第34話 ルルとリリアーナ②
リリアーナの母親である王妃とその一族は先日処刑された。だがリリアーナには他人事に思えて仕方がない。公には王妃は病死となった。
リリアーナは別館からジェラルドと同じ城住みとなったりそして現在に至る。そして最後に院長室に行くことになる。
「あら、リリアーナじゃない!」
「え……えーお祖母様!」驚くリリアーナ
悪戯が成功したように笑うお茶目なキルア王太后こと院長。口をパクパクして言葉が出ないリリアーナと苦笑いのルルとジョンさん。
「ルル…やっぱりお前知ってたのか」
「そりゃああの貫禄は並大抵の人じゃ出せないよ」
「お前本当に8歳か?」
キルア王太后は貴族の訳ありの子を守るためにこの孤児院を建てた。親はいるし愛されているが一緒に住めない子が大半だ。キルアはこの現状を悲しみ自ら動いた。その中には自分の孫のルルもいた。
「付き物が落ちた感じね、今のリリアーナはとても良いわね!」
「お祖母様ーーー!」キルアに抱きつき大泣きするリリアーナ
「やっと片付いたのね」
「はい、これからはリリアーナとルルそしてカイル3人一緒に育てられます」
泣きじゃくるリリアーナを励ますおちび達。
「よくにゃきましゅねー」とチロ
「にゃきむししゃんなんでしゅよ」とリク
「すん…」何故かもらい泣きするエドワード
ルルは微笑ましく見つめていたが、ふと先程の事を思い出す。
「そういえばカイル王太子って会ったことないな」
「あぁ…あいつは変わっているからな…」
「…すん…私もあまりお会いしたことないんですが…変です」
ジョンさんもリリアーナも自分の息子と兄を変人扱いするとは、嫌な予感しかしない。うん、出来れば避けていこう。
「ねぇルル…私もここに遊びに来てもいい?」
「もちろん!皆大歓迎だよ!…でもおちび達は要注意ね!王宮では決してあり得ない事がここでは毎日あるから」
「あり得ないこと?」リリアーナが首をかしげる
「チロ兵士!昨日お風呂で何やった!」
「あい!うんちしちゃいまちた!しゅみません!」
「リク兵士!昨日食堂で何やった!」
「あい!たべしゅぎてはきまちた!しゅみません!」
「エドワードは……知らん!」
「あい!…えーーー!」
そのやり取りと内容に唖然とするリリアーナ。
「あ、ジェラルド国王も4歳と食事の取り合いするから」
「えー、お父様……ぷッ」
笑い出すリリアーナに恥ずかしがっていたジョンさんもほっこりする。こうしてリリアーナはこの孤児院色に染まっていく事になる。そして変人カイル王太子も登場することになる。
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