第78話 帝国の復興(3)
今日は、オレ達4人が会場に一番乗りだ。しばらくすると、ライル国王とバロンお父様が来た。
「レイ。今日は早いな。」
エリー達を見ながら答えた。
「はい。昨日の夜はゆっくり寝れましたので。」
エリーは真っ赤な顔をして怒っている。
「いつもゆっくり寝てるでしょ!」
世間話をしていると、世界会議のメンバーが次々とやってきた。そして全揃ったところで、会議が始まった。
最初に旧帝国のマリオさんが自己紹介をして、その後全員がマリオさんに自己紹介をしていく。
「レイさん。この会議はすごいメンバーですね。私なんかが参加していいのでしょうか?」
「マリオさん。あなたは旧帝国の代表だよ。堂々としていていいんだよ。それに、みんな気さくだし、同じ目標に向かう同志だからね。」
「はい。我が国も皆さんの仲間に加えていただけるように、1日も早く改革を行います。」
精霊王アポロさんが声をかける。
「その息だ。この会議は、世界平和の実現のための会議だ。だから、遠慮なく思っていることを言えばいい。皆がそれを真剣に受けとめるからさ。」
「はい。では、私から皆さんに、最初にお詫びを申し上げます。前皇帝がしでかしたこととはいえ、それを止められなかったことを今でも後悔しています。ご迷惑をおかけしました。申し訳ありませんでした。」
ライル国王が応じる。
「我が国は、しかとその謝意を受け取ったぞ。」
「皆さんにお願いがあります。我が国は、軍事力に力を入れていました。そのため、国民の生活が困窮しています。現在では、国民の税金も大幅に下げましたが、なにせ物資が足りておりません。ご援助願えないでしょうか?」
チャーチル教皇が応じる。
「我が国は、レイさんのおかげで食糧事情が順調です。我が国から食糧援助しましょう。」
バロンお父様と話をしていたライル国王も応じる。
「マリオ殿、我が国からも食糧援助しよう。」
竜人族のリザールさんが提案する。
「我が国は面積が狭く、援助できる食糧はないが、ステイル王国やリーゼット聖教国からの援助物資の運搬を任せて欲しい。」
「ありがとうございます。これで国民の生活も救われます。」
ライル国王がマリオさんに問いかける。
「ところで、国の名前をどうするのかな?今までと同じというわけにはいかないだろう。」
「はい。レイさんにちなんで『アポストル共和国』とします。貴族制を廃止して、裁判を担当する組織、政治を行う組織、規則を作る組織の3つに分け、権力の分散を行います。規則を作る組織は、国民の意見を尊重したいので、選挙によって選ばれた人間で構成する組織と、旧貴族の意見も取り入れるように、旧貴族で選ばれた人間で構成する組織の2つを作りたいと考えています。」
古代竜ギドラさんが心配して聞いた。
「貴族が反発しませんか?」
「はい。旧貴族の人達には、当面の間、国から金銭を支払い、貴族としての特権は徐々に廃止していくつもりです。」
「いろいろと考えているようね。問題が起こるようでしたら、我々に相談してくださいね。」
「はい。ありがとうございます。」
ライル国王が提案する。
「マリオ殿。しばらくの間、国の復興と改革をレイ達に手伝ってもらうといい。」
「レイさん。大丈夫ですか?」
「はい。喜んでお手伝いしますよ。実は妻達も、帝国内を見て回りたがっているものですから。」
「よろしくお願いします。」
会議は無事終了した。そして、オレ達はマリオさんと一緒に旧ナイル城に来た。
「マリオさんに、聞きたいことがあるんですがいいですか?」
「はい。」
「貴族の中で、マリオさんと同じ考えの人はいないのですか?」
「以前は、何人もいたんですが、ナイル皇帝とビスマン宰相に粛清されました。今では、50人ほどいる貴族の中で私を含めて4人程しかいません。」
「では、改革を実行する前にその3人をこの場所に集めましょう。仲間になってもらって、みんなで作戦会議を開きましょう。」
「わかりました。」
マリオは、3人に城までくるように使者を出した。
オレ達5人が会議室で話し合っていると、3人がやってきた。オレの姿を見ると3人は跪き、挨拶をしてきた。
「オレは普通の人間ですよ。そんなに畏まらないでください。オレのことはレイと呼んでくださいね。紹介しますね。隣からエリー、ミク、リリーです。3人とも美人ですけど、オレの妻ですからね。」
オレは、緊張を解くようにと半ば冗談めいたことを言ったが、逆にひかれてしまった。
すかさずミクがカバーに入る。
「レイは、変身すると『神の使徒』になるけど普段はただの・・・・」
ミクが言いかけてるとリリーが横槍を入れる。
「ただのエッチ人間。」
そんな妻達のやり取りを見て安心したせいか、一人ずつ自己紹介を始めた。
「私は、そこのマリオ=サンドレスの弟のコーキ=サンドレスです。現在伯爵です。」
「私は、ネオ=スタンダイルです。子爵です。」
「私は、グレゴ=スチュアートです。同じく子爵です。」
「実は、ここにみなさんを呼んだのは、この国のこれからのことを相談しようと思ったんだよね。オレは、そのお手伝いをしているだけ。この国のことは、マリオさんが中心になって、この国の人達で決めたほうがいいと思う。じゃ、マリオさん、バトンタッチね。」
その後、マリオさんから3人に説明した。この国の国名が変わったこと。世界会議に参加したこと。国の政治体制の変更。奴隷制度の廃止。貴族制の廃止についてなど。
3人は、説明を受ける度に驚きの声を上げている。
コーキが発言する。
「問題は貴族制の廃止ですね。奴隷を買い、権力に執着している貴族達もいましたから、彼らがどのように反発してくるかですね。」
「レイさん。何か考えがありますか?」
「いっそのこと貴族を全員集めて、そこで領地の返還及び爵位の剥奪を言い渡しましょう。そこで文句のある人は、議会に参加させなければいい。さらにひどければ、投獄して反省させる。それでもだめなら、鉱山で労役させればいいんじゃないかな。」
「やりすぎではありませんか?」
オレはバビロンを呼び出した。
「お呼びですか?レイさん。」
「またお願いがあるんだけど。」
「何をすればいいですか?」
「素行態度に問題がある貴族をピックアップして欲しいんだよね。」
「承知しました。では、後ほど。」
マリオさんが怯えた顔で聞いてきた。
「レイさん。今の方は誰ですか?」
「ああ、ごめん。紹介しなかったね。彼は、悪魔王バビロンさんだよ。」
「え~。悪魔王ですか?」
「そうさ。オレ達の仲間だよ。世界会議のメンバーもみんな知っているよ。」
今度はネオが発言する。
「問題のある貴族を捕らえるにしても、こちらには兵力がありません。どうしますか?」
「フェアリー連邦国にいるサウスさんやノースさん達、それに元軍人だった人達が2,000人いるから、彼らに協力してもらえばいいよ。」
「え~。サウス殿もノース殿も生きておられるのですか?」
「オレは、簡単に人を殺したりしないよ。それに、彼らは全員改心してフェアリー連邦国の復興に励んでいるよ。」
「そうだったんですね。やっぱりレイさんはすごいですよ。」
オレ達は話し合いを終えて、一旦解散することになった。遠くの領地にいる貴族もいるようで、1週間後に旧ナイル城に貴族を集めることで決まった。
エリー、ミク、リリーに声をかける。
「さあ、時間があるからこの帝国内を見て回ろうか?」
「レイ、見て回るんじゃないにゃ。食べて回るにゃ!」
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