バブみ道日丿宮組

お題:狡猾な墓 制限時間:15分

 トラップーーそれは対象をとるもので、その他のものには効果がない。

 墓守の仕事は、墓場を守ることであって、墓を守ることではない。

 そのため、墓を狡猾なトラップとして利用する。

 幸いにして、大きな墓が多い。だいたい成人男性二人分の高さと、バスケットボールぐらいの太さ。それが倒れてきたとしたらどうだろうか?

 墓は墓石とも呼ばれ、すごく重い。ということは、頭に直撃すれば、墓荒らしを殺害という方法で防ぐことができる。

 死人がでてきたとしてもここは墓場。

 死者を埋めることに関しては理がここにはある。

 とはいっても、身体が大きければ大きいほど、穴を大きくしないといけない。

 そしていちいち掘るのも馬鹿らしい。

 死体が出たと警察を呼んでもいいが、なぜ墓の下にあるのかと聞かれたら、言い訳できる理由がない。

 

 ーー死んでほしかったから、死んでもらった。

 

 そういってみてはどうだろうか。

 きっと驚くだろうし、手錠をつけるきっかけにもなるだろう。

 後継人が墓守をきちんとしてくれればいいが、そうでもなければ捕まる意味がない。

 さて。

 トラップは起動しただろうか。

 もちろん、墓で押しつぶすというものじゃない。守るためにやってることであって、殺すためにやってるわけじゃない。

 一度捕まれば、人間は学習する。

 そうして、トラップの種類を増やす結果となったが、そもそもとして墓に供えられたものを盗ってくというのは理解できない。

 墓荒らしのために置いてあるわけではなく、死者のためにあるものなのだ。

 それを説教しても、相手は理解してくれない。もうしないからもうしませんからと、駄々をこねるばかりだ。

 本当に幼稚だ。

 それに対して、ああでもないこうでもないと考える僕も、また幼稚。

 なんとか変えたいと思ってはみてるが、習慣となってるものを変えることもできなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る