第46話 温泉都市ワサイ

 いよいよ旅立ちの日だ。オレ達4人は、チャーチルさんのいる古い教会へと出向いた。



「いよいよ出発されるんですね。皆さん、本当にありがとうございました。」


「これからこの国もよくなりますね。頑張ってください。」


「子ども達ともお別れか?なんか寂しいな。頑張ってね。」

 

「みんな、頑張る。」



 細い腕で、力こぶを作る仕草をするリリー。



「チャーチルさん、最後にオレからプレゼントです。」



 チャーチルさんと子ども達は全員外にいる。オレは、両手を上に挙げて魔法を発動する。



「クリエイト」



 古びた教会が、みるみるうちに新しい立派な教会へと変化した。



「すご~い。すご~い。お兄ちゃん神様みたい!」



 子どもたちは大喜びだ。



「やっぱり規格外。」



 さらに、オレは皆と相談して、チャーチルさんに白金貨10枚を渡した。



「すくないですが、この国の子ども達のために使ってください。」


「こんなにたくさん。いいんですか?ありがとうございます。このお金は、子ども達の明るい未来を創るために、利用させていただきます。」



 オレ達4人は馬車に乗って出発した。


 オレ達は国境のクチマ川を渡ったところにいる。これからのことを4人で相談中だ。



「リーゼット聖教国に行って、1年近くかかると思ったけど、だいぶ早かったにゃ。」


「そうだな。なら、少し寄り道していく?ここの分岐を西に進むと公爵領になるんだ。公爵領には温泉の街があるから、遠くなるけど西回りで帰ろうか?」


「うん。いくいく。温泉行きた~い。」とエリーが珍しくはしゃいでいた。


「レイ君、エッチ。」と絶壁の胸を隠すしぐさのリリー。なんか可愛い。



 結局相談の結果、公爵領にある温泉都市ワサイに立ち寄ることになった。



「ところで、ワサイって公爵領でしょ?なら、レイ君は行ったことあるの?」


「ないよ。ローザお姉様と、リディアお母様からは、いいところだとは聞いていたけどね。

なんか、肌がつるつるになるんだってさ。」


「そうなんだ。レイ君、急ごうよ。早く行きた~い。温泉入りた~い。」


「私は美味しい食べ物があればいいにゃ。」


「私、もともと子ども肌だし。」


「ほんとだ、リリーのほっぺはぷにぷにだ。」



 オレは、ふざけてリリーのほっぺをぷにぷにした。リリーは赤くなりながら、何故かもじもじしていた。


 4人は、温泉都市ワサイに向った。5日ほどして、森を抜けると、卵の腐った独特の匂いが漂い始めた。そう、目の前にワサイの街があった。


 女性達がどうしても温泉に入りたいということだったので、今回は異空間の家でなく、温泉付きの宿を取った。全員で一緒に寝れるようにと、大部屋にした。そして、皆で温泉に入りに行った。男湯と女湯で分かれていて、のんびりと温泉につかっていると、女湯の方から声が聞こえてくる。



「大きな胸、うらやましいわ。ミク。」


「エリーだって、そこそこあるにゃ。」


「私は、絶賛成長中。」


「レイ君ってさ、大きな胸が好きだよね。いつもミクの胸を見ているよ。」


「そうかにゃ~。気付かなかったにゃ。それより、レイ君は、リリーがお気に入りなんじゃないかにゃ?だって、リリーのこと抱きしめているにゃ。」


「違う。レイ君は、やっぱり胸が好き。エリーやミクと腕組むとき、いつも赤くなる。たまに、ボーとエリーのことを見てる。」



 なんか、気まずさを感じてしまった。そんな風に皆は思っていたんだ。オレは、3人等しく大好きなのに。誰が1番なんて考えたこともない。これは、はっきりと皆に伝えるべきだな。



「でも、レイって奥手なのかもしれないにゃ。それとも、臆病なのかにゃ?」


「どうして?」


「だって、私たちみんな婚約しているのに、皆で一緒にベッドで寝ていても、何もしてこないにゃ。」


「レイ君、むっつりエッチ。」


「今度、レイに聞いてるにゃ?」


「私は嫌よ。」


「私も無理。」


「でも、いつまでたっても、このままじゃ変わらないにゃ。」


「ん~。ん~。」と考え込む3人。



“そうかぁ、そんな風に思っているんだ~。”



オレは、しみじみと考えた。オレは、お風呂を出ると、3人が返ってくるのを待っていた。そこに、ワイワイと3人が仲良く帰ってきた。オレは、正面に3人を座らせて、自分の気持ちを正直に伝えることにした。



「ごめん。お風呂で、皆が話しているのを聞いちゃった。考えてみたら、オレは、皆に甘えていて、オレの気持ちを伝えていなかったよね。だから、オレの気持ちを正直に伝えるね。」


「え~、聞いちゃったんだ~。」


「レイ君やっぱり、エッチ。」


「そうだよ。オレはエッチさ。エリーやミクやリリーとあんなことしたいとか、こんなことしたいとか、考えることあるよ。でもね、オレは3人のことを本気で愛しているんだ。だから、結婚するまでは我慢しているんだ。大きい胸も好きだよ。でもね、リリーの小さい胸も大好きだよ。だって、リリーだもん。」


「レイ、ありがとうにゃ。でも、私達もう婚約しているし、我慢しなくていいにゃ。触りたいときにどんどん触っていいにゃ。」

 


 ミクは服の上からでもわかる、大きな胸を前に出す。



「私もいつでも心の準備できているよ。」



 真っ赤な顔のエリー。



「レイ君エッチだけど。私はもっとエッチ。」



 リリーはウインクする。



「ありがとう。エリー、ミク、リリー。皆を幸せにするよ。」



 オレは3人それぞれの口にキスをした。



「口にキスされたの初めてだね。」とエリーは嬉しそうだ。


「なんか、私、ドキドキしたにゃ。」と目を丸くしたミク。


「もっと、もっとして。」と可愛く甘えるリリー。



 オレはなんて幸せなんだろうとしみじみ思った。

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