5月

体育祭開幕!!

五十嵐先輩の宣言のあと、いよいよ体育祭の開幕だ。

今まで主催者側として準備してきた分、できればたくさんの生徒に楽しんでもらいたい。

なんてったって今回は特別だからな。



「わぁぁぁぁぁぁ!」

大歓声がグラウンドに響き渡る。

どうやら1種目、1年の100m走は圧巻の走りで如月が制したようだった。

2年は2着で花梨先輩、3年はもちろん1着で五十嵐先輩だ。

なんでこう……頭もいいくせに運動ができるなんて……。

ちっ、と軽く舌打ちしてみる。


あ、あんな所に。


琴先輩が……


にやぁ、と頬が緩む。


6位の旗を持つ俺の方に息も絶え絶えと言った様子で走ってきた琴先輩。



「あれぇ〜?ほかの先輩方は1、2着を争ってるのに琴先輩は最下位争いですかー?」

「くっ……!!!」

「おそかったんですねー、意外です!いやー、走る速さもおんなの……」


ぼくしっ……!!

そんな音が聞こえて俺は地面と向かい合ってこんにちはーとごあいさつ。

ちなみに、殴られた拍子にひょっこり出そうになった朝ごはんのおにぎりはギリギリでころころしなかった。


「ざっけんな、てかお前も8位だっただろ、最下位。俺は7人中6位だからお前より遅くない。」


「……」

「タイムいってみろよ」

「……」

「ちなみに俺は17.5秒だぞ」

「……」



意外と早かった……


てか、俺、


「すみませんでした……」

「分かればよろしい」


それからの琴先輩はふんぞり返っていたけど20秒台の俺には何も言えることは無かった……




くそっ、帰ったら絶対走り込んで抜かしてやるっ!!!!!!

からかっただけに……すみませんでした!!!!




気を取り直して2種目は走幅跳。

五十嵐先輩が何気に走幅跳の世界記録を非公式だけど更新しててマジでビビった。

顔も良くて運動できて頭良くて性格もいいってなんなん。

尊敬通り越して恨みつらみしかないわっ!!


3種目は走高跳。

1人基本2種目参加のため、先程出ていなかった花梨先輩が出場。

背面跳び、とかいうもはやそこまでして飛ぶ必要ある?将来役にたつかな、と思ってしまうような飛び方でぴょんぴょん跳んでいる。

長い髪はお団子にしてどうにか床につかなかったようだ。

150までいったところで無双状態だった花梨先輩は止められたけど、琴先輩のこと軽々とびこえてるよね……



ま、頭上をあんな恐ろしい“はいめんとび”で跳ばれたら恐怖しかないだろうけど。

もちろん俺はふつうの挟みとびすら出来ず、跨ぐ以外の飛び方を知らない。

正確に言うと小学生の頃には諦めた。

小学生用にゴムひもでやった時、初期の高さすら超えられなくて爆笑された思い出が蘇る……


やめやめ、つぎはHRリレーだ!

気を取り直そ。

最後に残ってるのは超絶スタミナを使う障害物競走だからな。

気をつけて体力配分しないとやばい……


HRリレーの結果?

5位だったよ。6クラス中。

え?如月がいるのになんでって?

誰か潤とか言うふざけたやつがアンカーと最初のランナーは生徒会にしようぜ!

とか言い出してみんなが乗り気になっちゃったからかな。

潤も足速いし沢野さんとかも意外と早くて途中まではぶっちぎり1位だったのになぁ……

途中(俺に変わるまで)まではなぁ……


ふふっ、バトンを渡されて慌てて落とす、コケる、まず足が遅い……


勝てる見込みないな。


最下位じゃなかっただけ喜んで欲しい。

琴先輩には笑われたけど。






次からかう時は自分より下手な時にしよう。

え?からかわなきゃいいって?

無理に決まってんじゃん、だって琴先輩可愛いんだもん♪







.☆.。.:*・°♪。.:*・゜♪・゜˚✩∗*゚⋆。˚✩☪︎⋆。˚

ちなみになんですが……

秋の運動音痴エピソードは……

恥ずかしながら私の実話です(/ω\*)💦





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