第44話 リーゼット聖教国で悪人退治

 ミクとリリーから終了の報告が来た。オレとエリーは現在、大聖堂内に『隠密』を発動させ、潜入中だ。



「これからどうするの?」


「先に捕まっている聖女さんを助けようと思う。」


「確か地下よね。入口を探さなくちゃ。」


「『サーチ』で調べたから、聖女さんの場所はわかっているんだよ。」


「なんか、あの石像の後ろ怪しくない。」


「確かにね。5大神以外の石像があること自体不自然だよね。」



 2人は、誰を模ったかもわからない石像の後ろに行った。



「ビンゴ!さすがにエリーだね。」


「女の感よ。」とニコニコしている。



 2人は、石像の後ろに隠されていた扉を開け、地下へ降りる。暗かったので、『ライト』を発動し、足元を照らしながら降りる。階段を降りると、薄暗いが明かりが所々についている。奥に進むと、個室の牢屋がいくつもあった。どの牢屋も空だったが、一番奥の牢屋に人の気配がある。



「聖女さんはあそこね。」


「急ごう。」



 2人は、牢屋の前に来て隠密を解除した。急に目の前に男女2人が現れたことに、聖女メテルは驚いた。



「きゃ、だれ?」


「聖女様ですよね。」


「安心してください。オレ達はあなたを助けに来ました。」


「やっぱり来たんですね。あなたは『神の使徒』様でしょ?」


「やっぱり、知っていたんだね。オレはレイ、こっちはエリーだ。」

 

「最高神ソフィア様が『私の使い』が行くから大丈夫よ、って教えてくれましたから。私は、メテルです。お願いします。」



 聖女メテルを牢から助け出した後、3人は来た道を戻った。すると、そこには、司祭のカンダスと聖騎士が、30人ほどで待ち構えていた。



「おまえたち2人が、侵入してきたことは知っていたさ。姿かたちが見えなくても、魔力でわかるからな。わしの持っているこの水晶玉は、魔力に反応するのさ。」



 カンダスが、薄ら笑いを浮かべている。


 オレは聖騎士達に言った。



「聖騎士達よ。お前たちは誰のための騎士だ。司教かそれとも神か?お前たちが守るべきものは何だ。お前達は、崇高な精神をもって神の剣となり、神の意思に従い、民衆を悪人どもから守るべきではないのか?」



 聖騎士達は、オレの言葉を聞いて動揺している。



「うるさい。聖騎士達よ。こいつらは、大聖堂に不法に侵入した極悪人だ。司教の名において命じる。こいつらを、殺せ。」



 聖騎士達は、誰一人動かない。迷っているようだ。それを見た、聖女メテルが言った。



「聖騎士の皆さん、騙されないで。カンダスは悪人よ。あなた方も、気付いているんでしょ。私は幽閉されていたのよ。それを、『神の使徒』様達が助けに来てくれたの。」


「『神の使徒』だと?ワッハッハ。聖女メテルよ。馬鹿なことを。やはりまともではないな。頭がおかしくなったお前を、幽閉して正解だったわ。聖騎士よ。何をしておる。早く殺してしまえ。」



 オレは、我慢の限界だった。仕方がないと思い、『神気』を開放した。するとオレは神々しい光に包まれた。それを見た聖騎士達は、全員がオレに跪いた。オレは、聖騎士達に向けて言い放った。



「神の名において命じる。極悪人のカンダスを捕えよ。」


「はっ、は―――。」



 すぐさま聖騎士達は立ち上がり、カンダスを捕えて、縄で縛った。オレは、聖女メテルに告げた。



「お昼ごろに、司教を全員この場所に集めてくれ。」


「わかりました。レイ様。」



 さらに聖騎士達に言った。



「バッドン商会に行ってくれ。悪人を捕まえてある。それと、闇組織スパイダーのアジトにも行ってくれ。そこにも悪人を捕えている。全員牢屋に入れてくれ。」


「はっ。畏まりました。使徒様。」



 しばらくすると、ミクとリリーが一緒にやってきた。



「ミク。リリー。お疲れ様。一人で大変だっただろ?」


「余裕にゃ。こっちも無事終わったみたいにゃ。動いてお腹空いちゃったにゃ。なんか食べたいにゃ。」


「私も余裕。レイ君はエリーと一緒だった。エッチ。」



 4人は大聖堂を後にして、オレの異空間の家に帰り、食事して、お風呂に入って、朝までぐっすりと寝た。


 起床した4人は、朝食後、チャーチルさんの教会に行った。そこで、昨夜あったことをすべて話した。チャーチルさんは、目を大きく開いて驚いていた。その後、予定どおりチャーチルさんには、教皇になってもらうため、子ども達と一緒に大聖堂に来てもらった。


 大聖堂に行くと、聖騎士100名が50名ずつに分かれて、入り口の両側に整列していた。大聖堂の中にはいると、すでに、司教達だけでなく司祭達も揃っていた。

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