バントのサインを無視してプロ野球選手をクビになった俺は、女子高校野球チームの監督になって頂点を狙う

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バントのサインを無視してプロ野球選手をクビになった俺は、女子高校野球チームの監督になって頂点を狙う

 平川ひらかわ武瑠たける23歳。独立リーグの北海道石狩ライナーズに所属するプロ野球選手。左投げ左打ちで守備位置は外野手、背番号は36。打率は低いがフルスイングと長打力が持ち味で、NPB入りを目指して日々奮闘する期待のスラッガーである。


 そんなある日の試合、9回裏でライナーズ1点ビハインドの状態から物語は始まる。

 この回先頭の4番打者、板柳いたやなぎがヒットで出塁しノーアウトランナー1塁。5番指名打者でスタメン出場をしている武瑠へと打席が回ってきた。

 今日の武瑠は正直良い所なし。三振2つと外野フライ1本。ここのところ打率も下降気味でお世辞にも調子が良いとは言えない。それならばここで長打を打って試合を決めればまた調子も上向くだろう。そんな風に武瑠は思っていた。


(絶好調だった相手ピッチャーもさすがにバテて来ている……。ストレートの球威も明らかに落ちているし狙うならここしかないっ……!)


 狙い球をイメージしながら打席に向かう武瑠は監督からの指示を確認する。しかし、当たり前だと言わんばかりにベンチから出されたのはヒッティングではなく送りバントのサイン。


(お、送りバントだと〜〜〜!!!! この大チャンスで長打力のある5番の俺にバントだと!?さすがにあの監督のヤツふざけてやがる!)


 武瑠は憤怒した。確かに自分は調子が良いとは言えないし、後ろを打つ6番の鶴田つるたは今日3安打と当たっている。とはいえ今シーズンこのチームで1番ホームランが多い自分にこの状況でバントのサインを出すなんて弱気にも程が過ぎる。一発出れば逆転サヨナラの場面であるし、しかも武瑠はアマチュア時代から数えても公式戦でバントをしたことなど1度も無いので成功率も低いと言える。


(クソ監督め……。まあいい、ここで一発逆転弾を打てばさすがにあの監督も黙るだろう)


 武瑠はサインを無視してヒッティングすることを決意した。その時の彼の集中力は監督のサインに対する怒りも相まって『ゾーン』と言える状態であった。


 相手投手の初球、外角を狙ったストレートが甘く入る。集中力の高まった武瑠はそれを見逃すわけがない。これでもかというフルスイングでボールを叩くと、そのままライトスタンド後方に打球は突き刺さった。劇的な逆転サヨナラ2ランホームラン。


「よっしゃあああああ!見たか俺の実力を!」


 雄叫びを上げ、ガッツポーズを決めてホームインすると、チームメイトが歓喜の輪を作って武瑠を迎え入れた。まるでもぐら叩きのような激しいボディタッチやバケツに入った氷水を頭から被せられたりと手荒い祝福を受ける。プロ野球選手として1番嬉しい至福のひとときである。


 しかし、試合後武瑠を待っていたのは監督の逆鱗であった。


「………よくもまあバントのサインを無視してくれたな平川」


「そりゃあ、あの場面は俺が打つのが唯一の勝ち筋っすから。監督の采配は弱気過ぎますよ」


「結果的にサヨナラホームランにはなったがプロとして褒められたものではないな。しかもお前、サイン無視は今回だけじゃなくて常習犯だろう?監督の指示に従えないようなそんな選手、ウチには必要ない。クビだ」


「えっ? いや、そんなの冗談っすよね!?ホームラン打ったのにクビとか前代未聞っすよ?」


「やかましい、いいからさっさと出ていけ」


 監督は言いたいことをすべて吐き出すように武瑠に言い捨ててその場を去っていった。



 ◆


 後日、武瑠の元に届いたのは自由契約になったという知らせ。本当にクビになってしまったのである。

 なんでサヨナラホームランを打ったのにクビにされなければいけないのか武瑠は甚だ理解に苦しんだ。あの場面ならヒッティングしか有り得ない。それが彼の考えであり信念であった。


 その信念が裏目に出たのか、それともサインを無視するという悪評が広まったのかはわからないが、自由契約となった武瑠に他球団からのオファーは来なかった。このままでは武瑠はホームランの打てる無職である。

 このまま終わるわけにはいかないと足掻く武瑠は、秋に行われるプロテストに向けて自主トレーニングをすることにした。もう一度野球がしたいという一心でただひたすらにバットを振るような日々だけが続く。いくら鍛錬を積んでもまたプロになれるかどうかの保障は無い。さすがの武瑠も心が折れそうになっていた。そんな時、古巣チームの打撃コーチであった黒石が武瑠のもとを訪ねてきた。


「……どうしたんすか黒石さん?俺はもうライナーズの選手じゃないっすよ」


「そんな水臭いこと言うな。曲がりなりにも俺とお前は師弟関係だっただろうが。――余計なお世話かもしれないが、ちょっと野球に関する仕事の話を持ってきた。お前が路頭に迷ってないかと思ってな」


 黒石は武瑠が一番慕っていたコーチだと言ってもいい。彼の現役時代はまるで武瑠を生き写しにしたようなフルスイング至上主義者で、例のサイン無視事件では最後まで武瑠の肩を持ってくれた。


「なんすか、『野球に関する仕事』って?言い回し的に考えて選手ではなさそうっすね」


「その通りだ。平たく言えば監督業だな」


「監督って、俺まだ23っすよ?怪我もしてないし現役で全然プレーできるのに監督業の仕事って……」


「まあ話を聞いてくれ。別にこの案件を受けろって訳じゃない。あくまで一つの道として紹介しに来た」


 黒石の話はこうだ。黒石自身にとある高校野球チームから監督のオファーがかかっていたのだが、今はライナーズのコーチ業に専念したいとそれを断った。するとその高校野球チームも諦めが悪く、黒石が信頼を置いている人間を紹介してくれと申し入れしてきたのだ。

 そこで白羽の矢が立ったのが武瑠。野球に対しては物凄く真摯であるし、監督のサインは無視するが後輩からはそれなりに慕われていて面倒見も良い。そしておまけに自分と同じフルスイング至上主義の打撃バカ。自分の身代わりに紹介するにはこれ以上ない人材なのだ。


「話は大体分かりました。……んで?そのしつこい高校野球のチームはどこなんですか?」


「青森の津軽学院つがるがくいん恵愛けいあい女子高校だ。お前、地元だっただろ?」


「……黒石さん?今なんて?」


「津軽学院恵愛女子高校の女子野球部だ」


 武瑠は開いた口が塞がらずあんぐりとしていた。女子の高校野球チームからのオファーというのもびっくりしたのだが、それ以上の理由が武瑠にはある。


「うちの妹がいる高校じゃないっすか!!!」


「おっ、そうなのか?それじゃあこれも何かの縁だ、是非ともこの話受けてくれ」


「待った待った!俺は今秋のプロテスト目指しているんですけど!?」


「監督やりながらでもトレーニングはできるだろ。周りに女子高生がいればモチベーションも上がるんじゃないか?ハハハ」


 そんな黒石の適当な言葉に騙されるものかと思っていた武瑠であったが、後日提示された契約内容を見て気が変わった。どう見てもこんな薄給の独立リーグで選手をやるより給料は高いし、下手をすればドラフトで下位指名を受けてNPB入りする選手の年俸よりまともな報酬だったのだ。さすが野球に力を入れている私立高校は違う。

 とにかく明日の飯にも困るような生活を送っていた武瑠は、あっさり監督の仕事を受ける気になった。



 ◆


「―――それでウチの監督になったってわけ?」


「そういうことだ我が妹よ」


「……信じらんない。ただでさえ男の監督が来るってことでびっくりしてるのに、まさかその監督がお兄ちゃんとか何の冗談よ。NPB目指していたんじゃないの?」


「まあ妹よ、世の中には『引き際』というものがあるんだ。わかってくれ」


「どうせまた監督のサイン無視してフルスイングしたらクビになったんでしょう?お兄ちゃんは昔からそんなことばっかりだもんね」


「………水琴みこと、お前はエスパーか何かなのか?」


 青森県弘前市にある津軽学院恵愛女子高校、通称恵愛女子の野球部監督室に武瑠と妹の水琴みことは居た。この学院の野球部はまだまだ歴史の浅いチームではあるが、県内の有力選手を集めに集めて力をつけ、ここ最近赤丸急上昇中だ。

 しかしながら同県内には全国から選手を集める強豪校、八戸はちのへ光栄こうえい学院がいるため、なかなかその壁を打ち破ることが出来ていない。地元の有力どころを集めに集めても、やはり野球王国である関西地方を中心に選手を集めた強力なチームには土をつけられないのだ。


 男子と異なり比較的自由に背番号を決められる女子の高校野球において、水琴はこのチームのエースナンバーである背番号18を背負う文句なしの1番手投手だ。コントロールと緩急が武器の打者を惑わすタイプの投手で注目度が高く、2年生ながら先日行われた夏の大会でも好成績を残している。

 野手に関しても守備は盤石で、夏は敗れてしまった準決勝以外すべてノーエラーであるし、選手全体の能力としては十分八戸光栄に太刀打ち出来るレベルだと武瑠は見込んでいる。しかし、何故かこのチームは勝てないのだ。そこには何か理由があるはず。

 その理由を突き止めるため、武瑠は手始めにエースとキャプテンから話を聞くことにした。


 監督室で水琴と半ば兄妹喧嘩のような会話を続けているとドアをノックする音が飛び込んで来る。


「監督、お呼びでしょうか?」


「おお、来たか。――ってあれ?もしかしてしず?久しぶりじゃん」


 現れたのは野球をするのには向いていないのではないかと思うくらい綺麗な黒髪ロングの凛々しい顔をした少女。この美少女がこのチームのキャプテンである藤崎ふじさきしず。ポジションは遊撃手で背番号は36、走攻守すべて揃ったこのチームの要である。

 幼少期からずっと水琴と同じチームで共にプレーをしてきたので武瑠とも面識がある。


「お久しぶりです。武瑠さ……、いや、監督」


「そんなに畏まらないでよ。――それよりキャプテンが静なら話が早い。率直に、このチームの強さと弱さを教えてくれ。もちろん現状ベースで」


「このチームの強さと弱さ……、ですか?」


 静はクールな表情を崩さずに少し考え込んだ。

 そして普段からあまり口数の多い方ではない彼女は、言葉を丁寧に選ぶように思った事を話す。


「良くも悪くも取った点をなんとしても守りぬく野球だと思います。水琴みたいな好投手がいて、守備も悪くない」


「静の言うとおりだよ。自慢じゃないけど私、公式戦で1試合に4点以上取られたこと無いんだよ?人呼んでクオリティスタートの平川」


「……水琴がそんな風に呼ばれているかどうかは別として、確かに過去の資料とか見る限りそんな感じの守りのチームって感じだな。――それで?弱さの方はどうなんだ?」


「打線がいまいちで得点力がありません。………あと、これは私の感覚ですが、リードしていようがビハインドであろうが1点差で終盤を迎えると途端に勝負弱さが見えます。私も水琴も、他のみんなも」


「……それは、私も自覚あるかも。もう1点もやれないと思うと、ちょっと置きに行った球を投げて痛打なんてことが何度かある……」


 静と水琴は自分たちの弱さを自覚していた。先日行われた夏の大会でもそう。準決勝での八戸光栄学院戦、1点リードで迎えた最終回、水琴のストライクを取りに行った球を打たれて逆転されてしまったのだ。加えてその裏の攻撃では静をはじめとしたクリーンナップが3者連続三振してしまうという勝負弱さも露呈した。


「なるほどなあ。どちらかと言うと技術とか身体能力じゃなくてメンタル的な弱さってことか」


「だから私はキャプテンとしてこのチームを『接戦に強いチーム』にしたいと思っています。そのために守備もさらに強化して、攻撃のバリエーションも――」


「それじゃあ強くならないよ。静」


 武瑠はバッサリと言い放った。自分たちの弱い部分を強くするため、徹底的にそこを鍛え上げようとすることが正解だと思っていた静は虚を突かれた。


「ちょっとお兄ちゃん、そんな言い方しないでよ!静はちゃんとチームのこと思ってどうしたら接戦に強くなれるかずっと考えて来たんだから!」


「それがそもそもおかしいんだよ。一介のキャプテンにそこまで背負わせるとかそっちのほうがどうかしてる。――チームを強くするのは俺の仕事なんだよ」


 静と水琴はハッとした。前監督は選手の自主性を重んじると言って、チーム方針や戦術などを丸投げしていたのだ。武瑠に言わせればそんなのは監督の職務放棄でしかない。選手はゲーム内でいかに自分のパフォーマンスを引き出せるかどうかだけ考えていれば良く、それ以外はすべて監督の仕事であるというのが武瑠の考えなのだ。


「と言うわけで俺はこのチームを強くする案を考えました。……聞きたい?」


「お兄ちゃんのそういう勿体ぶる所、本当にムカつく。――いいから早く聞かせてよ」


 武瑠はすうっと息をたっぷり吸い込んで、大きな声で高らかに宣言する。


「接戦に弱いなら、接戦にさせないチームにしてしまえばいい!」


「「………は?」」


 静と水琴は当初、武瑠が一体何を言っているのかよく分からなかった。接戦にさせないチームを作るということはとどのつまり、大量に得点を入れて点差を突き放すチームになるということだ。


「そ、それはつまり、とにかく打撃重視で得点力を高めるということですか?」


 クールな表情を保っていた静もさすがに動揺している。考えてみれば現状のチームとは全く正反対の方針であるし、いくらでも点が取れるそんなチームが作り上げられるのであればまるで夢のようである。


「そう、その通り。理解が早い奴は嫌いじゃないよ」


「……しかし、そう簡単にチームの打撃力が向上するものでしょうか?」


「それに関しては考えがあるから心配すんな。――ほら、そろそろ練習の時間だぞ?さっさとグラウンドへ行けー!」


 正直なところ武瑠の言っていることはぶっ飛んでいると言わざるを得ない。静も水琴もそんな夢物語のようなことなど出来る訳がないと、先が思いやられるような気持ちになった。しかしながら二人とも心の奥底で、もしかしたらこのぶっ飛んだ人のおかげで自分たちは強くなれるかもしれないという淡い期待を抱えていたのもまた事実だった。



 ◆


 平川武瑠式練習法は至ってシンプル。練習時間が3時間あるとすれば最初の1時間でアップとシートノックを済ませてしまい、残りの2時間はひたすらに打撃練習。素振りやトスバッティング、フリーバッティングなどオーソドックスな打撃練習を選手たちはとにかくこなしていったのだ。

 しかしただ単純に打撃練習の割合を増やすだけでは打てるチームにはならない。それは静や水琴だけでなくチーム全員が思っている。そんな選手たちの懐疑的な気持ちを解消させるべく、武瑠はある作戦をとった。


「はい集合。これからシートバッティングをやってもらう訳なんだけども、今日は特別ゲストをお呼びしました」


 皆を集めて武瑠がそう言うと、一人の背の高い男が呼ばれて出てきた。その顔を見て選手たちは『誰?』という表情。それも無理はない、おそらくこの男の正体を知っているのは水琴くらいなのだから。


「あの……、お兄ちゃん。ゲストっていうのはもしかして……?」


「そう、ゲストは平川ひらかわ大和やまと。俺と水琴の兄貴だ。バッティングピッチャーをやってもらおうと思う」


 水琴と武瑠の兄である大和は社会人野球の『みちのく通運』に所属していた投手である。150km/hを超える速球と落差の大きなフォークボールが武器でドラフト候補に何度か名前が挙がったこともある。しかしながら結局プロに行くことはできずに昨シーズン限りで引退、今は会社員をしながら野球を教えたりしている。

 選手たちはざわついた。社会人野球の元トップクラスの選手が女子の高校野球チームの練習に来るなど異例中の異例なのだ。大和のよう人間は大概男子チームの臨時コーチをしたりするので、それを女子チームに呼べるというのは武瑠の人脈あってのこと。


「うちの兄貴の武器は速球とフォークボール。――お前ら何か気づかないか?」


 選手たちは揃って首をかしげる。武瑠が大和を呼んだのは、ただ単純にレベルの高い投手を相手にするということだけではない。皆が数十秒悩んだ挙げ句、その理由に気がついたのは結局のところ静1人だけだった。


「………もしかして監督、光栄学院の蓬田よもぎたをイメージして大和さんを選んだんですか?」


 恵愛女子の最大のライバルである光栄学院のエース蓬田は、女子の投手としては全国トップクラスの速球とそれを活かしたスプリットが武器。つまり、投手としてのキャラクターが大和と似ているのだ。


「おっ、さすがキャプテン、正解だよ。うちの兄貴の球が打てるようになれば蓬田なんて余裕さ。それどころか県内の投手なんて全然怖くなくなるぜ?」


 静は度肝を抜かれた。平川武瑠という監督は大口を叩くだけではなく、自分たちを打てるチームに変えて全国に行けるようにしてやろうと本気で考えていたのだ。武瑠が監督になる前の自分がチームのことを背負っていた状態だったならこんな事に気を回す余裕さえ無かっただろう。

 ここまでの武瑠のやり方に半信半疑だった静は本気で彼のことを認めざるを得なくなった。


「というわけでシートバッティング開始だ!遠慮はいらないからうちの兄貴をボコボコに打ち込んでくれよな」


 選手たちはこんな機会など滅多にないということで意欲満々。とにかく速球と落ちる変化球についていくため必死に食らいついた。

 それを見て武瑠は笑いが止まらない。引退してから暇を持て余していた大和の野球に対する欲求不満を解消できるし、選手たちの能力底上げも出来るというwin-winなイベントなのだから。


 そして2週間が経つ頃には、大和の速球を皆綺麗に打ち返せるくらいになった。


「――よし、それじゃあそろそろこっちにも手を付けるかな」



 ◆


 武瑠は監督室に投手陣を呼びつけた。エースの水琴、リリーフで投げることがある静、その他控えの投手など合わせて4人。

 このチームはもともと守備のチームであったがために、投手力はかなり高い。しかし、静や水琴が言うように接戦になるとどうも力を発揮できないという弱点があった。


「あの……、監督。監督の打撃力を強化する方針は良くわかりました。でも、投手陣は一体どうするんですか?接戦にさせないチームにするのであれば、こっちもより一層強化をしていくという事ですよね?」


 静は疑問に思っていた事を武瑠へぶつけた。彼のチーム方針を考えてみれば至極当然のことである。水琴をはじめ、他の投手陣も静と同じことを考えていたようだった。


「いーや?特にこれといって投手陣に変わったことをさせる気はないよ?今まで通りお願いしますって感じ」


「えっ……?それでは接戦になってしまったとき、これまでと同じ勝負弱さが出てしまうのでは……?」


 投手陣はざわついた。いくら大量に点を入れたとしても、投手力が低くては追いつかれてしまう。それでまた接戦になるようなことになればこのチーム方針は元も子もなくなってしまうのだ。


「そいつは違うよ静。今までは味方の得点力が低いせいで『1点も取られてはいけない』っていうプレッシャーを自分自身にかけていたんだ。そんなんじゃよっぽど頭のネジが飛んだヤツ以外、縮こまって本来の力を出せなくなる」


「では……、私達は知らず知らずの間に自分自身へプレッシャーをかけていたと……?」


「そう。うちは元々能力の高いチームなんだけど、プレッシャーに対する処理力だけが低い。だから強くなるためにはそもそもの考え方を変える必要がある」


 核心を突かれた投手陣の面々は豆鉄砲を食らったような表情をしている。確かに『自分が抑えなければ勝つことはできない』という『べき思考』に囚われていたということは投手陣の誰もが自覚していたのだ。


「だから俺は抑えろなんて言わないよ。点なんていくらでもくれてやれ。それ以上に点を取りゃいいんだからさ。それくらいの気持ちで投げりゃ良いパフォーマンスが出る」


「……何それ、やっぱりお兄ちゃんのやり方ってクソムカつく」


「どう捉えるかはお前らに任せるよ。素直に受け止めるも良し、水琴みたいに何くそ根性で奮起するも良しだ。とにかく俺が言いたいのは『投手1人で野球をやるんじゃねえ』ってこと。――それじゃあ解散。期待してるぜ」


 それだけ言い放った武瑠は監督室を出て練習へと向かって行った。


 武瑠が監督に就任してから2ヶ月が経つ頃にはチームは劇的な変化を遂げていた。それはここ最近の練習試合の結果を見れば明らか。2桁得点は当たり前、失点こそ少し増えたがそれをものともしないくらい得点力が格段に上がったのだ。


 平川武瑠式の超攻撃的野球は、確実に花開こうとしていた。



 ◇


 藤崎静は秋季大会の抽選会へ向かうため、武瑠の車で会場へと向かっていた。車の中でハンドルを握る武瑠と助手席に座る静。監督とキャプテンという間柄であると同時に、静にとって武瑠は野球人としての憧れでもあった。


 静がまだ野球を始めたての小学生だった頃、親友の水琴に連れられて武瑠の出場する試合を見に行ったのがきっかけ。その試合の武瑠は三振ばかりで全く良い所が無かったのだが、1点ビハインドで迎えた最終回ノーアウト1塁で打席が回ってきた。

 普通に考えたら武瑠が取るべきプレーは送りバントだ。しかしながら大方の意に反して武瑠は胸のすくようなフルスイングで逆転サヨナラホームランを放った。

 後から聞いたところ送りバントのサインを無視した挙げ句のホームランだというのだか、それでも静にとってはその一発が忘れられなかった。自分もあんな風になりたいと、その日から静の野球に対する気持ちに火が付いたのだった。

 そして静は中学を卒業する頃には打ってよし守ってよし走ってよし、おまけに投手としても優秀な万能選手にまで成長した。しかし彼女には武瑠みたいにホームランを打てるようなパワーがどうしても身につかなかった。シングルヒットこそ量産できるものの、どうしてもフェンスの向こうまで打球が飛ばなかったのだ。

 むしろそのパワーの無さを嫌というほど自覚していたおかげで代わりに守備や走塁が上達することになったのだが、今のこのチーム方針ではやはり遠くに飛ばす力がもっと欲しいと静は足掻いていた。敬愛する監督の期待に答えられるような選手になりたいというその一心だったのだ。


「静さ、なんで背番号36なんだ?キャプテンで3番打つような選手だったらもっと若い番号のほうが格好良いだろうに」


 女子の高校野球は男子と違って2桁までの数字であればどの番号を背番号として使用してもいいことになっている。例えば女子選手の間では野球の語呂合わせである89番や、憧れのプロ野球選手と同じ番号をつけたりするのが定番になっている。

 そんな中、何故か静は36番を付けていた。彼女のようなキャプテンを務める選手ならば1桁の番号をつけるのが世間一般では当たり前のようになっているのだが、静はそれをしなかったのだ。


「そ、それは………、憧れの選手の番号なので……」


 歯切れ悪く静は答えた。言うまでもなくその36番は武瑠に憧れてのものなのだが、本人を目の前にしてそんな恥ずかしい事を口に出せる訳がない。


「へぇ……、36番のプロ野球選手なんていたかな……? ―――あっ!いたいた!川崎フライヤーズの外ヶ浜そとがはまだ!ショートだし守備も上手いしヒットも打てるし静にスタイルがそっくりだもんな」


「そ、そうですね……。外ヶ浜選手のフィールディングはお手本になります」


 そんな静の気持ちに気が付かないのも武瑠らしいと言えば武瑠らしい。しかし静は武瑠に憧れて野球を続けているということが伝わらないのが少し悔しかった。やっぱり武瑠のようなフルスイング至上主義のパワーヒッターにならなければ、と自分で自分の非力さを嘆いた。



 ◇


 秋季大会1回戦の日、恵愛女子の面々は弘前運動公園野球場の3塁側ベンチに集まっていた。


 抽選会では静のくじ運の悪さが露呈し、初戦の相手は夏の覇者であり、恵愛女子が準決勝で敗れた八戸光栄学院となってしまった。

 とんでもないくじを引いてしまったと静は当初申し訳ない気持ちでいっぱいだったのだが、部員たちは全く落ち込んでなどいなかった。それはここまで取り組んできた打撃力強化プランに八戸光栄学院のエース蓬田よもぎたを嫌でも意識してしまうような練習も含まれていて自信が高まっていたからである。その一つが武瑠や水琴の兄である大和を打撃投手として招聘したこと。そのおかげもあって皆150km/hの速球についていくことができるようになったし、落ちる変化球に対してもある程度耐性がついた。

 そして水琴をはじめとした投手陣も味方が点を取ってくれるという気持ちの余裕が出てきたのか、以前よりも堂々とした投球ができるようになった。『1点も取られてはいけない』から『何点でもくれてやる』という強気のスタンスがかえって投手陣のパフォーマンスを上げたのだ。


「よーし、俺たちがやるべきことはいつもと同じだ。とにかく相手より点を多く取る。それが野球に勝つ唯一の方法だってこと忘れんなよ」


「「「はい!」」」


 試合前に円陣を組んで選手みんなで士気を上げる。練習試合で実績を積んできただけあって、王者相手とは思えないほどみんな怖じ気つくことなく気合が入っていた。


 球審から高らかにプレイボールが宣告される。後攻である恵愛女子の先発は水琴。立ち上がりに少し難があるスロースターターなのだが、点をいくら取られても構わないと思えるようになったことで大胆にストライクを投げ込むようになった。


「――ストライーク!バッターアウト!」


 アウトコース低め一杯に渾身のストレートが決まって水琴は見逃し三振を奪った。

 初回、とにかくボール球で逃げることはせずストライクで勝負しにいった水琴は光栄学院の強力打線に2点を奪われた。しかしその後はエンジンがかかってきたのか、後続をしっかり断って味方の攻撃のリズムをなんとか作り出した。


「よしっ!ランナー出しまくったけど初回2点で済んだなら上等だ。よくやったよ水琴」


「本当は完封したかったんだけど……。でも、これでいいんだよねお兄ちゃん?」


「ああそれでいい、攻めの投球で行け」


 1回裏の恵愛女子の攻撃。大和の強力なボールを打つ練習をしていた恵愛ナインは、光栄学院の先発であるエース蓬田を初回から捉える。

 1番 階上はしかみ、2番 新郷しんごうの連続ヒットでノーアウトランナー1塁2塁。そして光栄学院ナインの守備の間を抜くような3番の静のタイムリーヒットであっという間に1点を返したのだ。

 続く4番の深浦ふかうらは強振しすぎてダブルプレーに倒れるが、5番の横浜よこはまが残っていたランナーをきっちり返して恵愛女子はあっさりと試合を振り出しに戻した。


「よし、みんなバットが振れている。このまま突き放して一気に試合を決めよう!」


「「「おー!」」」


 普段クールなキャプテンの静も味方を鼓舞するため声に力が入る。夏の大会のときのような王者に追いつめられて苦しんでいる表情を見せる者はチーム内に誰一人としていなかった。まだ1回の裏で同点に追いついただけではあるが、誰もが皆この試合の主導権を握ることができたと思っていた。


 しかし、光栄学院はそこまで甘くはない。同点に追いつかれたとなれば、すぐさま強力打線が王者の貫禄を水琴に見せつけてきた。

 ここまで公式戦で4点以上取られたことの無かった水琴が5回終了まで投げて被安打15の7失点。それでも与四死球0、奪った三振は7つとかなり奮闘している。

 一方でエースの水琴を援護するために恵愛打線は爆発した。5回には4番深浦の満塁ホームランが飛び出すなどしてこちらも7得点。ロースコアゲームになるであろうという下馬評とは裏腹に、両者一歩も譲らないまさかの乱打線となった。



 ◇


 同点のまま回は進んで女子野球の最終回である7回を迎えた。

 球数が100球をゆうに超えてスタミナが尽きそうな水琴を光栄打線が襲う。回の頭から3連打であっという間にノーアウト満塁。

 ここで武瑠は動く。水琴をベンチに下げてマウンドには静。点をいくら与えても構いはしないスタンスではあるが、このバテバテの水琴に投げさせ続けるのはさすがに酷である。


「……ごめん静、満塁で引き渡すことになっちゃった」


「いいんだよ水琴。ここまでよく頑張ったね。後ろで見てて気持ちいい投げっぷりだったよ。――あとは私がなんとかする。この試合、絶対に勝とう!」


「静……。――うん!絶対勝とう!」


 水琴は静にボールを渡すとベンチに下がり、マウンドの静は投球練習を始めた。

 点を取られながらも試合をなんとか作ることができたのは他でもない水琴のおかげ。水琴が熱投しなければ打線だって奮起しなかっただろう。


 そんな水琴の思いを受け継いだ静は、ノーアウト満塁の大ピンチから犠牲フライでまず一つアウトをとった。


(――これでいい。1点で抑えられればウチの打線ならすぐにひっくり返せるっ……!)


 常に練習ではこのような突然の登板を意識していて、静に動揺は見られなかった。

 そして続くワンアウト1塁2塁の場面、静は渾身のストレートを内角に放ると、打者はそれを引っかけて6-4-3のダブルプレーに打ち取った。


 スコアは8対7と1点ビハインドながら、恵愛女子ナインはまるで勝ったかのような喜びようでベンチに下がっていく。しかし、静だけは何故か痛みを我慢するような少し苦しい表情をしていた。


「ナイス静!ダブルプレーで打ち取るとか最高だよ!―――静?どうしたの?」


「い、いや、なんでもない。それより、テーピングはどこにあったっけ?」


 静を出迎えた水琴は瞬時に彼女の身に何があったか察した。


「静、もしかして今のでマメを潰しちゃった……?」


「な、なんのこと? 水琴は変なこと言うなあ……」


 投手としての水琴の勘は見事なものだった。彼女の言う通り、静は先程の投球で右手の人差し指付け根付近に出来ていたマメが潰れてしまったのだ。


「静は誤魔化すのが下手くそなんだからそんな嘘ついてもバレバレだよ。ほら手を見せて。―――やっぱり潰してる。早くお兄ちゃんに言って交代し――」


「それはダメ。それだけは勘弁して」


「でもこの回静に打席が回る可能性があるんだよ?そんなマメの潰れた手でバット振れるの?」


「大丈夫だから、水琴は心配しないで」


「……静がそう言うなら黙ってる。でも心配だから私、一応3塁コーチャーに入るね。何かあったらすぐに駆けつけるから」


「それと水琴、ちょっとお願いがある」


 静は水琴へ耳打ちをした。それはとある作戦で万一の保険みたいなもの。


「………それ、本当にやる気?」


「万一のためだよ。これには水琴の協力も要る」


「私はいいけど……、お兄ちゃんが何て言うかなあ……」


「大丈夫。そうなったら勝った後で2人で監督に謝りに行こう」


 水琴は変に自信満々な静を見て少し笑ってしまった。静に勝つための策があるならそれに乗っかってもいい。そう思いながら水琴は3塁のコーチャーボックスへ向かった。


 この回の先頭は9番の西目屋にしめやから。相手投手の蓬田は水琴同様に7点を取られながらもエースの意地と言わんばかりにマウンドを守っているが、さすがに疲労の色が隠せない様子。西目屋がポテンヒットで出塁すると、1番の階上が当たりの悪いセカンドゴロを打ちワンアウト2塁となる。

 続く2番の新郷がバッターボックスに入り、静はネクストバッターサークルで固唾をのんだ。

 新郷に対する初球、疲労からか今まで厳しいところに来ていた外角のストレートが甘く入る。それを新郷は見逃すことなく広くなった1,2塁間を抜くクリーンヒット。一気にサヨナラのランナーが出てワンアウト1塁3塁となった。


 いよいよ回ってきた静のアットバット。右手のマメが潰れてしまいバットを強く握ることが出来ないが、それでも彼女は打席へ向かう。


(――ここで少なくとも私が同点にする。そうすれば後ろがなんとかしてくれるはず)


 彼女の狙いはとにかく3塁にいる西目屋を返してスコアを振り出しに戻すこと。何をすべきかは自分自身が1番よく分かっている。

 相手投手の蓬田は依然としてマウンドに立っている。これが夏の決勝戦ならば交代もあったかもしれないが、まだ秋季大会の1回戦なのだ。ここでエースが降りるようではたとえ勝ったとしてもその勝利にはしこりが残る。死なばもろともという蓬田の意思を18.44m離れた静も感じていた。


 静に対する蓬田の初球、ここにきて今日の最速のストレートが真ん中高めに外れる。そしてまるで無警戒だった1塁ランナーの新郷は2塁を陥れた。

 これでワンアウトランナー2塁3塁。1塁が空いているが、静の次の打者は今日満塁ホームランを放っている深浦。満塁策は自分のクビを締めるだけ。そうなると、蓬田は静との一騎打ちに出るしかない。ベンチの武瑠からはもちろんヒッティングのサイン。静の打棒にチームの命運を託した。


 2球目の緩いカーブが外れ、3球目の外角低めいっぱいのストレートを見送ってカウントは2-1のバッティングカウント。静はここで間を取る。


(――水琴、次の球でアレいくよ)

(了解。静、頼んだよ……)


 事前に水琴と打ち合わせしていたことをお互いにサインを出して確認する。そして3塁コーチャーの水琴は各ランナーにサインを出す。ここまで来たらもう引き返せない。


 蓬田が4球目を放とうとしたその瞬間。


「―――ゴーッ!!」


 水琴の大号令とともに2人のランナーが一斉に飛び出した。


 2人の出したサインはエンドラン。とにかく静が転がせば1点をもぎ取れるであろうというフライングすれすれの素晴らしいスタート。


 そして静は蓬田の放ったインコースのストレートに対してバットを寝かせて当てにいったのだ。


 そう、狙ったのはエンドランではなくスクイズ。


 まさか強打でゴリ押してくる恵愛女子の3番打者がこんなところでスクイズをしてくるなど王者光栄学院は夢にも思っていなかった。そのためか守備はバタついた。

 静の当てた球は3塁線を綺麗に転がってフェア。勢いよくスタートを切っていた3塁ランナー西目屋は悠々ホームインした。


 打球を処理したサードはすぐにボールを1塁に送り静をアウトにする。


 その判断が光栄学院にとって命取りとなった。


 西目屋同様に素晴らしいスタートを切っていた新郷があっという間に3塁を蹴ってホームに突っ込んでくる。

 ボールを受け取ったファーストはすぐにボールを本塁にいるキャッチャーへ送り返した。


「「突っ込めえええええ!!!」」


 球場には静と水琴の叫び声が響いた。


 本塁上のクロスプレー。際どいタイミング。ギリギリの走塁。どう転んでもおかしくない、そんな紙一重のプレーだった。


「―――セーフ!ゲームセット!!」


 試合の終わりを告げる球審の高らかなコール。スコアは9-8で恵愛女子は初めて王者光栄学院を下したのだ。


「やったあああああ!!!」

「勝ったああああ!!!」

「サヨナラ2ランスクイズだ!!!」

「キャプテン凄すぎ!!!」


 チームメイトは歓喜の輪を作って静を出迎えた。静自身、こんなにも上手くいくとは思っていなかったのでまるで夢ではないかと頬をつねる始末。


 試合終了の礼をしてからベンチを去るまで、チームみんなが夢心地だった。



 ◇


「監督っ!ごめんなさい!ヒッティングのサインを無視してスクイズをしてしまいました!」


 試合終了後のミーティングで静は開口一番に武瑠に頭を下げた。

 武瑠のポリシーがフルスイング至上主義であることを知っていて、なおかつチーム方針としてバントはしないと決めていた。それだけにキャプテンの自分が勝手にバントをしてしまったことを静は反省していたのだ。


「あれって水琴と静の2人で考えたのか? それなら上手く騙されちまったなー。『敵を騙すにはまず味方から』って言うもんな。よくやったよお前ら」


 武瑠の口から出てきたのは意外な言葉だった。てっきり静は叱責が来るとばかり思っていたので肩透かしを食らった格好になった。


「……監督?怒ってないんですか?」


「なんでサヨナラを決めた選手を怒らなきゃいけないんだよ。俺はどっかの独立リーグの監督みたいに鬼じゃねーよ」


 武瑠の渾身のジョークに選手たちは笑おうか笑わまいか微妙な表情を浮かべる。


「おっ、おい!ここは笑うところだぞお前ら!それよりもサヨナラ勝ちを決めるとかすげえ事なんだからもっと静を讃えてやれ!」


 静はその言葉にホッとしたのか少し笑みが溢れた。


「しかしまあ、監督のサインを無視してサヨナラ勝ちを決めて来るとはな。どっかの背番号36にそっくりだよ静は」


「そっ……、そうですかね……?」


「ああ。でもそういう選手、俺は好きだよ」


 その瞬間、静は心の中に矢が刺さったような感覚を覚えた。自分の憧れた人に認められた喜びと、『好き』と言われて揺れ動く乙女心の合わせ技。静は嬉し過ぎて、本当にどうにかなってしまいそうだった。顔に出てしまっていたらどうしようか、変な風に思われてしまわないだろうか、そんな言葉かり静の脳内を駆け巡った。


「でもマメが潰れたことは報告して欲しかったなぁ〜。控えの投手に肩作らせないといけないし〜」


「……はい」


「まあ勝ったからいいか。そんじゃお前ら帰るぞ、そしたら試合の反省会と練習だからな。まだ1回戦なんだから優勝した気になるんじゃねえぞ?」


 びっくり水という表現がぴったりなほどの水を勝利に浮かれる恵愛ナインに差すと、皆表情を変えて球場を後にした。


 このチームが本当の台風の目となるかどうかは、これからにかかっている。



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みうらみう

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バントのサインを無視してプロ野球選手をクビになった俺は、女子高校野球チームの監督になって頂点を狙う 水卜みう🐤青春リライト発売中❣️ @3ura3u

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