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 天野風太にとって、双子の姉の香月かつきとは暴君だった。「あたしにそれちょうだい」などと口にするときはまだいい。ヤツはごく普通に風太の私物(※筆記用具など)を使うのだ。見事な風太のものは自分のものジャイアニズムといった具合である。


「…………」


 ――天野風太、8歳。

お気に入りのヒーロータオルを奪われ、姉への反逆を決意した朝のことだった。


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「……風太の様子がおかしい」


 むすっとした様子で近所のおばちゃんに語る香月。

詳しくその内容を聞けば、


1.ここ最近話しかけても無視する

2.ご飯で香月の嫌いなものをたくさん出してくる


ということだった。


「ねぇ、ひどいでしょ!?」と主張する香月を生暖かいものを見る目で見つめ、おばちゃんは騒動の発端を聞いてくる。


「……朝起きたとき、風太のタオルで顔拭いただけだもん」


 服の裾を握り締めながら、香月はぼそぼそと小さな声で口にする。「謝ろう?」と言うおばちゃんに対しても、口を引き結んだままだ。


「あたし、悪くないもん……」


 往生際悪くごねる香月に、おばちゃんが「このままはイヤでしょう?」と宥めて、ようやく静かにうなずいた。


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 その後、謝るときにもちょっとした事件があったのだが――

ふたりは無事仲直り(?)できたのであった。めでたしめでたし。

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