第6話 兄の秘話
『僕はさ、ひいおばあちゃんとひいおじいちゃんがいないと
今、いなかったかもしれない。
ママは19で妊娠して周りの人からの反対の中で『産む』って言ってたんだって。
その時、おじいちゃんは成人式で振袖の晴れ着を着て欲しくて、見たくて、
反対してたらしいんだよね。
でも、それでも、ママは『産む』って言ったらしくて、
それを聞いたひいおじいちゃんたちが『産みなさい』って言ってくれたらしい。
それがなかったら、今、僕は、ここにはいないから本当に感謝しかない。』
それを初めて聞いた私は、
おじいちゃんとおばあちゃんはどれだけ多くの幸せをくれたのだろう、、、
と、実感した。
私は、兄妹が大好きだ。
それを守ってくれたおじいちゃんたちには感謝してもしきれないほどの恩しかない。
そう思い、兄の方を見た。
本当にわずかな小さなシミが視界に入った。
泣いていないと思っていた兄の膝に1滴分だけの濡れたようなシミがあった。
それを見て
『泣かない人なんていない』
そう思った。
一旦、泣いたらだいぶ落ち着いて気持ちが楽になった。
そこからは流れてくる曲を少しずつ普段のように楽しんで歌えるようになった。
でも、歌いながらも真っ青な雲一つない空を見ながら、
おばあちゃんの無事を祈っていた。
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