四戒 北へ
ジュウウウウウウウ
4人は焼肉を食べていた。
「あー、ここの肉うまい!」
「たしかに、ここに来て初めてこんなに美味いもん食った。」
「そうだろ!ここの焼肉屋が美味いから、俺は向かいのビルに事務所を構えたんだ。」
「前にもそんなこと言ってたなかっちゃん。」
先程の戦闘とは打って変わり、4人は楽しげな会食をしていた。
「はいよ、カルビ16にタン塩20、ハラミにホルモン15、米大盛り8つと卵のスープおまち。」
「おやじ、ビール2杯持ってきてくれ。お前らはジュースでも頼むか?」
「あー、コーラがいい。」
「俺は水でいい。」
「はいよ。」
店のおやじがメモ帳を見ながら厨房に戻っていく。
「あー、ところでさ。」
虎閃が一旦箸を止めてかっちゃんに話しかけた。
「あー、かっちゃんって、なんでかっちゃんって言うんだ?あだ名だろ?」
かっちゃんの箸も止まり、虎閃の方をじっと見た。
「そうだな……、今は教えらんねぇな。」
「あー、なんだよ、勿体ぶるなよ。」
「やめときな。聞いてビックリするから。」
蒼猪がモゴモゴしながら話に入ってくる。
「ま、そういう事だ。ちゃっちゃと喰え。」
一通り食事を終え、4人は店の外に出た。
「俺の貯金が…。」
「ありがとかっちゃん♡」
かっちゃんは財布の中身に別れを告げ、3人の次の目的についての提案をした。
「ここからずっと北にある北海道って場所に空港がある。そこからなら西に行けるぜ。」
「さっきまで俺らの事殺すって言ってたのに何故だ。どういう風の吹き回しだ?」
「理由は特にねぇよ。ただ、お前ら、特に光狼は殺す訳にはいかねぇと思ってな。」
「あー、俺はどうなんだよ。」
「うるせぇ、ガタガタ言ってるとブチ殺すぞ。」
現在、虎閃達がいる場所は赤丸の神奈川。そこからずっと北にある北海道の空港から西にある政府庁に向かう。
「世話になったなかっちゃん。」
「とっとと行って死んでこい。」
「口の悪いこって。」
3人はかっちゃんに別れを告げて北海道へ向かった。
「リオン様、虎閃と光狼が蒼猪と接触した様です。」
「そうか。おそらく次の目的地は北海道だな。牛丸に連絡しろ。今すぐ北海道に行かせ、虎閃と光狼をここまで案内させろ。」
「はい。」
1週間後
「あー、寒いなここ。」
「そりゃ北国だからな。寒いだろ。」
「車の暖房の温度上げる?」
3人は、目的の北海道に着いた。道中では特に大きな問題は起きなかった。しかし妙な噂を聞いていた。
「北海道にいるらしいぜ、戒盾が。」
「何しに来たんだろうな。」
「どうせあたしを消しに来たんだろ。嫌になっちゃうねホント。」
「あー!!蒼猪さん前!」
携帯をいじりながら運転していた蒼猪は、前を歩いていた老人を轢いてしまった。蒼猪の顔は真っ青になり、慌てて車を降り老人に駆け寄った。
「あああ、じいさん大丈夫?」
「もー、全くじゃ。」
轢かれた老人は蒼猪の手助けを借りず、自力で起き上がる。短い手足に寸胴体型。鼻にはリングを付けていた。
「あんた牛丸か。」
「久しぶりじゃな、光狼に虎閃。そして蒼猪。」
ほう、こいつはまた珍しい。
なぁ、見てるんだろ、外のやつ。
教えてくれよ、ここはそちらにとってどんな場所なんだ?
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