第23.5話 ロンバルとデルフィー

「まったく、ガンゼールのやつ……!」

「あんな奴に、医者をやらせてる方が間違ってるのさ」

「ああ……そうだな。それは俺も、そう思ってる」


「すまん、ロンバルさん。あんたの息子のこと、思い出させちまったか」

「……思い出さない日はないよ、デルフィー」

「そうだよな」

「あんなやつでも、あれから随分真面目になったって噂だが」


「確かに、親のいない子供達の診察なんかを積極的にやってはいるな」

「その子らに、タクトの悪口吹き込んでるんだろうな」

「会ったこともない子供の悪口なんて、何を考えてんだか……」

「ああ……多分ミトカだけじゃなく、他の子も影響されてるはずだ」


「子供に嘘を吹き込んでまで、奴がタクトをどうにかしたいとは思えんが……」

「……他にも……子供達に何をしているか、解ったもんじゃない」

「適当に自分に都合の良いことを言ってそうだな、あいつなら」

「なんにしても、放っておくのはまずいだろう。子供達の将来にも影響する」


「子供達……?」

「タクトだけじゃない。あんな奴に関わってる、子供達全員だよ」

「ロンバルさん、あんた……なんかする気じゃないよな?」

「安心しろ、デルフィー。復讐なんて真似はしないさ」

「そ、そうだよな。すまん、あんたの顔がいつになく……いや、なんでも……」


「あいつは……医者をやってちゃ、いけないやつなんだ。それだけは確かだよ」

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