからね。おちるところはみたくはないもの。

それに。

わざわざ、すこやかなきみたちをてをかけるようなまねはしたくないからね。

おちてしまったら? それはしらなくていいよ。

きみたちは"いいこ"だろうしね。


だからヒトのこは、すこやかに、げんきにまえをむいておくれ。

"ゆめ"はみなくていいからね。

だいじょうぶ。

こわいものはなにもないよ。

なにもみなくていいからね。


だからあんしんしてねむるといい。

ぼくらはいつでもねがっているよ。

みらいえいごう、きみたちにあんねいがおとずれるよう。




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