第10話 集合
病室に戻ったらお兄ちゃんはまだ声をかけ続けていた。
手を握りながら声をかけて身近に起こったことを話していた。
私も手を握り声をかけた。
「おばあちゃん、起きて、起きたらまた一緒に出かけよう?」
そう何度も言った。
見守っている中、父は母と連絡していたらしく、
「これから、お兄ちゃん(次男)を新千歳まで迎えに行ってくるから
お母さんたちはあと2時間くらいで到着するって」
父はそう言い兄の車で迎えに行った。
私と兄は『もう少しでママたち来るって、それまでがんばろ!』と、声をかけた。
着々と時間が過ぎていった。
その間に兄は結婚報告をした。
「僕、もう少しで結婚するんだよ!もう少しでおばあちゃんはひいひいおばあちゃん
になれるんだよ!」
そう言いながら目をつぶっているおばあちゃんに婚約指輪を見せた。
そのあと、お兄ちゃんは『ちょっと休憩してくる』と言って病室を後にした。
少ししてすぐ戻ってきた。
手にはブラックコーヒーと炭酸飲料が握られていた。
兄は炭酸飲料の方を私に渡してきた。
お礼を言って私は受け取り飲んだ。
ずっと泣いて鼻水もすごかったからのどの渇きも半端なくすごかった。
飲んでのどを潤かした。
お兄ちゃんもコーヒーを飲んで少し無言で2人で見守っていた。
でも、私は少し焦っていた。
みんな間に合わなかったらどうしよう
ただ、それだけを考えていた。
そう考えていると兄はスマホを取り出し、誰かに連絡した。
電話が繋がりスマホから声が聞こえた。
沖縄から向かって来ようとしている次男の声だった。
長男は万が一のことを考え先に次男にテレビ電話でおばあちゃんの状態を説明し、
『言うことがあるなら今のうちに言っときな』と言った。
次男はおばあちゃんに今までの感謝と共に”お疲れ様”と言った。
その後は、気をつけて帰っておいでと言い、兄は電話を切った。
それから1時間後くらいにやっとおじいちゃん夫婦と母と妹が到着した。
私と兄はさりげなく抜け出して自販機があるデイルームに行き、椅子に座った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます