青春のスタートラインまでが遠い

@ukon11

前編 部活作りは男の嗜み

夕暮れが小峠高等学校の校舎を赤橙色に照らす、帰宅する生徒もチラホラ見える中。2−a組で未だ教室に居座る影が2つあったとさ。


「俺は部活をつくるぞ!」

ダン!と机を両手でつよく叩き、天パぞはかすニキビ中肉中背男の宮田が覇気のない顔で覇気のある声をあげた。

「なんで?また」

それに返すのは、中肉中背、平凡な容姿、平均的な学習能力、運動神経。もし異世界転生が存在するなら候補のナンバー1、モブ中のモブ、平間。

「俺たちの学校生活に足りないものはなんだと思う?」

「そりゃあんた、女とか?」

「えっ〜と、まぁそれもそうなんだか、何を隠そう青春だ!」

「なにも隠してないと思うけど…そうだよな」

「そして、青春といえば部活だろ!、俺らみたいな帰宅部には青春は許されてないんだよ」

「そんなことないだろ。そりゃ、運動部の奴らが流す汗はキラキラ光って見えるし、文化部は文化部で心地のいいコミュニティで好きなことができる。しかしよ、帰宅部だって駄弁りながら一緒に帰ったりゲームにしてりゃ楽しい。さらに言えば自分ひとりの時間を自由自在に使える。これってつまり青春の一つの形だろ」

「浅い、浅すぎるよ平間くーん。帰宅部でも青春してるやつはもちろんいる。彼女彼氏持ちの(いけすかね〜)やつら、部活以外で自分の好きな分野を見つけネットなどの環境を使いつつ切磋琢磨するグローバル人、エトセトラエトセトラ。だか、我らはこんな素晴らしい帰宅部には、属していない、いや属せない、“じゃない方”なんだよ。真面目に勉強したわけでもなく、誰かと切磋琢磨したこともない。あと、彼女いない。つまり彼女いないんだよ!!」

「どんだけ女に飢えてるんだよ!そうはいっても俺たちには中学から高校まで5年間も培ってきた友情があるじゃないか!男同士の固い友情これは、青春の代名詞だろ!」

「友情?はっ(笑)、ちゃんちゃらおかしいね。じゃない方の平間くーん」

「じゃない方言うな!と言うかお前もじゃない方だろ!あと、平間くーんの伸ばし棒やめろ!」

「男の友情っていうのはね、自己犠牲と勇気と愛とトキメキと濃い眉毛が雨降って地固まるとできるんだよ!俺とお前との関係は、侘びしさを紛らわすための傷の舐め合い。貴様との友情などロ○クリーとガ○先生が認めても、俺は断じて認めん!」

「どんなキャラだよ!しっかし傷の舐め合いとはひでーこというな。これからお前と話すこともなくなるんだろうな〜」

「うそうそ冗談冗談、本当にごめんなさい捨てないでください。僕の友達は、君しかいないんだ〜」

「わかったわかった、もういいから面を上げろよ。」

「ふぅ〜〜。よかった。して旦那、部活設立いかがでしょうか?」

「態度変わりすぎだろ。でも、うん、いいんじゃないか。お前の言葉妙に説得力あるし」 

「じゃあどんな部活を作るか考えようぜ、旦那!」

「部活の趣旨決まってなかったんかい!」

「あたりめーよ、青春とはノリと勢いよ。それでは部活創設会議を行う!さっさと座れクズ」

「ちゃんとした悪口!」


こうして、2人は青春のスタートラインに一歩近づいた?


つづく

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