第122話 寝ているあなたに……
「ふふっ、お姉ちゃんかわいいっ」
耳元で、アリスちゃんの甘い声が聞こえる。
「起きないなら、もっとしちゃうからね……」
そう言われても、私は身動きすることもできずに、
アリスちゃんに、されるがままだった……
バイトの休憩時間。なんだか妙に疲れていた私は、居眠りをしてしまった。
朝からシフトに入っていて、混雑してるっていうのもあるのかも。
休憩に入ったのは私一人で、静かだし……まかないを食べ終えた私は、ウトウトして……
「お疲れ様でーす」
私の微睡を破ったのは、アリスちゃんの声だった。
「今日はいつもより忙しい感じだね。ね、お姉ちゃん」
そうだね、と答えようとした私だけど、
「あれ、お姉ちゃん? 寝てるの?」
うつむいている私を見て、アリスちゃんが言った。
そこで、ちょっとしたいたずら心が芽生えてしまった。
私が寝たふりしてたら、アリスちゃんはどうするんだろう……
……?
なんだか、視線を感じるような?
アリスちゃんの息遣いが聞こえるから、結構近くにいるっぽい。……あ、今吐息があたった。
ちゅ
頬に、やわらかな温もりが。
「お姉ちゃん……ん、好きだよ……ちゅ、大好き……」
キス、されてる。色々なところに。
頬、おでこ、首筋、耳たぶ……
目を閉じているからか、いつもよりも敏感になっているみたい。身体がピリピリしてきた……
「えいっ」
「!?」
あ、危ない。声を出しそうになっちゃった。
私、スカート捲られてるっぽい。恥ずかしいけど……このくらい、今さら驚くようなことじゃないかもだし。
「…………っ!」
反射的に体が震えてしまう。
下着の上から、敏感なところをそっと撫でられる。そのたびに、私の体はピリピリ震えた。
なんだか、幸せな感じ。もっともっとって、思っちゃう。
「そっか。お姉ちゃん、本当に寝ちゃってるんだね……」
ポツリ、とつぶやくアリスちゃん。手が、私から離れる。
な、なんだろう? 私、今度はなにされちゃうの……?
ふぅっ
「ひぁあんっ!?」
耳に息を吹きかけられ、反射的に声まで上げちゃった。
しまった、と思ったときにはもう遅い。いたずらっぽい目をしたアリスちゃんと目が合う。
「おはよう、お姉ちゃん」
「う、うん……」
「ていうか、起きてたでしょ」
うっ、と言葉に詰まってしまう。バレてたんだ……
「どうして寝たふりしてたの? もしかしてぇ、期待してた? 私に、こういうことされるの」
言いながら、アリスちゃんは私に自分の胸を押し付けながら、スカートの中に手を滑りこませてきた。
カァ、と顔が熱くなるのが分かる。羞恥と、期待から。
「してました……」
出たのは、本当にちいさな声だった。それでも、アリスちゃんにはちゃんと聞こえたらしい。
大きなサファイアの瞳に、イタズラっぽい光が宿る。それに意地悪な感じも。
アリスちゃんの手が、今度は私の胸のふくらみに触れる。
「恋人の期待には、ちゃんと応えなきゃね」
やさしくて、甘い声。
彼女の温もりに、私はそっと身を浸したのだった……
別の日の休憩時間。
休憩室に入ると、さきに休憩に入ったアリスちゃんがいた。
「お疲れ様~。なんだか今日も忙しいね」
隣に腰かけながら話しかけるけど……アリスちゃんからの返答はない。
「アリスちゃん? どうかしたの?」
やっぱりアリスちゃんからの返答はない。
よく見ると、アリスちゃんの顔はうつむき加減になっていた。
ひょっとして……寝てるのかな? それなら……
また、私にいたずら心が芽生えた。前回はするつもりでされちゃったから、今度こそ!
「あ、アリスちゃ~ん? 寝てるの~……?」
小声で話しかける。反応なし。……うん、寝てる……よね?
うぅん、アリスちゃんのことだ。きっと寝たふりをしているに違いない。
私がいたずらしたらふりを止めて、仕返しをしてくるに決まってる。
でもそれは、裏を返せば、アリスちゃんも私に触ってほしいって思ってくれてるってことで。
ドキドキしながら、私はアリスちゃんの頬にキスをした。けれど……
アリスちゃんに反応はなかった。あ、あれ……?
まだ寝たふりをするのか。それなら……
私はアリスちゃんにされたように、色々な場所にキスをしてみる。でも……
ま、まだ寝たふりを止めない。アリスちゃんてば、強情だなあ。
躊躇いつつ、私はアリスちゃんの胸に触れる。……やっぱり、大きい。それに形もキレイだ。私のと比べて……いやいや、それは関係ないっ!
ここまでやっても止めないなんて! ど、どうしよう……これ以上は、でもでも……
いやっ!
気を持ち直す。やらなきゃ! ここまできたんだから! ここで止めたら、不完全燃焼だよ。
私はゆっくりと、アリスちゃんのスカートの中に手を滑りこませて……
「うぅ、ん……っ。お姉ちゃん……? なにしてるの……?」
目を開いたアリスちゃんは、何度かパチパチと瞬きをして、それから、
「や~ん、お姉ちゃんに襲われちゃったぁ~」
わざとらしく身を守るような仕草をした。
「お、襲ってたってわけじゃ……!」
「じゃあ、なにしてたの?」
アリスちゃんの目には、イタズラっぽい笑みが浮かんでいる。
「その……ちょっと、イタズラ的な?」
「えへへっ、お姉ちゃんのエッチ~」
「こ、この間の仕返し! アリスちゃんにいろいろされたからその分だよ!」
恥ずかしさから謎の言い訳をしてしまう。
ていうかアリスちゃん、本当に寝てたっぽい。私、一人で盛り上がっちゃって、なんだかバカみたいじゃん……
ちゅっ
私の考えを中断させたのは、やわらかい温もり。それに甘い……
「イタズラ、しないなら私がしちゃうよ」
笑うアリスちゃんは、いたずらっぽい。
つられて、きっと私の顔もいたずらっぽくなっている。
「だめ。今は私の番なんだから……」
「じゃあ、さっきの続き、してくれる?」
フッと笑うアリスちゃんは、天使みたいにきれいで、思わず見入ってしまう。
「いっぱい、イタズラするからね」
私たちはなにかに引き寄せられるように、
もう一度唇を重ねたのだった――
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