【外れ】の特殊能力を得たことより、ヤンデレ義妹のほうが問題なのだが!?
土岡太郎
プロローグ的なモノ
異世界【ハル】
自然もそこに住む人間も我々の住む世界とは、あまり差異のない世界。
世界にはいくつもの国と街が存在し、街には車が走り、空には飛行機が飛ぶ。
人間同士で小競り合いはしていたが、基本的にはこの世界の人類は、平和に暮らしていた。
だが、100年前に突如世界中に出現した次元の歪みから、現れた異形の化物によって世界と人類の平穏は崩されることになる。
※その異形の化け物は、アグレッサー(侵略者(aggressor))と呼称される。
アグレッサーは無差別に人間や街を襲い破壊し始め、人類の生活圏は徐々に縮小していく。
「来やがったな! この✕✕✕野郎どもが!! 今すぐテメーらのその汚え○△@に、嫌ってほど、鉛玉ブチ込んでやる!!」
「駄目です、軍曹殿! 武器が通じません!!」
「なにっ!? この糞ったれ野郎がーー!! アッー!」
その理由は、アグレッサーには物理攻撃があまり有効ではなく、銃やミサイルなどの近代兵器が通用せず、戦車や戦闘機は次々と鉄屑と化す。
人類の勢力圏が世界の3分の1まで追い込まれる頃になると、人間達には諦めの色が出てきて、そうなると頼るのは神様である。
人々は来る日も来る日も神に祈り続けた。
そして、その祈りが神に届いたのか、人類に奇跡が齎される。
この世界の唯一神である【ジートロス】を信仰する教会に、神より当時の総大司教に信託が降りる。
その内容は―
<これより、汝らに【啓示】を授け、【天啓(ギフト)】を与える。これを用いて汝らの敵を退けよ―>
啓示は教会に設置された【天啓の間】で授かることが出来き、まずは教会関係者が【啓示】を受けた。
すると、神により【天啓(ギフト)】と呼ばれる特殊能力を与えられ、それに伴い【人為的魔力(オド)】と【超自然的魔力(マナ)】を操る能力も与えられる事になる。
そして、次の信託にはその【オド】と【マナ】を有効活用できる武器の作り方が授けられ、その武器と特殊能力を得た神職者達によって、アグレッサーの侵攻を初めて撃退することに成功する。
この成果を受けた各国は、早速兵士や市民に【啓示】を受けさせ、神より授かった武器を手に、アグレッサーに反攻作戦が行われる。
「待たせたな! この✕✕✕野郎どもが!! テメーらのその汚え○△@に、このオド兵器を叩き込むために返ってきたぞ! お前ら! 奴らに人類の力を見せてやれー!!」
「あのー、軍曹さん。私達女性もいるので、そういう下品な煽り止めてもらえませんか? セクハラで訴えますよ?」
「あっ はい… すみません…。」
50年前に、人類は国の垣根を越え一丸となり、大反抗作戦を行い多大な犠牲を出しながらも、その生存圏を3分の2まで取り返す事に成功する。
その後、人類はアグレッサーを次元の歪みまで追い詰めて、殲滅しようと何度か大規模な殲滅作戦を行うが、次元の歪みに近づくほど強力なアグレッサーが増え、それに比例して犠牲者が増えるため、この戦局を打破できる技術なり人物なりが出てくるまで、3分の2を維持する方針に切り替える。
こうして、人類は少なくとも都市部では比較的平和を享受することが出来るようになった。
人類が生存圏を3分の1まで減らされても、反撃できるほどの国力を維持でき、盛り返せた事には理由がある。
それは、皮肉なことではあるがアグレッサー達のお陰で、アグレッサーは倒されると肉体は光の粒子となって消えるが跡に大小のコアを残す。
コアは信託によって、教会にのみ与えられた技術によって、それを触媒として他の物質と組み合わせる事で色々なモノを精製でき、まるで【賢者の石】のようなものであった。
更にコアから作り出された肥料や飼料は、植物や家畜の成長を著しく早めることができ、そのため生産量を上げることが出来きる。
(※人間には効果なし)
さらにさらに、エネルギー源としても優秀で、コアを使った小型の発電所一基で、街一つを余裕で賄え、街全体で夏場にエアコンと電子レンジを使いまくっても、節電しなくてもいいぐらいである。
このおかげで、人類は何とか鉄や油、食料などの物資を維持し続けることができ、人口と国力、文化や科学技術を維持することができ、その後発展させる事まで可能だったのである。
そうなると、必然的にアグレッサーのコアの需要はあがり、啓示によって得た特殊能力を使って、アグレッサーを倒してコアを手に入れる職業が生まれることになる。
それが、教会直属の【アグレッサー討伐組織ユビキタス】であり、戦う者を【討伐者】と呼ぶことになる。
【ユビキタス】と【討伐者】の目的は、前述のコア集めはあくまで副任務であり、主な目的は街周辺に突然現れる小さな次元の歪みから、出現するアグレッサーを倒す事と防衛ラインを維持すること、5年に一度防衛線に攻めてくる大侵攻群を防ぐ事である。
【討伐者】は命懸けという事とコアを入手できることから、必然的に優秀な者は高給取りとなり、更に市民の命を守るという名誉も与えられるため、命知らずと愛国心と功名心のある者達の間では人気のある職業である。
※とはいえ、命を落とす危険な職業なため、プロパガンダあり、数年努めた者には恩賞と年金アップの恩恵ありとその他優遇を与えて、人員を確保して戦力維持をしている側面もある。
だが、当然皆が活躍できるわけではない。
神様は不公平であり、12歳の時に教会での【啓示】で得られる【天啓(ギフト)】は、それぞれ違い、戦闘向きから技術者向き、事務向きと別れ、更にそこから有能な能力に別れ、人々はここで得た【天啓(ギフト)】によって、将来の進路を選択する(決まる)事になる。
ここまで読んだ方ならもう察していると思われるが、主人公は俗にいう【外れ】の【天啓(ギフト)】を得てしまった者である。
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