第2話 転生

 現在オレは神界にいる。母である女神ソフィアにより、すべての封印が解かれた今、オレはすべてを思い出した。



「私の愛しい子。ガイアよ。あなたは、お父様のように、創造神となり、新たな世界を作り出さなければなりません。」



“オレにできるのかなぁ?”



「そのため、長い長い修行の旅に出ていたのよ。新たな世界を創造するには、様々な世界を体験し、様々なことを学ぶことが必要なのよ。」


 

“さすがだ。オレの心の中が分かってるよ。”



「すべて思い出しました。人種による差別や奴隷制度がある世界、戦争で人々が殺しあう世界、人々が助け合って平和に暮らしている世界。いろんな世界がありました。どの世界も貴重な体験です。ありがとうございます。母上。」


「あなたの修行も終わったのよ。記憶も能力もすべて封印していたから、辛かったでしょ。最後は、私の管理する世界で自由に生きて欲しいの。ご褒美よ。」


「ありがとうございます。そこは、どんな世界ですか。」


「ユーピアというの。まだ、新しい世界で、世界中が混乱しているわ。魔法があってね、魔物もいるのよ。」


「その世界には、どんな種族がいるのですか?」


「そうね。人族、エルフ族、ドワーフ族、魔族、獣人族、竜人族、妖精、様々な知的生命体がいるわね。」


「楽しそうですね。」


「でも、文明がなかなか発展しなくてね。魔法に頼っている世界なの。それに、種族の中には差別したり、争いごとを起こしたりする者たちもいるの。」

 

「魂が未熟な世界なのですね。」

 

「そうね。様々な体験をすることで、魂の成長を期待しているのよね。でも、自分の子どものような者たちが、お互いに争ったり、喧嘩しているのを見るのは辛いわね。」

 

「わかりました。母上に、少しでも喜んでいただけるように努力してみます。」

 

「頼もしいわね。5歳までは記憶と能力を封印しておくわね。今回は、あなたの思った通り生きてみなさい。」




 ☆☆☆ 転生して5年 ☆☆☆

 

 

「レイ!早くしなさい。お父様がすでに馬車でお待ちですよ。」


「遅くなってごめんなさい。お父様、お母様。」


「今日は、教会に行ってあなたの5歳の誕生日を報告する日なんだから、しっかりしなさい。」

 

「お兄様もお姉さまも、5歳の時に教会に行ったのですか?」

 

「そうだぞ。無事に5歳を迎えられたことを、神様にお礼を言いにいくんだ。レイもしっかりとお礼を言うんだぞ。」


「はい、わかりました。お父様。」



 走る馬車の中から、街並みを見ていた。さすがは王都ミライアである。様々なお店が軒に並び、様々な種族の人々が町を歩いていた。また、髪の色も、自分と同じ金髪が多いが、中には水色の人、緑色の人、茶色の人がいる。しばらくすると、鐘のある大きな建物と立派なお城が見えてきた。


  

「お母様、あの大きな鐘のある建物が教会ですか?」


「そうよ。すごいでしょ。中はもっとすごいのよ。」


「あの建物の向こうにあるのがお城ですか?」


「そうだぞ。大きくて立派だろ。あそこには、この国の王族が住んでいるんだ。私もあの城で仕事をしているんだ。レイも2か月後に城に行くからな。」 


「めんどうだな。お披露目会なんて。」


「何言っているんだ。貴族の子どもたちは、5歳になると皆参加するんだから、レイも行くに決まっているだろう。まさか公爵家の子どもが、参加しないわけにはいかないだろう。」


   

 そう、父はこのステイル王国の国王ライル=フォン=ステイルの弟で、バロン=リストン。いつもはお城で働いている。王の側近として、この国の宰相を務めているのだ。母は、リディア=リストン。王派閥のケント=アンドル伯爵の妹である。そして、僕は公爵家次男でレイチェル=リストン。あと、ここにはいないが、他に5歳上の兄と3歳上の姉がいる。兄はアルト=リストン。金髪、翠眼のイケメンだ。現在、王立マーシャル学園に通っている。初等部の5年生だ。姉はローザ=リストン。姉も、金髪、翠眼の美少女だ。姉も王立マーシャル学園に通い、現在、初等部の2年生だ。特に姉は、極度のブラコンなので僕は困っている。今日遅くなったのも、姉の着せ替え人形になっていたからだ。


 王立マーシャル学園は6歳で入学し、初等部で5年間、その後中等部で5年間通い、成人を迎える16歳で卒業となる。学園に通う生徒は、様々な種族、様々な身分の子ども達がいる。

 


“僕も早く学園に通いたいなぁ。”



 教会の前で馬車が止まった。 

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