第27話 閑話 エドワードとチロ

ずっと見つめ合うエドワードとチロ。



「あんたら恋にでも落ちるのかよ!」爆笑するアンリ。




何故このような状況なのかというと、少し前にエドワードが1人で遊びにきた。馬車から降りたエドワードは緊張気味に歩いてくる。母親譲りの赤みがかった茶髪に下がり眉毛の可愛らしい顔で、アンリはごつい父親に似なくて良かったと心から思った。



「ねえさま、こんにちは!」



「おー、元気だな!こんちは~!」



「はい!こんちはでしゅ!」



アンリは孤児院の中をエドワードに案内する。食堂やお風呂にトイレを見に行き、最後に皆が遊ぶ部屋を紹介する。そこには数人のこども達が遊んでいる。



「あ、アンリ!その子が弟さん?」



ルルがチビッ子達に絵本を読んでいる。



「そう、あいさつできるか?」



アンリに言われて緊張気味に前に出る。



「ぼきゅはエドワードでしゅ!よろちくおねがいしましゅ!」



「おぉー!偉いね!私はルルだよ、よろしくね!」



「はい!」




チビッ子達はじっとエドワードを見ている。だがその中でチロだけ立ち上がるとエドワードの目の前まで行き2人は見つめ合う。そして冒頭の状況になっている。



「あんたら恋にでも落ちるのかよ!」爆笑するアンリ



ルルも苦笑いしながら様子を伺う。



「エドワードはアンリのおとーとでしゅか?」



「はい!そうでしゅ!」



「チロはねチロっていいましゅ!しゃんしゃいです!」



「チロ…ぼきゅもしゃんしゃいだよ!」



「おしょろいだねー」



2人は仲良く手を繋ぎ本を読み始める。最近チロに文字を教えているから一生懸命読んでいる。それを見ていたチビッ子達もエドワードに近付いていって仲良くなっている。



「良かったね、アンリ」



「そうだね~、チロと仲良くなったのは良かったかな!」



チロとエドワードはこそこそ話し出して、いきなり匍匐前進を始める。他のチビッ子も真似して同じく匍匐前進を始める。



「何やってんだ?」



「多分兵士ごっこでしょうね…」



チビッ子は匍匐前進のまま庭に向かう。そして標的を見つけるとチロの一声で突進していく。



「けいちーがいたぞ~!かかりぇ~!」



「「「おーー!」」」チビッ子が一気にケイシーに突進する。



「おい!何だよチビ達!やめろーーー!」



そしてケイシーは消えていった。



「消えてねーよ!おいルル、アンリ助けろ!」



爆笑するアンリと苦笑いのルルは見ているだけだ。エドワードも服を汚しながら普通の子供の様に楽しそうに遊んでいた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



夕方エドワードは泥だらけで屋敷に帰ってきた。驚く両親にキラキラした目で今日の出来事を話すエドワード。



「チロとともだちになりまちた!」



普段大人しくて内気だったエドワードが楽しそうに友達が出来たと話している。父親は喜び、母親は嬉しくて涙ぐむ。



「今日はちゅまらぬものをきってちまいました!」



だが父親はアンリにどんな遊びをしたのか聞こうと思った。



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