第35話

「ふわぁ〜準備おっけー!」


思わず息を飲む。

乾かしたあとでもちょっぴり濡れている毛先とうっすらと蒸気した桃色の頬。


可愛いがすぎる……


流石に抱きしめる度胸は無いので、その辺にあったふかふかのクッションを思いっきりぎゅっと抱きしめる。

「あれ?はるくん顔赤いよ?」

「き、気のせいだって」

「そーかなぁ〜。無理してたら言ってね?」

美妃奈が可愛すぎて……なんていえない、、!

「うん、美妃奈こそ。ところでみぃは何かやりたい遊びある?」

「うーん、あ!ババ抜きはるくんとやってみたい!」

「うん、わかったよ。トランプ準備シャッフルするね?」

ここは良いところみせないと!

かっこよく……ぽとっ……シャッフル……パサパサ……するんだ!!

「はるくん……」

「いや、今のはちょっと緊張が」

「ふふっ」

僕が落としたトランプを見事な手つきでシャッフルしていく。

仕上げに二つに分けたトランプを交互に入れて……

「はいっ、配っとくね」

そしてまたすごい勢いでトランプを配り始める。

配られたトランプには1枚の狂いもない。

「え……みぃすごっ!」

「えへへ、入院してる間暇で沢山やったからね!」

「僕だってかっこいいとこ見せたかったのに……」

「はるくんはいつもかっこいいから!今回の見せ場くらいゆずって?」

ずるい……

そんなに可愛く微笑まれたら……

「うん。みぃもいつもかわいいよ。」

こういうしか無くなるじゃん?



残りは僕が2枚と美妃奈が3枚。

張り詰めた空気の中、今度は僕が引くばんだ。

ちなみに僕の手元にはダイヤのAとクローバーの5がある。

つまり……美妃奈の3枚のうちどこかにJOKERが!

ごくっ……

生唾を飲み込む。

1枚目を触る。

美妃奈の表情は変わらずにこにこしたまま。

2枚目。

僅かに美妃奈の目が見開かれる。

3枚目。

ほっと安堵したような顔つきになった。


わかんないっ!!!!!!

「みぃが可愛すぎて表情が読めないよ……」

「みゃっ!?」

急速に2人とも赤面する。

心の声出ちゃってた!?

「ご、ごめ」

「はるくん今のは反則だよぉ〜」

へにゃへにゃになった美妃奈がさらに可愛いことを言ってくる。

「声に出ちゃってたか……いっつもこれくらい思ってるからだよね」

「っ!?」

「はるくんだって、かっこいいよぉ、。」

もはや、蚊の鳴くような声になったみぃが僕に必殺技を放つ。

「……!」

「「ごめん!!変なこと言って」」

謝るタイミングまで同じで思わず笑ってしまった。






ババ抜きの勝敗?

2人とも目が会った瞬間赤面しちゃうからお開きになっちゃった……

けど、みぃのかわいいとこ沢山見れたからプラマイゼロどころか、めちゃくちゃプラスかな。

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