第70話 ルルとジェラルド②
「兄上!私も参加させて!」
エチカはそう言うとルルの隣に座る。
「エチカ…それにレオナルドとリタそれにデューク、どうしたんだ?」
「陛下、申し訳ございません。ですが、我々もリクとちゃんと話し合いたくてエチカ様に頼みました」
ジェラルドは溜め息を吐きながらエチカを見るが、エチカは知らんぷりして出された紅茶を飲んでいる。
「あーー!とーしゃん、かーしゃん、にーに!」
リクはソファーから一生懸命降りると、家族の元へ行き抱き付く。レオナルド達は優しく抱きしめながらも、恐る恐るリクに聞いてみる。
「なぁ、リク。父さん達とお家に帰らないか?」
「リク!どうかしら?」リタも必死だ
「にーにといっぱい遊ぼう!」
「うん!いーよー!リクお家に行くー!」元気に言うリク
「「「へ?」」」思考が停止するレオナルド達
ジェラルドもエチカも驚いている。
「リク…本当か?本当に俺達と一緒にいてくれるのか?」
レオナルドは涙を流しリクを抱きしめる、その光景をみてリタやデュークも泣いて喜んでいる。
「お前が説得したのか?」ジェラルドがルルに聞く
「うん。あの子も家族と暮らしたかったんだよ…寂しかったんだよ」
ルルがそれだけ言うと黙ってしまう。ジェラルドはルルの本当の気持ちが入った発言を聞いて、ルルを思いっきり抱きしめる。
「ルル…ごめんな…俺はお前がしっかりしているから忘れてたよ…お前もまだ8歳の子供なんだよ!ごめんな…寂しい思いを…我慢をさせた!」
ジェラルドの言葉に、涙が込み上げるルル。必死に涙を堪えようとしたが、今までの寂しい思いを爆発させるかの様に一気に溢れ出す。
「寂しかったんだよ!…いつ迎えに来てくれるのか…いつ父親だと言ってくれるのか…ずっと…うわーーーん!」
泣きじゃくるルルを優しく抱きしめるジェラルド。泣きじゃくるルルを見て驚いてもらい泣きしてしまうチロ。
「ねーね…にゃかにゃいで…うわーーーん!」
チロを抱っこして励ますエチカとルルを抱きしめているジェラルドは、お互いに顔を見合わせて心から笑う。
数ヶ月前まで廃人の様だったエチカとルルに本当の事を言えずに苦悩していたジェラルド。リクと一緒に暮らせることになったレオナルド達。その光景を見て満足げに頷くキルア王太后。
ポカンと見つめているエドワードも、この後大好きな姉と暮らせる事を聞いて大喜びする事になる。
いよいよ皆の旅立ちが迫ってくる。
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