カウント・ラブ

熊パンダ

第1章

第1話 謎の数字

「ちょっと! 勇気ゆうき! もうこんな時間よ! 早く朝ごはん食べて、学校行きなさい!」


 ……うぅ、眠い、ほんと月曜日は嫌いだ、しかも今日雨かよ、やる気が下がるわ。

 まぁだからと言って学校を休むわけには行かないんだが……


 めんどくさい気持ちを持ちながら、俺は階段を降り、洗面所へ


「ふあぁ……」


 水で顔を洗い、鏡を見る。


 特に特徴もない普通の顔、耳にもかかるようになった少し長くなった髪、そして頭の上にあるこの数字……うん、今日も普通だな、俺は!


 洗面所を去ろうとしたところで気づく


「ん……数字?」


 もう一度鏡を見ると、俺の頭の上には数字が書いてあった。


「15……? なんだこれ」


 うーん、俺まだ寝ぼけてるわ……


「ちょっと……早くしてくれる?」


 後ろから声がしたので、振り返ると妹の千奈美――赤穂千奈美あこうちなみがいた。

「おぅ、すまんな千奈美、おはよう」

「……おはよう」


 千奈美は俺の一つ下の妹で、同じ高校に通っている。

 ふわりとした黒髪のツインテール、整った容姿……本当に俺と同じ血が流れているか不安になるほど、妹は可愛かった。

 まぁ、最近は思春期からか、当たりが強いけどな


 ただ、いつもと違うところがある……


「不明……?」

 千奈美の頭の上にも文字が書いていたのだが、それは数字ではなく文字……


「ちょっとお兄ちゃん! 顔近い! それに人の顔をあんまりジロジロ見ないでくれるかな!」


 千奈美は顔を赤くして怒っている


「あぁ、わ、悪い!」

 俺は慌てて、離れ、リビングへと向かった。


「ばーか……」


         ***


 千奈美には悪いことをしたなぁ……でも、あの数字はなんだ?

 寝ぼけているって言うのも段々通じなくなってきたぞ


 だって……母さんにも見えるんだよな


 俺はご飯を食べながら、母である赤穂真美あこうまみの頭の上を見る。

 やはり見間違いではなく、「不明」と書かれていた。


 いや、マジでなんの意味があるんだよ……


「あら、今日雨なのね、勇気ー傘忘れないようにねー」


「あぁ、わかったよ」

 今日は雨かぁ……と思いつつ、付いていたテレビを見ると……


「なんじゃこりゃ!?」


「ちょっとぉ……行儀悪いわよ!」


「あ、あぁごめん……」


 テレビでは現代の若者の食生活についてコメンテーターが話している。


 ただ、やはり気になるのは頭の上に数字なのだが、様子がおかしい。


(08:51…?)

 

 その数字はとてもデカく、赤くなっている。

 そして数が徐々に減っている、まるで……


(爆弾みたいだ……)


 いや、まさかな……


「行ってくるねー!」

「はーい!」


 千奈美と母さんの声が聞こえる。

(時間は……やばい!)


 俺は急いで朝食を食べ、家を出た。


「行ってきまーす!」

「気をつけてねー!」

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