音楽ロック🔒
妖怪
一曲目:いたたまれない
「ありがとう神楽さん!」
あぁ‥‥‥‥クラスメイトの朝比奈さんだ。
「助かったよぉ‥‥‥手伝ってくれなかったら私死んでたぁ!」
「ううん、暇だったしちょうどよかったんだ。」
(まぁ、そうでもないけどね‥‥)
私の名前は神楽琴音(かぐらことね)。1年2組。普通の女子高校生である。
「神楽さん暇だったらまた手伝ってくれない?」
彼女はクラスメイトの朝比奈美雪(あさひなみゆき)。クラスいちの美人で、モテてるんだとさ。私には普通の子にしか見えないんだけど‥‥‥
「いいよ。」
私はすんなり答えた。別に手伝っても手伝わなくてもいいんだけどね。
「じゃあまた明日!」
朝比奈さんは笑い、手を振りながら帰っていった。私と朝比奈さんは仲がいいほうだと思う。始業式から話したり、お弁当一緒に食べたり、よく話した。
「まぁ‥‥‥どうでもいいんだけどさ‥‥」
私は小声でつぶやいた。
「ねぇ、神楽さんってさぁ‥‥‥‥」
「!!」
私の名前がかすかに聞こえ、振り返った。そこには見覚えのあるリボンが見えた。
「いい子ぶってるよね〜ww」
その見覚えのあるリボンは、3組の城ヶ崎さんからだった。城ヶ崎さん___‥‥城ヶ崎弥生(じょうがさきやよい)さんは、お金持ちのお父さんをもっていて、きつい言葉使いや意地悪ばかりしてくる。私の嫌いなタイプだ。だからついつい嫌な態度をとってしまう。
「そ‥‥そうかな?」
「絶対そうよ!いい子ぶってるんでしょ!」
「‥‥‥うーん」
城ヶ崎さんと一緒にいるのは、3組のビクビクした女の子3人だ。私はその子達が怯える理由を知っている。まず、城ヶ崎さんとこんなに素直な子たちが仲がいいわけがない。
城ヶ崎さんはおどしてるんだ。
もともとメンタルの弱い子達をターゲットにおどして仲間に入れているんだ。
その光景を私は見たことがある。助けに行こうとしたが、朝比奈さんが引き止めた。
「神楽さんも意地悪されるようになっちゃうよ‥‥」
彼女は意外と仲間思いだ。いつもは奴隷みたいに使うけど、意外といい人なのかもしれないと私は思った。
「今度おどしてみようかしらww」
「それはやめたほうが___‥‥」
「私に逆らうっていうの!?」
女の子はびくっと跳ね上がり、涙目で「ううん。城ヶ崎さんの言うとおりだよ。」と言った。
(見てられない‥‥)
城ヶ崎さんはニヤッと口元を釣り上げ、「そうよねぇ。」とクスクス笑いながら口にその言葉を出した。
‥‥___ダッ___‥‥!!!
私は全速力で走り出した。このまま見ていると、悪口を言いそうになるから。私は城ヶ崎さんの言う通りいい子ぶってる。でも、そうしないとやっていけない。一人になる。仲間はずれにされる。いじめられる。そんな怖い思いがどんどん積み重なると作り笑いしてしまうのだ。
「‥‥何‥‥してるの?」
「!?」
いきなり腕を掴み取られ、急ブレーキをかけた。
「なんかあった?」
私が見た人は__‥‥
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