第41話 カイルの変化
孤児院に行った次の日、カイルは朝早く起床した。これには女官達も驚き急いで身支度の準備をする。
「軽装にする。朝はリリアーナと走る約束をしているんだ」
そうして顔を洗い、着替えると外に出る。そこには準備体操しているリリアーナがいた。
「あら、お兄様!起きられたのね!」
「うん、私も準備体操するよ!」
カイルの変化にリリアーナも喜ぶ。二人仲良く準備体操していると、父親で国王のジェラルドがやってくる。
「おー!カイル起きれたか!今日は俺も走るぞ!」
「「はい!」」喜ぶカイルとリリアーナ
三人で城の庭を走り、カイルはジェラルドと剣の稽古もしてもらい、それを羨ましく思ったリリアーナも自ら剣を持ち参加している。
「カイルも中々だが、リリアーナも筋がいいな!」
「本当ですか!私、上手くなってチロ達に教えてあげたいのです!」
「そうか!ならリリアーナも今度から稽古に参加しろ!」
「やったー!」
カイルはそれを微笑ましく見ている。稽古が終わると部屋に戻り、汗などあんなに気にならなかったのに、今日は何故か気持ち悪いので風呂に入りたくて仕方がない。そして風呂がこんなに気持ちいいと思うのは初めてだ。
さっぱりして着替えると、食事の為に部屋を出る。いつもは部屋に持ってきてもらいベッドで食べていた。
「お兄様!」
後ろから侍女と共にやって来たリリアーナ、二人で話しながら父上が待つ部屋に行く。そこには母上もいて初めて四人で食事を採るが、嬉しくて感極まる母上を父上が優しく見守る。
「これでルルもいたらな…」
カイルが呟くとしんみりしてしまったので、急いで話題を変える。
「リリアーナは剣が上手いんですよ」
「まぁ!エチカ様が喜びそうね?」母上が言う
「はい!私の目標はエチカ叔母様です!」
「「「……」」」
キラキラ目を輝かせて言うリリアーナに何とも言えない三人。
「カイル、授業は受けるのか?」
「はい、今日から教師をお願いします」
カイルのやる気に満ちた姿に、孤児院に連れていって良かったと思うジェラルド。四人で楽しく食事をしていると、廊下から聞き覚えがある声が聞こえてくる。
「にゃんかいいにおいがちまちゅねー!」
「「「「はぁ?」」」」
「チロおにゃかしゅいちゃったー」
「「「「チロ!!??」」」」
ジェラルドは立ち上がるとドアを開ける。だがそこには誰もいない、女官や護衛兵士しかいない。
「おかしいな…確かにチロの声が聞こえたのに」
「チロここにいりゅよ!」ぷんすか怒るチロ
ジェラルドの足下にちょこんと立つチロに驚く一同。
「あーー!リリーとカエルだー!」
「カエルじゃなくてカイルだ!」
「えー!チロ何でここにいるの?」嬉しそうなリリアーナ
何故王宮にチロがいるのか!?
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