第2話 ダンジョンでの再会と大惨事
俺はスキル無しでやって来ただけあって、素の力がかなり強い。かなり鍛えたし当然、と言いたい所だがそうでもない。実は種族的なあれでまぁ何とかなっているのだ。まぁそんな事より、今、低階層を彷徨きながら低級モンスターを殺し回っていた。素手で。
「面倒くせえなぁ〜。はぁああ。まぁ、宿だけは屋根裏部屋使わせてもらってるから良いけどさぁ。」
今、俺の住まいは『酔の宵』の屋根裏部屋になっている。宿代がもったいないって言うのと、以前、あそこを掃除したらさ。
「え?屋根裏部屋?あぁ、掃除を頼んでた所か。お前にやる予定だったからやるよ。今日から自由に使いな。」
だってよ。
本当に良いだなぁおい!まぁ、流石にタダってのもどうかと思うから娘さんのお守りやお迎えなどはよく手伝っている。まぁ、その……プライベートを侵害するのもなぁ…って思ってたらあそこ防音だもん。すごい高性能だもん。そりゃ甘えちゃうでしょ。
だからこうして武器の維持費、飯、あとは幼馴染への仕送り、かな。あぁ〜。そういや、元気にしてるかなぁ。
「早く治ると良いなぁ。」
「何がですか〜?」
「うおっ⁉︎」
急に声をかけられたのでそちらの方を見てみると、あのギルドの後輩がそこに立っていた。
「というか、先輩なんで一人なんですか〜?いつもお仲間さんやあのバ……いや、アホと一緒にいるじゃないですか〜。」
「実は追放されちゃって、ギルド。」
「⁉︎は?」
うわ。今、ナチュラルのは?だ。こいつの名前はミーヤ・シェビル。いつも語尾に〜を付ける珍しい奴だが……。こいつの〜が無くなった時の剣幕と言ったら…。以前色々あってその恐ろしさは身に染みている。
「先輩。どうゆう事ですか?それ、少しおかしいと思うのですが…。抗議してきましょうか?」
「いんや、もう良いよ。あそこは俺の居場所じゃなかったって事だろ?じゃあ仕方ねぇよ。あぁ、気にしてないから、お前はお前で頑張ってくれよ。じゃあまた何処かでな。」
「先輩。」
……。何か…後ろから…すごい殺気というか……何というか…。こいつのランクはA級である。ランクはE〜Sまである。そのうちの二番目である。かなり強いのである。そう!かなり強いのである!ちなみに俺はC級♪勝ち目がないね♪
「前に言いましたよね…?私、貴方のことをいつまでも追いかけ続けるって。突き放されても、ずっと付いていくって。」
うひぃ!何か今背中に変な怖気がぁ⁉︎
「私、貴方の居ない場所に興味ないんです。屋根裏部屋で寝ているのは知っていますけど、今すぐ私の家に移し替えてあげましょうか〜?」
ん?今最後、〜が付いた?つまり………。
「お前、もう良いだろ。収まったか?」
「はい〜。すいませんです〜。先輩。まぁでも〜、半分本気なので〜真面目に検討してくださいね〜。それではまた〜。」
「おう、じゃあな。気を付けて。」
そういって高階層まで登って行った。うんうん。後輩の成長ってのは目まぐるしいねぇ!さて、あの子のお迎えもかなりまだ余裕あるし、もうちょっと狩って行くかな。
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「そろそろ行かなくちゃいけねぇな。急ぐか。」
あんまり遅れるとあのじゃじゃ馬にやられるからなぁ…。本当に。ご立腹してないと良いけど。
「キャアアアアアア!」
「ちょ、なんで上からこの声が⁉︎」
このダンジョン。少し特殊で階段の横に部屋が付いている斬新なタイプのダンジョンなのだが……。こりゃヤバめな感じの声だったな。急がねば…。
俺は階段を駆け上がった。すると、3階層上がった所に、後輩と、その子、レーナちゃんが居た。
「大丈夫か⁉︎」
「先輩この子を連れて逃げてください!」
「はぁ⁉︎」
俺はレーナちゃんの方を見る。どうやらあの、オークの強化版、おそらく変異種に狙われているのだろう。それを辛うじてあいつが防いでいるわけだ。得意分野でもないくせに。
「お前が逃げろ!俺が殿勤めてやる!」
振り下ろされた拳を、間に入り込み素手で受け止める。
「イッッッ!ひゃっば。こりゃエグいなぁ…!ちと厳しいか…。おい、早く連れてけ!大丈夫だから!」
ミーヤはコクリ、と頷き、レーナちゃんを抱え、降りて行った。
「さぁてと。変異種は勝ち目ねえかもだけど、なんとかやってみっか。来いよ、デカブツ。」
「BURUUAAAAAAA!!!!!」
あれ?何か下っ端どもがうじゃうじゃ湧いて出てきた?あれ?不味いんじゃねえの?これ。
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