「久しぶり！」

病室に入っていくと、弟はベッドの上でパソコンを眺めていた。

「ん、久しぶり。」

画面から視線をあげた弟が微笑む。

弟は、小さいながらも会社を経営していた。

いわゆる代表取締役社長ということである。

私が父や母と一緒にベッドへ歩み寄ると、弟は色々な話をしてくれた。

ほらね、やっぱり弟は大丈夫。だってこんなに元気なんだもん。

ちょっぴり心配しすぎちゃったな。

帰り際、「また来るね。」と頭を撫でながら言うと、弟は笑顔を見せながら「うん。」と照れくさそうに頷いた。

その表情は、おチビで泣き虫。私の後をついて回っていた幼き頃の弟そのものだった。

また会える。

そう、また会えるんだ。

元気になった弟と、「あの時、あんなことあったね。」そう笑いあえるはずだった。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい