藤と声呪いの魔法使い

冬城ひすい

プロローグ

オレ――藤崎春翔ふじさきはるとの通う姫ヶ崎高校には一つの噂がある。

いわく『天ケ瀬優衣あまがせゆいには近づくな』と。


その生徒と言葉を交わすと不幸に見舞われるらしい。

実際に骨折をした生徒も見たし、今まで仲睦まじかった男女が破局したということも聞いたことがある。

他にも彼女と関わったことで不幸が起こったそうだが、この学校では唯一オレだけがその噂を信じていない。


だって、それらはきっと偶然だ。

魔法でもなければ、言葉を交わしただけで不幸に見舞われるなんてことはありえない。

そして現実に魔法があるはずがないのだから。


天ケ瀬優衣とは、銀色の髪とサファイアブルーの瞳を持つ少女だ。

授業中以外は常にヘッドフォンをして耳を塞いでいる。

こんなところがきっと噂を拡散する要因になっているんだろう。

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