黒いモワモワ
@cross06
第1話 しんでほしいんだって
私は小さい頃から歪な部分がある。
他人の不幸を心配そうに見つめながら心の奥底で笑う人間。
もう1人、自分と同じような人間がいるとすれば私はきっとその人間を軽蔑するだろう。
自分の事を棚に上げて…
私の中にある黒いモワモワが広がったのは小学1年生の頃だった。
友達がいない私に声をかけてきた同じクラスの女の子が居た。
「ねぇ、良かったら一緒に遊ぼ?」
私は戸惑いながら「え?なんで…?」と答えた。
戸惑う私を見てその子は「えりかちゃんとお友達になりたい!」とキラキラした笑顔で言ったんだ
初めて言われた言葉に嬉しくなり「わ、わたしも!はるなちゃんと友達になりたい…」
と小さな声で返した。
その日から私とはるなちゃんはお友達になった。
ある日の昼休み
「今日はなわとびしよ!」とはるなちゃんに誘われた。
私は「うん!今行くね」と笑顔で答える。
席を立つと、同じクラスのルナちゃんに声をかけられ「ちょっと聞きたいことあるからこっち来て」と手招きされた。
私はルナちゃんのもとに行き「どうしたの?」と尋ねる
するとルナちゃんはチラチラとはるなちゃんを見ながら私の耳元で「はるなちゃんの事好き?」と聞いてきた。
質問の意図が分からず「え?なんで?」と聞き返す。
すると、その様子を見ていたはるなちゃんは「私に見える所で私の悪口言ってるの?」と怖い顔になった。
「悪口なんて言ってない、そうよね?」とルナちゃんは私を見る
ルナちゃんに対して「じゃあ、なんて言ったのよ!」と怒鳴るはるなちゃん。
ルナちゃんは「そんなに気になるならえりかちゃんに聞けばいいじゃん」 と私に振ってきた。
その時私の中の黒いモワモワが少しだけ広がった。
だから、自然と嘘が口から出たんだ。
「しんでほしいんだって」
シーン… と時間が止まったみたいに静かになった。
でも、次の瞬間「なんでそんなこと言うの!?あんた最低ね!」とはるなちゃんがルナちゃんを叩いたんだ。
ルナちゃんは必死に「そんなこと言ってない!ほんとに言ってない!」と泣きながら訴える。
笑いそうになるのを堪えながら、私はその光景をただじっと見ていた。
黒いモワモワ @cross06
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。黒いモワモワの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます