第42話 チロの大冒険!

「ねぇチロお城に行ってみない?」



エチカがチロに問いかける。



「おちろ?おうしゃまがいるとこりょ?」首をかしげるチロ



「そうよ!それに父さんもいるのよ!」



「とーしゃん!いくでしゅ!」喜ぶチロ



エチカはチロにいろんな経験をさせたくて、王宮に連れていくことにした。馬車に乗りはしゃぐチロを愛おしそうに見るエチカ。




王宮内に手を繋ぎ仲良く入っていく2人を、微笑ましく見ている周りの者達。そこでエチカはやってしまった!



そう見事にはぐれました。チロのちょこまかした動きに慣れていたつもりだったが、甘く見ていた。今頃泣いているだろうか。



「私としたことが!」焦るエチカ




その頃チロは…



「もう!かーしゃんがまいごでしゅ!しゃがしゃないとー!」



チロは近くにいる女官に声をかける。



「かーしゃんみまちたか?」



「え、子供?…えっとママとはぐれたの?ってここ王宮よね」



「なにいってるんでしゅか?ママじゃにゃいかーしゃんだよ?」



「……迷子かな?」



「かーしゃんがまいごになりまちた!チロがしゃがちてるの!」



「…お母さんの名前は分かる?」



「うーん…たちか……あっ!ジョンしゃんならわかりましゅ!」



「ジョンしゃん?この城で働いてる人?」



「あい!おうしゃまでしゅ!」どや顔で言うチロ



「こら、ウソついちゃダメよ?お姉さんと…ってどこ行くの!」



チロは急にフラフラと歩き出してしまったので、心配で後を追う女官。チロが向かう方からいい匂いがしてくる、そこは王族が食事をする場所で今現在進行形で食事をしている。



護衛兵士は唖然と目の前の幼子を見る、一体何処から来たのか。急いで捕まえようとした時、部屋のドアが開きジェラルド国王陛下が顔を出す。顔面蒼白になる女官と兵士達。



「おかしいな…確かにチロの声が聞こえたのに」



「チロはここにいりゅよ!」ぷんすか怒る幼子



「チロか!?どうしてここにいるんだ?」



ジェラルド国王陛下が幼子を抱き上げて話している。それにカイル王太子殿下やリリアーナ王女も親しげに話している。唖然とする女官と兵士達。



「あにょねーかーしゃんがまいごになっちゃったにょー!」



「あー…エチカとはぐれたのか!」



「チロおにゃかすいたー!」きゅるるるとお腹が鳴るチロ



「あー!よし一緒に食うか?」笑うジェラルド



「うん!うわーおいちそー!」



涎を垂らすチロに、笑いながらも口を拭いてあげるジェラルド。その光景に幼子を捕らえなくて良かったと冷や汗をかく兵士達だった。



「おい、今城にエチカが来ているからここに案内してくれ」



「はい、陛下!」



エチカがこちらに向かっている間、チロはもりもりご飯を食べていた。



「チロ!」



「あー!かーしゃんいたー!まいごになっちゃだめだよー!」



そう言って抱きつくチロを苦笑いで受け止めるエチカ。その後ろで爆笑するジェラルド達。



「とーしゃんあいたいー!」



「えぇ!行きましょう!」



さてどうなるのやら…


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