第44話 王宮大騒ぎ②

「国王陛下…国王陛下!」



ボス女官は手を捻りあげているのが、国王陛下だと気付き震え出す。他の女官も驚き、そして急いで平伏す。



「お前が今手を出そうとしたこの可愛い子は、エチカとランバートの息子だ。」



その言葉を聞き気絶しそうになるボス女官。エチカ元王女は軍を取り纏める女傑でランバートは筆頭公爵でこの国の宰相でもある。その超大物の両親に加え、この子は国王陛下の甥っ子になるのだ。



「ここにいる女官達を捕らえよ!この女官の尋問はエチカにやらせようか」極悪顔で笑うジェラルド



「ジョンしゃん!チロもやりゅー!」



そう言うと女官達の前へ出る。



「ここにいりゅにょ…にょ…」詰まるチロ



「にょかんだ」教えるジェラルド



「ここにいりゅにょきゃんをとりゃえろー!」



チロはどや顔で言う。笑いを堪える兵士達は女官達を捕らえ連れていく。怪我が酷い女官は医務室に運ばれた。チロは最後まで心配そうに見ていたが、ジェラルドが抱っこしてあげるとぎゅっと抱きついてきた。



自分の虐待された事を思い出してしまったんだろう幼い甥っ子を、励ます事しか出来ない自分を不甲斐なく感じる。もっと早く見つけられていたら、誘拐されなかったらともっと駄目な方に考えがいってしまうので違うことを考える。



「あにょひとだいじょぶかにゃー?」



「あぁ、お医者さんに見てもらうから大丈夫だ」



「たたくといちゃいのに…あにょひとがたたかりぇないようにちて」



「そうだな、ここの働き方を見直す必要があるな」



「たたくひとはダメでしゅよ、いいこーってしゅるひとがいいでしゅよ!ねーねみたいにゃひとー」



「成る程、怒るばかりではなく誉めて伸ばすのもいいな。人をやる気にさせて上手く成長させる事ができる人材か」



「えりゃそーにゃひともだめでしゅよ」



「身分か…難しい問題だな」



「そうでしゅねー」



周りの兵士は笑いを堪えるのに必死だ。国王陛下と幼子の会話が成り立っている面白さに兵士達も限界だ。



そんなこんなで執務室に向かう。




それからボス女官はエチカによって尋問を受けて、恐ろしいほど性格が変わってしまった。見た目もふくよかだったのがガリガリに痩せ細り、頬は痩けてしまい、全てに怯えていつもおどおどしている。他の女官も唖然とする程の変わり果てた姿だった。

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