【episode6–予期せぬ知らせ】
「すぐに帰っていらっしゃい。」
叔母から突然かかってきた電話は、弟が病に倒れたという知らせであった。
互いに家庭を持ち、それぞれ一度ずつ離婚をした弟と私は、連絡を取る回数が少なくなっていた。
離婚後、私が海を渡った地域に移住していたこともあり、あまり会う機会がなかったのだ。
運の良い弟のことだ。
きっとすぐに復活するに違いない。
車で崖から転がり落ちた時も、フェンスに激突した時も無事だった。
今回だってきっと…そう思いたい気持ちとは裏腹に、私は職場へ退職届を出していた。
好きで移り住んだ土地。
やりがいのある仕事。
好きになった人。
全て置き去りにして去らなければならない苦しさと弟の身に起きたことを思うと、美しい景色の中、私はしばらくサングラスを外すことができなかった。
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