第六章 兄妹殺愛編
第38話 正月休み
とある部屋。そこには誰かが怪しげな笑みを溢しながら何かをしていた。緑色の液体、それ以外にも怪しげな色をしている鉱石。そして、ガラス管に入っている虹色の液体。
「くひひ」
ニヤニヤしながら何かを作っている女性。部屋の中は資料が散らばっている。広い部屋であるはずなのに、散らかっているために狭い圧迫感のある部屋のように見える。
液体と液体を混ぜて、ガラス棒でそれをかき混ぜる。すると異様な発光が発現したのを見て、益々にやけ顔。
「や、やったぞ! 僕はついにやり遂げたのだ!!」
彼女はエクター。四等級騎士である、円卓の騎士内で珍しい治癒の魔術が使えるのが彼女である。フェイを以前に治癒をしたこともあり、フェイが頼りにしている、そして、空気のように何度も怪我をしている為に常連になってしまっているのが彼女の医務室である。
フェイからすると彼女のもとを訪ねる時は怪我をした時、努力系である彼からすると彼女は無くてはならない存在である。彼女はその特異な能力故に中々休みが貰えない。
だが、そんな彼女でも新年を迎える前後には微かな休みがある、その時間を使って彼女はある研究をしていた。医者である前に研究者でもある彼女は年齢による加齢をどうにかしたく、それを一時的に遅らせるための道具を生産している。
「こ、これは、若さを保つ薬だあぁぁ!!! ふふ、折角だから同期とかに自慢をしてこよう!!」
彼女はガラス管の中に入っている薬を持ちだして、外に出る。嬉しそうに子供のように。だが、彼女はこの休みの期間の間、ずっと研究をしていた。そのせいで過労がかなり溜まってしまっており、足がかなりおぼつかない。
外に出て、冬の寒さに耐えながら知り合いを探す。すると、銀色の綺麗な髪をしている小さめの幼女のような女性を発見。彼女の隣にはメイド姿の女性と黒髪の男性の後ろ姿が。
「あ、ユルルちゃんー!! 僕の研究の成果……」
彼女に向かって駆けだす。だが、寝不足による疲労から彼女はつまづいてしまった。そして、彼女の持っていた薬が宙を舞う。そして、それはユルルの頭の上にかかってしまった。
◆◆
太陽は輝かしく晴れている。だが、寒さは未だ残り、王都ブリタニアには先日に降った雪が残っていた。店を持つ大人は雪かきに追われ、子供は自由に駆け回りまわる。
さくさくと雪を踏む心地よい音が聞こえる。
「あ! 逆立ちの兄ちゃん!」
「ほんとだ!! 久しぶり!」
「ねぇねぇ、遊んで遊んで!」
「断る……」
自由都市から帰還したフェイがブリタニアの子供たちから囲まれていた。まるでヒーローショーが終わった後に握手を求められるヒーローさながらの人気っぷりである。だが、フェイはクール系なので冷たい反応をする。
「お願い! ハムレタスサンドあげるから!」
「そうそう、ハムレタスサンドあげるから!」
「少し、雪合戦してくれるまで帰らせない!」
「あれ? フェイ、なんか目が変わってる……」
フェイの周りには子供がいっぱいでフェイは身動きが取れないほどに密集していた。厳密に言えばフェイも動こうと思えば動けるが流石に子供を押しのけて無理やりに動くほどの男ではない。
このままではらちが明かないとフェイはやれやれと仕方なく、子供たちの雪合戦に付き合う事にした。
「うわーい!」
「やっぱり、ハムレタスサンドが好きなんだ!」
「ハムレタスサンド絶対買うマンだ!」
「握手して! ハムレタスサンド絶対買うマン!!」
フェイは子供たちに対しても容赦なく、雪玉をぶつけ続けた。ぶつけてぶつけて、自身は鍛えているので一発も当たらず、大人げないプレーでフェイは勝利した。
「すげぇぇ!」
「やっぱり、ハムレタスサンド絶対買うマンは凄いなー!」
「俺大きくなったら、ハムレタスサンド絶対買うマンになる!」
フェイの強さに関心と憧れを抱いた子供たちは、遊びに付き合って去っていくフェイの背中を、ハムレタスサンド絶対買うマンの背中を見て育っていく。
◆◆
雪が降り積もっている、三本の木がある場所。フェイとユルルが出会った場所、一緒に訓練をしていた場所に二人の影があった。ユルル本人とメイドのメイである。
二人は、木の剣と木の槍を互いに振るって訓練をしていた。上下左右、から疾風怒濤の速さで剣が振られる。それを槍で捌いて、今度はメイが針のように鋭い突きを叩きこむ。
しかし、水流に流されるようにそれらはいなされて、メイの首元にユルルの剣があてられる。
「完敗です。お嬢様」
「メイちゃんも流石だったよ」
「やはり、現役の一流剣士は太刀筋が違います」
「私なんて、一流なんかじゃ」
「いえ、一流ですよ。きっと、フェイ様もそう思っているはずです」
「そうかな……? フェイ君、そんな風に思ってくれてるかな?」
「それほどまでに気になるのでしたら……ご本人に聞いてみると宜しいかと……丁度、来たようですし」
メイがユルルの背の後ろに眼を向ける。彼女は振り返って嬉しそうに笑顔を向ける。遠くにフェイの姿が見えて、それがこちらを見据えながら歩いている姿が見えたからだ。
「フェイ君、帰って――」
彼女は、彼女達は眼を見開いた。フェイの眼が左目が人の眼に似てはいるが、似て非なる人為的な眼であることが分かったからだ。黒い眼ではなく、赤い義眼。眼を失ってしまったことを悟った。
彼は彼女たち二人の前で足を止めた。
「これなら、気にすることはない」
「気にする事はないって……それ、どうしたんですか? 何かあったんですか?」
「……少しばかり、な」
「少しばかりじゃないですよ……帰ってきたと思ったら……いきなりそんなのって……」
「お嬢様、フェイ様本人が大丈夫と言っている以上、これ以上は」
「分かってるけど……」
(……私のせい、なのかな。私がもっと、上手く教えてれば……強くしてあげていれば……傷つくことも無かったのかな)
「……気にするな」
「ごめんなさい……私……どうしても、気にしてしまって」
「……」
「私がもっと、上手に……いえ、何でもありません。フェイ君が気にするなって言ってるんですから……良いですよね……」
「……」
「あはは……訓練、しますか?」
「……あぁ」
「強くなりたいんですね……フェイ君はそれだけなんですね」
「……」
「お嬢様……それ以上は」
気にしていないというわけではないが彼女は笑顔を取り繕って、偽物の笑顔を向けた。彼女は耐えるのが得意だった、偽りを見せるのが得意だった。ずっと、誰からも認めて貰えない、嘲笑と侮蔑だけで回り埋め尽くされてた。
いつか見返したいからずっと耐えていた。そこで自分が怒っても嘆いても、弁解をしても何も変わらない。
だから、見返してやる時まで耐えて耐えて耐えて。気にしないふりをしてた。でも、フェイの事になると彼女は我慢が出来なくなっていた。
(大したことがない……か。眼が無くなってそんなことを嘘偽りなく言えてしまう。せめて、気にしてるって嘘を言って欲しかった……。私はそんな価値観分かる訳ないのに)
(辛いよ……貴方が痛くないって、気にしてないって言っても……私が痛くて辛い……)
(どうして、こんなに痛いのッ!? フェイ君が、分からないよッ、なんで、そんな先に行ってしまうのッ)
(あなたも、わたしを、おいていくの……?)
フェイの事など、誰も理解できない。理解したいと思う、いや、彼女は置いて行かれたくないだけだった。もう、一人になりたくないだけだった。フェイは心の支えで、愛してしまった人で、大事な弟子だから。
彼女にとって全部だった。
もう、彼女にはフェイが分からない。どうして、眼を失っても平気なのか、ただ強さを求めるのか。何一つ、分からない。共感がしたい。ただ一緒に笑い合えればそれで満足だというのに。
「お嬢様……」
「……偶には自分から話しかけてくださいよ……自分から、貴方のこと話してくださいよ……、どうして、いつも……」
「――俺は……」
フェイが何かを口にしようと思った時、誰かが間に割って入った。
「あー、ようやく見つけたよ。フェイ」
「……お前か」
「いや、先輩だからって……まぁいいや。聖騎士長様がお前の事呼んでるんだけど、君最近ここにずっと居なかったから、困ってたんだよ」
そこに居たのはマルマルだった。フェイとは久しい顔合わせとなる。
「あれ? 何か取り込み中だった?」
「……そうとも言えるかもな」
「あ、そうなんだ……じゃあ、手短に君を八等級騎士にするから、手続き――」
「――え……?」
自分はずっと十二だった、上がることも無くて、駆け上がる事すらできない。通常聖騎士と言うのは、一階級ずつしか上がることはない。それが普通だ。だが、稀にいる才能あふれる者達はそれを無視して数段階上に上がることが出来る。
嘗てのユルルの兄がそうだった。ガレスティーア家の長男であった彼は才能に溢れて、聖騎士になって、たった一年で五等級になった。いつか兄のようにと思っていた。
『にいさま、すごい!』
『これくらい当然だ、俺は強いからな』
『……にいさま?』
彼女の頭の中に幼い日の自身が兄で長男ガウェインに子供らしく言葉をかけた記憶が蘇る。あの時、兄の嗤う顔に違和感を覚えた。目標を疑ってしまった。それほどに普段とはかけ離れた狂気の顔つきだったから。兄の服の裾を掴んでいかないでほしいと願っていたけど、それは叶わず、先へ、覇道を行って追う事も出来なかった。
『にいさまは……どこにもいかないよね? わたしの、ずっと、にいさまだよね?』
返事はない、ただ、先へ行くとだけ彼は言った。
「この間、四等級騎士に模擬戦で勝った事の功績が大きいらしい」
「そうか」
「手続き頼むね、円卓の城の受付でいろいろできるから」
「……」
今、彼は彼女を向いていない。また、置いて行かれそうな気がした。飛躍していく彼に自分は何も分からず、置いて行かれてしまう。教えることなどもうなくなってしまっているのかもしれない。
自身よりも優れた剣士だって……きっといる。彼女の悪い癖は自分を卑下してしまう事だ。
「こいつはどうなる?」
「
「そうか……」
「……どうした?」
「……妙な話だと思っただけだ。俺がここまでこれたのは覚悟の力だ。だが、己だけでは到底ここまで来れていない事も分かっている」
「……」
「俺がここまでこれたのは、俺の力、そして、何よりもこいつの存在が大きい」
時が止まった様な感覚だった。彼はいつものように淡々として、無機質な佇まいだけど。ユルルも隣のメイも驚愕だった。
「俺は、自身の師を正当に評価しない者達からの評価など……」
「……?」
フェイは、言葉が詰まった。ユルルはその先に何を言おうとしたのか、気になったがフェイは言葉を変えた。
「いや、そもそも俺は位が欲しくて騎士をしているのではない。そんな手続きをしている暇があったのなら剣を振るだけだ」
「つまり、進級を拒むってことでいいのかい?」
「あぁ、それでいい」
「そうか、前から思ってたけど、君は変わってるな。それに恨みがあまりに強すぎる……だが、それだけでないって事か」
マルマルはフェイの後ろのユルルを見た。これ以上はここに居ても仕方ないと彼はその場を去って行った。
「今日は帰る」
「あ、その……」
「……」
「……フェイ君?」
背中を向けたまま、おもむろに口を開いた。
「お前がどうしてそうなったのか……その原因が俺には分からん。だが、俺が原因で泣いたことは分かった。不快なら謝罪しよう」
「ッ……」
彼女は眼を見開く。自分が微かに涙を流したことを彼は気にしてくれていた。それに、先へ行くのを拒んでくれた。行かずに隣にいることを選択してくれた。
『俺は、自身の師を正当に評価しない者達からの評価など……』
(……その先に何を言おうとしてたのか……もしかして……)
(それに、フェイ君が謝るなんて……一度も……。私が彼を想っているように、彼も私の事を……)
「私も、ごめんなさい……少し、気が立ってしまって……」
「俺は気にしていない」
「私も全く気にしていません。本当に気を遣わせてしまって申し訳ありませんでした……眼は本当に大丈夫なんですか?」
「あぁ」
「そうですか……でしたら、剣を合わせましょう。だって、私は貴方の師匠ですから」
(そうだ。私は彼の師匠なんだ……。彼も信じてくれているんだから、隣に居ようと少しでもしてくれるなら。それに甘えるだけじゃなくて……私も強くならないと……)
(フェイ君……もし、貴方が痛みを感じないなら。私が痛みを分かち合えるように頑張ります。貴方が私を庇ってくれたように、救ってくれたように……いつか、貴方を救えるほどに、私は強くなりますね)
(好きな人には死んでほしくないですから)
フェイはと彼女は剣を合わせる、いつものように。彼女の表情は晴れていた。彼女は自身も成長しようと前へ進む覚悟を持った。いつか、手を掴んで隣を歩けるように……
――訓練しながら、この時間が続けばいいと彼女は思った。
(物凄い感動的な場面だとメイは感じているのですが……)
そんな二人を見ながらロマンス系小説の主人公であると勘違いしているメイは歯がゆい思いをしてみていた。
(……フェイ様って本当に魔性な男と言うか、何というか……そもそも怪我したのはフェイ様のせいですよね。正直メイもフェイ様の怪我は心配しています)
(しかしながら……フェイ様、自分で落とすだけ堕としておいて、そこから上げているような……。それでお嬢様かなり好感度上がっているし……とんでもないマッチポンプを見ているような……)
(しかも、いつも謝罪とかしない癖にこう言う時だけ謝罪して……。『俺は、自身の師を正当に評価しない者達からの評価など……』この先の言葉は絶対分かります。と言うかほぼ言ってます。師匠を正当に評価しない奴からの評価とか言う感じですよね?)
(お嬢様が一番欲しかった言葉を、一番言って欲しい相手から、下げておいていうとか……反則ではないでしょうか? 先ほどからお嬢様、気分アゲアゲですし、惚れ顔してますし、惚れ直してますし)
(自由都市に行ってたと仰ってましたけど……まさか、ロマンス系小説主人公であるメイのライバルキャラを量産していないでしょうね? 最大の敵はお嬢様、マリア様辺りだと感じているのですが……とんでもないライバルが生まれているかも)
(まぁ、メイはそう言うライバルが多くてもいいですけどね。メイの物語の深みがググぐぐぐっと深くなりますので。最終的には主人公であるメイエンドですので)
(しかし、不満があります。メイのイベントはまだでしょうか? 最近、全然出番が無くて、実は主人公ではないのかなかと思ってしまいます……)
(どうして、メイにはイベントがこないのですか? まさか……メイは主人公ではなかったのですか……?)
この後、フェイはマリア&リリアとついでにアーサーの好感度もマッチポンプ形式で存分に上げた。
■■
フェイがブリタニア王国に帰還してから数日、フェイとユルルはいつものように訓練をしていた。木の剣が交差して只管にその音が鳴り響く。心地の良い剣の唄のようなそんな音の連鎖。
それをメイドであるメイがじっと見ていた。
彼女は焦っていた。自身に最近これと言って何のイベントも無かったからである。自身はロマンス小説系の主人公であるというのに、その証とも言える厄介イベント的な物が何もない。
最初はそう言う時もあるだろうなと、感じていたがそれだけで何も変わらない。故に彼女は自身から行動を起こすことにした。
いつもは最終的には自身にフェイは収束してハッピーエンドになるだろうし、自身の愛しているお嬢様もフェイの事が好きなのだから、なるべくイベントを壊したりせずに、そっとしてあげよう
自身が主人公的なポジションだから、最後は自身がフェイを奪ってしまうのだから……と。
彼女には主人公としての慈悲があり、だから、今までメイは余り二人の間に入り込んだり、二人きりの訓練を邪魔することはなかったのだが、今の彼女にはそんな事など気にならないので二人の訓練を見学していた。
ユルルの鋭い太刀がフェイの木剣を飛ばす。ブーメランのように回転して、地面に突き刺さり、勝負が決着。ユルルはちょっとだけ自信に満ちた笑みを浮かべる。
「フェイ君、今日は私の全勝ですね」
「……そのようだな」
「もう、いじけないでくださいよ。私は貴方の師匠なんですから、全勝位、毎回しないと格好がつかないんです」
ユルルは今日の模擬戦でフェイに全勝した。そのことでフェイが面白くなさそうな声音になるので、ユルルはからかうように彼に笑みを向ける。フェイは飛ばされた木剣を無表情で拾う。
「もう一度だ」
「ダメですよ。さっきのが最後って約束したんですから。体も休めないといけません。師匠との約束ですのでちゃんと守って頂かないと」
「……そうか」
フェイは苦渋の決断、と言うわけではないが表情を変えずに重々しく告げた。彼にとって訓練とはそれほどまでに重要であるのだ。
「さて、折角ですし……フェイ君、今日は私の部屋でご飯とかどうですか?」
「……いや、俺は――」
緊張感のある表情でユルルは夕食のお誘いを彼にする。異性を部屋に誘う、二りきりではないとしても。その意味をメイは感じ取る。近い距離で時間を重ねたい。彼女のささやかな願い。
彼女は裏のある想いからか、頬が赤い。だが、フェイは対照的でいつもの機械的な感じ。そして、彼はいかに銀髪ロリ巨乳美人師匠から食事を誘われても、クール系である為にそう簡単に食事には行かない。
そんななれ合いはしない、断るという選択をするだろうと言う事をユルルは感じた。それは師匠として、ずっと一緒に居た想い人として、好きな人の事をある程度は把握しているからこその感知。
「――食べながら剣術の話をしましょうか」
「そうか、なら行ってやらんこともない」
フェイはバーサーカーなので、そっと剣術の話を添えておくだけで子供のようについてくることがある。勿論、ユルル・ガレスティーアと言う女性を尊敬しており、強くなるためには必要不可欠であると分かっているからこその行動でもあるが。
(お嬢様、フェイ様の操り方が上手くなっている……)
メイがそれを見て驚愕をしているが、ウサギのように微かに跳ねて彼女は喜ぶ。そして、フェイとユルル、メイの三人はその場を離れて部屋に帰るついでに夕飯の買い出しに向かう。
「フェイ君、何か食べたい物とか、ありますか?」
「いや、特には」
「そうですか。メイちゃんはある?」
「メイは特にございません。お嬢様の食べたい物でよろしいかと」
「えー、それが一番困るんだけど……あ! あそこの野菜でシチューとかにする?」
「なんでも構わん」
「メイもそれで構いません」
ユルルは野菜を売っている場所に向かって行くと……丁度、誰かの元気で活発な声が響いた。聞いたことがあるような声。
「あ、ユルルちゃんー!! 僕の研究の成果……」
「エクターさん? お久しぶりです――」
声でエクターだと分かったユルルが振り返った瞬間、とある液体が彼女の顔に降りかかってしまった。
「お嬢様? 大丈夫ですか!?」
「あ、ごめん! ごめん! 本当にごめん! 僕疲れててさ……」
「……?」
メイと液体をかけてしまったエクターは心配そうに声をかける。だが、ユルルは二人に返事もせずに子供のように首を傾げる。彼女は大人で対応や物腰も柔らかいのでこういう時は大抵、大丈夫と笑って返事を返すのだがそれをしない。
フェイも少しだけ、様子が違う事を感じ取って彼女に目を向ける。そして、ユルルもフェイと目線を合わせる。じっと、特に何も言わずに目が交差するのが三秒ほど続いた。
すると、ユルルが子供のように両手を開く。
「……だっこして」
「……なに?」
「ふぇい、わたしをだっこして」
「おい、こいつに何をした?」
ユルルの当然変異がエクターがかけてしまったあの液体のせいなのではないかとフェイは察してエクターに鋭い眼を向ける。その間にユルルは抱っこしてくれないフェイにウサギのように飛んで無理やり抱き着いた。
「あー、その、僕が作ったのは……若返りの薬って言うか……その、若さは精神からって言うか、その、精神に暗示をかけて、若々しくして……気持ちから若さを保とうって言うコンセプトって言うか……」
「……つまり、精神に暗示をかけて一時的に幼くするという事か」
「うん……流石にここまでなるとは思わなくて……ごめん」
「どうすれば元に戻る」
「えっと、一日位かな」
「……」
フェイは自身の胸元に眼を向けた。そこにはニコッと無邪気で可愛らしい笑顔を向ける自身の師。首に手を回してぶら下がっている。仕方ないと彼は溜息を溢して彼女を一旦、彼女とメイが住んでいるいつもの部屋に向かうことにする。
「あの、僕は」
「貴様はもういい」
「あ、はい。なんかすいませんでした」
エクターは頭を下げながらそこから去って行った。居ても意味がないならさっさと元凶は去れとフェイに遠回しに言われたからである。
「フェイ様、メイは今晩の夕食の食材を買ってまいりますので一足先に戻っていてください」
「あぁ」
そこで二人は別れた。
◆◆
「ふぇいくん、あたまなでなでして!」
「……」
「ふぇいくん! わたしのことすき?」
「……さぁな」
「ふぇいくん、ほんよんで!」
「……」
もう、完全に子供だった。23歳児と言う新たなる概念を獲得してしまったのかもしれないという程の言動。甘えん坊でずっとベットの上に座っているフェイの膝の上に座りっぱなし。
ぎゅっと抱きしめて、甘える。それだけ。
「フェイ様大丈夫ですか?」
「あぁ」
「めいちゃん! ごはんはやく! おなかすいた!」
「承知しました、少々お待ちください、お嬢様」
暗示がかかって子供のように彼女は振る舞った。お風呂も着替えも全部大変だったのだが、気づくとベットの上で一足先に彼女は眠ってしまった。
メイはほっと一息ついて、紅茶を淹れた。それをテーブルの上に持って行く。
「フェイ様、色々ありがとうございました」
「気にするな、礼は不要だ」
「さようで……紅茶を淹れましたのでよろしかったらお飲みになってください」
「……あぁ」
紅茶の優しい香りが部屋を満たしていく。部屋の中は薄暗い。ユルルを起こさないために天井に配置されている照明はつけない。オレンジ色の微かな常夜灯が小さな魔石の照明器具によって微かに部屋は照らされる。
そして、ガラスの窓から綺麗な月の光が差し込んでいる。月の真っ白な穢れ無い光が常夜灯のオレンジと混ざって幻想的な雰囲気を醸しだす。
メイとフェイが席について向かい合う。
「フェイ様……その、左目は大丈夫なのですか?」
「問題はない」
「そうですか……。その、差し出がましいかと思いますが、自身の体をちゃんと労わってください」
「あぁ」
「……自由都市に行ってらっしゃったのですよね?」
「そうだ」
淡泊な返事をしながらフェイは紅茶を口に含む。メイは心配そうな目を向けながら彼に質問を何度も投げかける。
「あそこは、あそこを……どう感じましたか?」
「どうとは……?」
「率直な感想と言いますか、どのような場所に感じたのか聞きたいのです。どのような事でも構いません」
「……特に何も感じない。俺にとっては全部が自身を高める場所だ」
「なるほど……フェイ様、また、あの都市に向かわれるのですよね?」
「あぁ、時間があればな」
「……フェイ様はあそこで一攫千金とか、そう言ったものを求めていない事は知っています。フェイ様に行くなとも言いません。しかし、メイは心配です。フェイ様、きっと、あそこには何もありません。何も、ない、希望も夢も、あそこにはありません」
「……」
「すいません。急にこんなことを言ってしまって……ただ、一度だけ、冒険者として活動をしていましたので、その時に……メイが勝手に感じたことかもしれませんが、どうしてもお伝えしたかったことでして……」
「謝る必要はない」
「ありがとうございます……フェイ様、自由都市の魔石を持っていますか?」
「いや、全て換金に回した」
「そうですか。でしたら、これをご覧ください」
そう言ってメイは自身の着ているパジャマに上から手を入れる。そして、胸元から一つの魔石を取り出した。それは自由都市で魔物を倒した時に獲得できる魔石にそっくりであった。
「これは、とある鉱山でとれた魔石です。照明とか、色々な用途で使われます。そして、自由都市のダンジョンでも似たような物が獲得出来ると思います」
「……何が言いたい」
「……あのダンジョンで獲得できるのは全てダンジョンの外でも獲得が出来ます……。いえ、厳密にいうと違うのかもしれませんが……似ています。全部が。外と完全に酷似していて……それが凄く不気味と言うか……魔物にも個体差とかありますが、基本的にはダンジョンの外と全くの違う種がいません。世界最高峰のダンジョン……夢と希望が詰まった異界の空間、一攫千金ができる……本当にそうなのでしょうか? なぜ、魔物を倒すと外でも取れるような魔石が手に入るのか謎でしかありません」
「……」
「しかし、全員がダンジョンだからと割り切っています。行方不明者が出てもダンジョンで死んだとか思っています。探しますが諦めます。メイにはあそこがどうにも気持ち悪く感じました。魔物は誰かが作っているのかもしれないとすら……いえ、これ以上はただの妄言ですね」
「……」
「ただ、フェイ様が心配なだけです。どうか、お気をつけてください。フェイ様は危なっかしい方なのは承知しております。止まれない方なのも知っております。ですので、せめて忠告だけさせて頂きます」
「……そうか、覚えておこう」
「はい、覚えていてください」
それだけ言うとメイはそっと笑った。そして、重い話を切り替えるように寝ているユルルを見た。
「お嬢様、中々お転婆な方でしょう?」
「そうかもな」
「昔は、あんな感じでした。ずっと我儘と言うか、甘えん坊で怒りっぽくて、メイの方が年下なのに妹みたいって思っていました」
「……」
「ふふ、あまりこういった話は好みではないですね」
「……さぁな」
「と言うより、あまり会話が好きではないという感じなのでしょうか? フェイ様の特徴をどうこう言うつもりはありませんが、偶には話を振ってくださいね? フェイ様と話していると楽しいですから」
「……そうか。気が向いたらそうすることにしよう」
「はい、気が向いたときにお願いします」
そこから互いに特に何も言わずに時間が過ぎていく。紅茶を飲みながら月の光に照らされて二人は時間を重ねた。
◆◆
ふわぁぁっぁっぁぁぁあ!!! 久しぶりにメイのイベントっぽいのが来たぁぁぁ!!!
最近フェイ様とのイベントが全くの無かったので焦っていた。いや、本当に。ロマンス小説系の主人公であるメイはどうして出番が無いのか。もしかして主人公じゃないのかもしれないと焦りがあった。
だけど、今こうやって向かい合いながら紅茶を飲む。凄いロマンチック。ロマンチックな感じが最高過ぎてにやけ顔を抑えるのに必死です!!
そうそう、これこれ。イベントがないなら自身で起こせばいいのですよね!
あ、そうだ、フェイ様に忠告をしないと。この人直ぐに無理をするから……そう言えばメイも昔はダンジョンで活動したのを思い出す。出会いとか色々求めていたけど、そんなの全然ないし。
そもそもあの自由都市のダンジョン、よく分からないけど凄い気持ち悪かったし。いい気分がしなかった。あと、出会いもイベントも何もないから不満しかなかった。本当につまらない場所で気持ち悪い場所と言う印象。
そんな場所にフェイ様が行くというのだから心配もなったし、帰って来た時に左目も義眼になっていたからやはり、と後悔もした。あの時ちゃんと止めていれば……いや、この人は止まらないだろう。
そう言う人だというのはもう分かり切っている。メイは現地妻みたいに待ってあげよう。王子枠が無茶をして帰ってくるのを家で待つのはあるある展開。
さて、一度やってみたかった、胸元から道具を出すあれを魔石でやって、忠告をしておく。フェイ様ってちゃんと話聞いてくれるからメイ的にポイント高い。
普段は凄い無感情の癖に、実は真面目で頑張り屋さんっていうギャップが凄く良い。
本当にフェイ様って……おもしれー男
◆◆
なんだか、分からないがユルル師匠が幼児化した……。まぁ、そう言う事も良くあるよね。別に驚きはしない。
ファンタジーにおいて、いわゆる幼児退行みたいなのは基本。それにあのエクターって人が原因だろうしね。仕方ないから面倒を見てあげよう、いつも胸を借りているしな。
「ふぇい、ぎゅってして!!」
「……断る」
「ひっぐ……うえぇぇぇん! ふぇいがぎゅってしてくれないい!!」
あ、泣いちゃった。本当にワガママだな、いつもとは雰囲気全然違うけど、特に問題もない。こういう事もあるのだろう。そして、元に戻った時には特に気にしてない感じに対応しよう。
ずっと、太ももの上に乗って胸板に顔埋めてるし。クール系だけど……仕方ないから頭撫でてあげよう。
「えへへ」
本当に子供みたいだな。23歳児……か。
ユルル師匠を寝かしつけた後にメイドのメイと一緒に紅茶を飲むことに。ダンジョンに対しての意見を聞いたり、眼の事を心配してくれたり感謝である。モブなのに良い子だ。
胸元から魔石を出す仕草は面白い。偶にはモブと過ごすのも悪くないかもな。モブにしてはメイはおもしれー女。
◆◆
ユルルが幼児化から戻って数日後、未だに寒さが残るそんな冬の日。フェイが一人で剣を振っていた。毎日のように彼は剣を振る。ただ高みを目指して……。
しかし、そんな彼の体には負担が大きくかかっており、呼吸を忘れるほどに鬼気迫る表情と集中力で鍛錬を積めば……気絶をしてしまう。
フェイが目を覚ますと、そこは見覚えのある天井であった。エクターの医務室のベッドの上で起きた彼の周りにはユルルとマリア、そして、メイ、エクターの姿があった。
「あ、起きたな、あのね、ここの常連にはならないでって言ったよね?」
「……手間をかけた」
「はぁ、心配をかけて……謝った方がいいよ? 三人にも」
「フェイ君! もう、いつも無茶して! 私、凄く怒ってますよ!」
「フェイ様、お嬢様からしっかり叱られてください」
「フェイ……私心配してるのよ」
三者三様といった対応でフェイにチクチクと小言を言ったり、不安げな表情でジッと見たりしている。
「君が気絶してるのをユルルちゃんとメイちゃんが見つけて、それを運んでいるときにマリアちゃんと会ってここまで来たんだって。お礼言いなよ」
「手間をかけたな」
「はぁ……まぁ、フェイ君に無理をするなって言ってもダメなのは知ってますけど……私もすいません。弟子の負担が重くなっているのに気付いてませんでした。マリア先輩もすいません。フェイ君を預かっていたのに、こんなことになってしまって」
「き、気にしないでいいわよ。こちらこそいつもありがとうね。ユルルさんにメイさん」
マリアからしたらフェイの少ない親しい間柄の二人、普段の感謝や気遣いがある。怒ったり文句を言ったりするなどあり得ない。
「フェイ様にはメイこそお世話になっています。この間も夜、話し相手になって頂いたりもしましたし」
「……夜に」
「夜に……メイちゃん、いつの間に」
「お嬢様が幼児化しているときです」
「あ、それ忘れて欲しいやつ……」
(フェイ、メイさんと二人きりで何話してたんだろう)
(メイちゃん……私が幼児化しているときに何話してたんだろう。あの幼児化は黒歴史だから、触れたくないんだけど)
(ふふ、久しぶりに三大美人ヒロインが出揃いましたね。メイ的にこの二人が生涯最大にして最強のライバル的キャラ感があります)
「フェイ、ユルルさんとメイさんにあまり心配かけてはダメよ」
「あぁ」
フェイはそう言ってベッドから起き上がった。休む気などない、そしてこのまま訓練にでも向かうというのが手に取るように三人には分かった。ユルル、マリア、メイは頭を抱える。無理をするなと言ってもそんな言いつけや忠告を聞くはずない彼はどうしたら無茶苦茶な行動に出なくなるのか、考えたところで分からない。
「訓練するつもりなのね……あぁ、もう、フェイったら……ごめんなさいね。いろいろ気を使ってくれているのに」
「いえ、何となくこうなるのは分かっていましたので……謝らなくていいですよ。マリア先輩」
「メイも気にしてはいません」
フェイはそのまま医務室を出ようと扉に手をかける。だが、出る寸前に三人の方を振り返る。いつもの顔つきで冷めた声音で一言だけ呟いた。
「手間をかけた」
そう言って彼は三人を後にする。
「フェイは悪い子じゃないの、これからも色々手間かけると思うけど、お願いしてもいいかしら?」
「はい、任せてください。フェイ君は私の弟子ですので」
「メイも任せられました」
■
フェイが再び剣を振る。三人から無理をするなと言われたので、いつもよりセーブしながらの素振り。空気を斬るような剣筋を作り出す彼の元に、黄金の影が現れる。
「フェイ……おはよう」
「……」
アーサーがフェイに向かって手を振りながら挨拶をする。フェイは僅かに一瞥だけをしたが、それ以上は特に何もせずに素振りを続ける。
「フェイ、頑張ってるみたいだけど、今日は素振りの感じが違うね」
「……」
「この間、オシャレカフェを見つけたから一緒に行く?」
「……」
「むぅ、無視しすぎ。照れてるのは分かるけど、ちゃんと反応して」
「……照れてはいない」
「ふふ、恥ずかしがっちゃって……かーわーいー」
「……」
頬をツンツンと触ろうとするアーサー。それを躱しつつ、睨むようにアーサーを見る。いつまで経っても自身が上だという彼女の態度がフェイには気に食わない。
「フェイ……左目大丈夫?」
「前にも言ったが問題はない」
「そっか、なら……久しぶりにワタシとやる?」
彼女は持ってきていた木剣をフェイに向ける。最初からこれが目的であったのだろう。フェイと接する機会はこれくらいしかない彼女にとって、模擬戦は凄く大事である。
「いいだろう。乗ってやる」
「じゃあ、軽くね……お姉ちゃんの偉大さ教えてあげる」
互いに地を蹴る。模擬戦が終始余裕であるように互いに表情は変わらない。だが、フェイの方が防戦一方でもあった。
未来視とまではいかないが、彼女の剣筋は大分理解している。自由都市で戦ったモードレッド、そしてカイルも同じような剣筋との戦いも得た。だが、分かっていてもその才能故の凄まじい剣戟。
モードレッドに負けず劣らず、その速さ。そして、精度。恐ろしいのはこれは魔術的要素を一切排除している。モードレッド、アーサー、この二人の強さにフェイはまだ至れていない。
「……あれ? 前より、強くなったね。自由都市でどんな経験してたの。色々教えて」
「無駄口を叩くな」
「分かった。それじゃ、ワタシが勝ったら教えて」
「……勝てたらな」
「うん。約束ね! さっき言ったオシャレなカフェで二人きりで話してね!」
勝手に約束を増大させるアーサー。そして、約束出来たことが嬉しくなって思わず、更に一段階ギアを上げた一撃をフェイの鳩尾に叩き込んだ。
フェイは本日二度目の気絶を迎える。暗闇にフェイは落ちる。しかし、持ち前の回復力と執念で直ぐに目を覚ます。
「あ、起きた」
目を覚ますとアーサーの膝の上だった。
「心配した、大丈夫?」
「……問題ない」
「そっか……眼、移植したときどんな気分だった?」
「なにもない」
「そっか……」
(ワタシもこの眼はワタシの本当の眼じゃないんだ……だから、お揃い……とは言わないけど……フェイは一人じゃないよ)
風が彼女を吹き抜ける。微かに彼女の頭の中に真っ赤で腐った血肉が蘇る。一人ぼっちであったけど……今は……。
◆◆
朝から訓練で気絶をしてしまった。いや、集中し過ぎで呼吸を忘れてしまうほどに素振りをしてしまうとは……。今度から素振りをするときは呼吸を忘れないようにしないと。
眼が覚めるとエクター博士。大分ここも常連になってしまった。マイベッド、やはり用意した方が良いかな。これからも何度もお世話になるだろうし。マリア、ユルル師匠、メイもわざわざすまんね。
無理をしないでって心配してくれるのは嬉しいけど……主人公だから無茶はしてしまう。こればっかりはどうしようもない。
起きたばかりだけど、素振りしに行かないと……。最近、イベントが無くて平和だからこういう時に鍛錬はしっかりしないと……。
まぁ、三人があれだけ心配してるから、呼吸忘れないで、ちょっとセーブして素振りをしよう。そう思っているとアーサーが来た。
模擬戦をしたらまたボコボコにされた。クソ、これじゃ……俺は主人公なのに。こいつにずっと負けっぱなし。3000敗くらいしてるよ。
これあれだよな……原作最強ランキングとか絶対俺より順位上だよな……。『円卓英雄記』のネタバレを含むので嫌な方はブラウザバックしてくださいみたいな感じで作られてたら、アーサー最強ランキング一位じゃない?
だって、主人公である俺に3000回くらい勝ってるし。コイツのせいで勝率も下がってるんだよな。自由都市とかでもモードレッドのせいでトータル戦績大分落ちている。
トゥルーにも何だかんだで負け越してるし……俺は主人公なのに……勝率5パーセント以下だろうな……絶対アーサーとかさ、ビジュアルは良くて、強いからこいつが主人公でいいだろとか言われてるんだろうな。
俺が主人公なのに。
まぁ、努力系だからもっと頑張れって事かもな。勝率上げるためには……努力しかないかもな。
主人公として頑張ろう。あと、膝枕はやめろ、アーサー。全然うれしくない。
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