せっかく魔王を倒したのに裏切られたから魔王を復活させて人間を滅ぼす
るり
第一章
第1話裏切られた勇者
「やっと…!倒した…のか?」
目の前にある魔王の亡骸を見ながら言う。魔王は動かない。
「ああ、…勝ったんだ!!これで、皆平和に暮らせるんだ…!!」
これでもう、魔族の犠牲になる人はいなくなる。
王国へ帰ろう!
「王様、只今戻りました!!」
玉座に腰掛ける王に、魔王を倒したことを報告する。
「おお!よくやった、ラージャよ。そなたに褒美を授ける。スカサハ、ラージャを。」
「仰せのままに。ラージャさん、私がご案内します。」
勇者はこの時、失念していたのだ。
魔王が居なくなった今、人類の、否、この国の次なる脅威となるのは、誰なのかを。
悲劇が起きたのは魔王討伐から数時間後だった。
「くッ…!!何だこれは…!!騙したのか…!?」
「いいえ。騙してはおりませんよ。」
勇者は、あろうことか、守ってきたはずの人間に殺されようとしているのである。
「何故だ!何故、私を…!!」
「この国のことは、貴方もよくご存知でしょう。」
勇者は、失念していたのだ。この国は、れっきとした男尊女卑社会だったのだ。よく考えれば分かることだった。この男尊女卑社会で成り立っているような国で、もし、魔王を倒したのが女性の勇者だと知られたのならどうなるのか。女性は男性よりも劣るという(間違った)考えが覆され、男性の立場が危うくなるというのだろう。
「これも全て国の為なのです。ラージャさん。」
受け入れられる筈がない。
「ああ、…あと、これは、王様からのお慈悲です。」
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